学ぶ理由は。
「人は何故、学ぶのだろう?」
「今やっている勉強が、いったい何の役に立つんだろう?」
そんな疑問を抱いたこと、数知れず。
誰に聞いても、あまり納得いく答えは手に入れられなかった。
だけどそれがつい最近、「善徳女王」を見ている時に、突然見つかった。
作中である時、こんな話が出てきた。
世の中を横に区切った時、人は支配する者と支配される者に分かれる。
私たちは支配する者たち、だけど民は皆支配される者たち。
民は何がどう起こるかを知らないし、知ろうともしない。
誰かが自分たちを満たしてくれればそれで満足する、無知で愚かな存在だ。
これを言ったミシルという人物は、無知な民を利用して自分に都合の良いように国を動かしている。民は一部満たしてもらってはいるけれど、基本的には搾取され日々の生活に困窮している。無論、ミシルは悪だろう。
でもよく考えてみたら、ド正論だ。
長年の疑問の答えがやっとわかった。
「身につけた知識が自分の身を守ってくれる」。
例えば、オレオレ詐欺。
あれはおじいちゃん・おばあちゃんたちが「知らない」から、騙されてしまう。
もしもオレオレ詐欺の存在を、その手口を知っていたら、被害は減る。
0になるとは言い切れないけど。
会社だってそう。
自分でブラックだと気づいていても上からの圧力で声を上げられない、対処の仕方を「知らない」と、いつまでも搾取し続けられる。
だけど専門家に相談したり、自分で調べたりして「知っている」状態になったら抜け出せる。
就活もきっとそうだ。
もしもブラックだと、もしくは選考過程で自分と合わないと「知っていた」ら、その会社には入らないだろう。そもそも選考すら受けないかもしれない。
知っていることで自分の身を守れること、意外と多いような気がする。
逆に言えば、知らないというだけでいつの間にか利用されたり、搾取されてしまうかもしれない。
そもそも知らなければ、自分が酷い状況の中にいることに気づくことすらできない。
世の中悪い人ばかりということはない。でもそんな人がいないとも限らない。
もしかしたら当人も知らないだけで、悪意なんてない場合もある。
でも知らないことで、巻き込まれてしまう可能性はある。
だからと言って知識があるから絶対大丈夫かと言われればそうでもない。
知識を持ってる方が偉いとかそういう話でもない。
でも何事も知っていることに越したことは、ない。
とは言え一概に「知っている」と言っても、その言葉の範囲には限りがない。あまりに広すぎる。
あれこれ色々なことに首を突っ込むのも、常にアンテナ張ってるのも疲れる。
そういえばミシルはこうも言っていた。
知るということ、知恵を持つということは苦痛に感じることだ。
疲れて煩わしいことなのだ。
じゃあ、どうやって無理なく「知る」?
好きなことなら誰でも自然と深めていけるだろう。
問題は特に好きでもない、だけど必要な(ように思われる)こと。
最近は「好きなことで生きていく」みたいな風潮がある。
でも普通に考えて、好きなことonlyで生きていくというのは不可能だ。
好きなこと中心に、なら十分あり得るだろうけど。
そんなマストなものに対して、どうしようか。
私だったら…いかに楽しくするかと人を頼ることかな。
例えば、あんまりやりたくない勉強はゲームっぽく考えたり。
また就活も、そのまま就活と捉えてしまうと重たかったから、「今まで知らなかった新しい世界を知りに行く」と、少しでも自分が楽しめそうな考え方にした。
人を頼ることは、一番苦手なことでもあるんだけど…
かつては何でも自分一人でやった方が良いと考えてた。
でもそれは、狭い世界でしか通用しない。
世界が広がっていくうちに限界を感じて、止めた。
今は自分があんまり得意じゃないこと、自分だけじゃ難しいものはそれを得意とする人に頼む。
反対に、相手が苦手とすることが得意だったらそれを引き受ける。
そうすればおあいこ。
韓国史劇、ドラマの世界も、主人公が一人で何か大きなことを成し遂げることってほとんどない。
「善徳女王」で言えば、トンマンにもミシルにもそれぞれ味方がいて、それぞれが得意分野で活躍することで自分が仕える人に貢献している。
それに平たく言えば、自分自身が知らなくてもそれに長けている人を知っていれば、それだって十分「知っている」のうちの一つじゃないだろうか。
ドラマの時代とは違って、今はネットやSNSが仕える。ソースだ根拠だと騒ぐ人もいるし、勉強にはさほど使えないけど…
でも、世の中で起こっていることを軽く知るくらいには十分。
ミシルの言っていることは正しい。
何も知らないのを良しとして民を利用することには賛成できない。
でも、「知らない」のは結局自己責任。
他人任せにしておきながら、いざという時だけ文句を言う狡さは、ミシルの作戦と大差ない。
ミシルはミシルでやはり言うだけの努力はしている。
おそらく作中で最も賢く何事もよく「知っている」人物だ。
誰にも何も言われたくなかったら、言わせない程にならないといけない。
今の時代はなおさら、知識を得る権利は誰にでもあり、また情報は身の回りに溢れるほど存在しているからこそ、知識を得るために行動し、得た情報の取捨選択までを自分ですることが必要なんだろう。
いつか誰かが教えてくれるのを待っていたら、その前に誰かに支配される者になってしまう。
私は誰にも支配されたくない。
だから学ぶ。
「知っている」が増えたところで、今すぐ何か得をするわけでもないかもしれない。
だけど多くのことを知っていて損をすることもまた、ない。
(知らない方が良かった、知りたくなかったということはたまにある。)
少しずつ広げていけば、それはいつか自分の力になってくれる。
それが学ぶ理由であってもいいでしょう。
「人は何故、学ぶのだろう?」
あなたが学ぶ理由は何ですか?
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