SF設定だけれど未来感ゼロの『Arc アーク』
【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:116/125
ストーリー:★★☆☆☆
キャラクター:★★☆☆☆
映像:★★★☆☆
音楽:★★☆☆☆
映画館で観るべき:★☆☆☆☆
【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ヒューマンドラマ
SF
不老不死
【あらすじ】
舞台はそう遠くない未来。17歳で人生に自由を求め、生まれたばかりの息子と別れて放浪生活を送っていたリナ(芳根京子)は、19歳で師となるエマ(寺島しのぶ)と出会い、彼女の下で<ボディワークス>を作るという仕事に就く。
それは、最愛の存在を亡くした人々のために、遺体を生きていた姿のまま保存できるように施術(プラスティネーション)する仕事であった。エマの弟・天音(岡田将生)はこの技術を発展させ、遂にストップエイジングによる「不老不死」を完成させる。
リナはその施術を受けた世界初の女性となり、30歳の身体のまま永遠の人生を生きていくことになるが…。
【感想】
これはだいぶ予告から得る印象とは違う映画でしたね。。。パッヘルベルの『カノン』とSFチックな印象とは程遠いです。。。原作は未読ですが、好みが分かれそうな作品かもしれません。
<テーマは奥深いが……>
不老不死となった人類最初の女性ということで、映画らしいテーマですよね。でも、そこから期待されるSF感は残念ながらありませんでした。そこが個人的にハマらなかった理由ですね。もちろん、テーマ自体はバリバリSFなんですけど、そこから連想するような未来的な街並みや衣装、ロボットなどは出てこないよという意味です。僕はSF映画は好きなんですけど、映画にエンタメ性を求め、わかりやすさや派手さが好きなタイプなんですよ。なので、そういう嗜好の人だと、この映画は合わないかもしれません。
<"永遠"についてどう感じるかのきっかけにはなる>
前半は遺体を半永久的に保存できるプラスティネーションの話で、後半からようやく不老不死の話になります。ただ、全体的に淡々とした進行で、その中で、登場人物の「不老不死」や「永遠」に対する想いが見えてくるという流れです。
「生は死があってこそ」みたいな主張が作中にも出てくるんですが、僕はけっこうその考えには賛同できるんですよ。ゲームもオンラインゲームにハマらないのは終わりがないからです。ちゃんとエンディングを迎えられて、冒険に終止符が打てるからこそ、物語は面白いと感じるタイプです。
とは言うものの、永遠の命が欲しくないのかと言われたら、欲しいですけどね(笑)そりゃ、脳みそだけビーカーの中に入れるとか、データ上の存在でしかないってのは嫌ですけど、この世がどんな未来になっていくのかってのはこの目で確かめたいです。
なので、「不老不死」や「永遠の命」という議論のネタとしては奥深いものがありました。
<明言がほぼない構成>
例えば、冒頭のリナのダンスとプラスティネーションのつながりがわかりづらかったり、そもそもリナ自身は不老不死を望んでいたんだっけってのが謎だったりで、はっきりと明示されない設定も多いので、下手したらよくわからないまま終わってしまう人もいるかもしれません。最近は「不親切な映画」は毛嫌いする人が多いみたいな記事も目にしたりしますが、そういう人には向かないかと。
また、エンタメというよりは、アートや文学寄りの作りかなって雰囲気なので、ハマる人とそうでない人の差は大きそうです。
<その他>
ごはんにしろ映画にしろ、結局主観じゃないですか、おいしいとか面白いとかって。他の人の感想を読んでも絶賛するレビューから酷評するレビューまでありますが、結局その人の好みに寄るところが大きいので、レビューしてる人のパーソナリティって大事ですよね。さっきも書いた通り、僕はわかりやすくて派手な、ハリウッドのブロックバスター映画が大好物なので、本作はそういう人はまったく相手にしていません!(笑)でも、僕はそれ以上に「映画」そのものが好きなので、こうやってジャンル問わずとりあえず観ていますが。
ちなみに、この監督さんの過去作ですと、『愚行録』は個人的にまあよかったんですが、『蜜蜂と遠雷』は合いませんでした(笑)
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