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世界で活躍する人材に必要な”語学力より大切な力”とは

本記事は、50分程度のインタビューを一部書き起こしたものです。こちらから藤村の著書「世界で通用する最強の子育て」をご購入の方に「インタビュー動画全編」をプレゼントいたします。

「個をつぶす」「思考力が育たない」なんて言われる日本の学校教育とは対照的に、世界最先端とも言われるオランダの教育事情。子どもが世界に通用する人材に育つために大事な考え方とは?!

5冊目の著書である「世界に通用する最強の子育て」が3/15に発売された藤村正憲さん。家族でオランダに住みながら、世界中で仕事をされている藤村さんに、 ”個人の資質に合った起業” コンサルタントのやまけんが本には書ききれなかった内容についてインタビューしました。

国際自由人てどんな人?

山田:藤村さん今日はよろしくお願いします。子育てや海外での教育制度の話を伺う前に藤村さんの「国際自由人」というユニークな肩書の由来について教えてください。

藤村:自分や家族に必要なものがある国や地域に、県境を越えるように国境を越えて移動していく、そんな生き方を国際自由人と言っています。

山田:なるほど。実際今対談してるのは日本ですけど、あさってからまたオランダで、1カ月後にまた日本に戻ってこられる予定だそうですね。そういうライフスタイルに興味があったのはいつ頃からなんですか?

藤村:大学生くらいの頃、ちょうどバブル崩壊して、日本はこれからどうなっていくんだ?っていうタイミングでアジアの経済圏が東京ではなく香港やシンガポールに移っていくのではないかという時流があった時です。

実際に、その地域に行ってみると勢いはあるし、英語は通じるし、成長性というところでは、すごくおもしろいんではないかなと思った。当時まだ結婚もしてなかったけど、自分の子どもは英語が自由に使いこなせるようにならないと時代的に厳しいのではないかなというのがあって。漠然と、世界を拠点に生活できるスタイルをつくっていきたいなと思っていましたね。

なぜオランダなのか?

山田:結婚前から子どものことまで想像しながら国際自由人を目指していたんですね。そういった観点で、現在オランダを選ばれている理由を教えていただけますか?

藤村:オランダに行く前はマレーシアにいたんですけれども、マレーシアではイギリスの名門と言われるボーディングスクールの分校に子どもを通わせていました。そこで、学校はすごくいい教育をしていても、一歩外へ出るとマレーシアという国があって、学校で習ってきたことを調べたり、社会的に学んだりということがなかなか難しそうだと息子を見て思ったんです。

山田:学校と社会にズレがあるような感じでしょうか。

藤村:そうですね。マレーシアの学校ではないわけですから当然ですよね。

そこで、今回の書籍のあとがきと帯を書いていただいた東京インターナショナルスクールをつくった坪谷先生に相談をしたら、「今、オランダの教育が世界で一番、最先端だ。すごくおもしろい教育をしているぞ」ということをおっしゃっていたので、一度家族でオランダに視察に行ってみたんです。

山田:ご家族の反応はどうでしたか?

藤村:うちの息子はずっとスポーツ大好きで、運動にしか興味がなかったんですけど、アムステルダムの国立美術館に行って、オランダ人画家であるゴッホの自画像に出会ったんですよ。

その絵を見た瞬間、息子はパッと止まって、じっと見て、そこからホテルに戻ったら、2時間ぐらいかけてその絵を模写しだしたんです。

オランダの美術館って絵がケースなんかに入っていないから直に見れるんですけど、これは、本物を見る力なのかなと。当時7、8歳の子どもが衝撃を受けるような環境っておもしろいなと思って、住んでみることにしたんです。

しゃべらない先生はいい先生

山田:スポーツばかりの息子さんがアートに興味を示した瞬間ですね。ちなみに、オランダの教育が最先端って言われているのはなぜですか?

藤村:とにかく柔軟性があるんですよ。例えば、学校が100あったら100通りの教育の方法があると言われていて、国としても一応ガイドラインは持っているんですけれども、運用は完全に校長先生に委ねられているんですね。

小学生の段階でも芸術だとかスポーツだとかに力を入れている学校がたくさんあるし、いろんな国で始まった学習のパターンやノウハウも、オランダの学校が今全て試している。

山田:オランダ以外で始まった学習法もですか?

藤田:そう。だから、全く学年がないという学校もありますし、うちの息子の学校は1~2年生、3~4年生、5~6年生が一緒に学ぶ。しかも先生はコーチングに徹しているから、基本的に “教えない” んです。生徒の自力で問題を解決する力を育てるためにオランダでは授業中にしゃべらない先生がいい先生だと言われているんです。

生徒は先生に与えられたヒントをもとに、自分で問題を解いて、それをみんなの前で発表していく。

山田:なるほど。それはもう日本とは全然違いますね!

藤村:日本だと一から十まで先生が説明して、説明が足りないことが問題になったりしますよね。

子どもの頃からのトレーニング方法の違いは社会にも表れています。「伝えてもらっていないことは知らなくて当たり前」という日本の社会は、すごく親切ではあるんだけれど、サービスを提供されないと回っていかないという弱さもあります。

自分で問題を解決していくということを子どもの頃から実践できるオランダは、非常におもしろいと思います。

オランダが人材教育に定評がある理由

山田:世界で見たときに、国全体が教育特区みたいな感じですね。そこに、いろんな国からの教育システムが集まってきて、それぞれの子どもの個性や興味なのか、親がどういうふうに育てたいのかみたいなところで、最適な場所を選べるのがオランダって感じなんですね。

藤村:そうですね。学校に入って、自分に合わなかったら転校なんかも簡単ですし、そもそも学区もない。

あと、ヨーロッパのハブ空港の1つ、アムステルダム・スキポール空港というのがオランダにはあるんですが。電気自動車化をどんどんしていくというので、国がテスラの工場を誘致したときに、世界への玄関口である国際空港のタクシーを全てテスラにするというのを決めたんです。

その時、本当にテスラにばっと一遍に変わったんですね。国としても、新しいことをどんどん取り入れていって、そこに対して全く抵抗がなかった。

山田:その環境の中から10年後、20年後、30年後の経済を支える子たちが出てくるという話になると、人材の質みたいなものは、相当変わってくるということですよね。

藤村:そうですね。オランダは人材教育には定評があって。

例えば、2006年のサッカーワールドカップに優勝したドイツは、低迷した90年代にオランダのコーチを招聘(しょうへい)して、若手年代の育成カリキュラムを全部整えた。この間日本で戦ったベルギーもオランダからコーチが行ってますし、FCバルセロナ、あれもオランダ人のヨハン・クライフが行って、ユース年代のカリキュラムを全部作った

今神戸で活躍しているイニエスタだとか、メッシもそうですけど、ああいうすごい選手がそういったカリキュラムで育てられたんです。

山田:それは、サッカーに特化した話じゃなく、もう教育全体としてということですね。

藤村:そうです、そうです。本当に教育が大人をつくり、社会をつくるんだっていうのを非常に感じる国なんです。だからオランダは、人を育てるノウハウについてヨーロッパの中でもすごく信頼されている国なんですよ。

世界で活躍する人材に必要な力とは?

山田:なるほど。それはいい環境ですね。人材育成という流れでいうと、藤村さんから見て「世界で活躍する人材において、最も大事な力」って何だと思いますか?

藤村:「考える力」これに尽きますね。自分でどれだけ考えられるか。親が何を言おうが、教師が何を言おうが、自分で考えて、自分で実践していく。この力しかないと思います。

山田:世界で活躍する人材になるために英語を勉強させようっていう親御さんもいっぱいいらっしゃると思うんですけれども、それよりも「考える力」の方が優先順位が高いって感じですか。

藤村:語学は逆にいつでも身につくと思うので、それよりも、本人の考え方や生き方が一番大事です。大人に対してもNoと言えるとか、自分の考えをきちんと伝えられるということがすごく大切

例えば日本の場合、上下関係が大切にされているのはいいけれど、自分の考えを持たずに偉い人に無条件に忖度してしまうような環境では、突き抜けた人材が育ちづらい。

日本人は協調性もあるし集団としては強いけど、どうしても周りを見ながら自分の力を調整してしまうので、個性や個人の強みよりも集団の中で生きる能力が優先されてしまいます。

山田:考える力を高めていくと、個人の強みとか個性を伸ばしていくこともできるということですね。

例えばオランダを例にあげるとしたら、社会や文化的な背景みたいなものが個々人の個性の見つけやすさや伸びやすさに関係しているっていう感じなんですかね。

藤村:そうですね。何に対しても、オランダで一番優先されるべきものは個人ですね。

自ら考える子どもを育てるためには?

山田:僕、まだ藤村さんみたいに海外でビジネスしてないけど、一応考える力は結構高いんじゃないかなと自分では思ってるんです。それでいうと、世界でも結構、活躍できる?

藤村:もちろんですね。

山田:僕は親に「勉強しなさい」って言われたことが1回もないので「将来経営者になりたいから神戸大学の経営学部に行こう」みたいな感じで自分で決めてここまできたんですけど、考える力を子どものときに育てようと思ったら、何が一番大事になってくるんですかね。

藤村:一番大事なのは、親や先生が干渉しないこと。そして否定をしないことですかね。

親や先生の価値基準っていうのはあくまでも地球上70億分の1のただの一例なのに、特に子どもが小さいときは、親や先生が絶対的な存在だから、その人達に価値基準を決められてしまうんです。

親も自分はこう思うんだということは伝えていいと思うんですけど、最終的な判断は子どもに委ねる。「やっちゃいけない」とか、「それはダメだ」と頭ごなしな否定は絶対しないほうがいいのではないかと思います。

山田:家庭や学校では親や先生が絶対的になりますよね。でも親も人間だし間違えることもある。

藤村:はい、僕は常に自分の言葉が絶対ではない、正しくない可能性も十分あるし相手にとって自分の意見がそもそもためにならない可能性もある、と思ってしゃべってます。
  
山田:自分の子どもに幸せになってほしいという思いや目的はみんな一緒だけど、親心でついつい子どもが苦労しないように導こうとしてお節介になっちゃうことってありますよね。

これって何か変え方はあるんですかね?

藤村:自分の言葉が相手の耳に入らないかもしれないし、もしかしたら全面的に納得してくれるかもしれない。だから、受け取り方については本人に委ねます。さらに言うと、相手がどういうふうに思ったのかということを、フィードバックをもらえるような雰囲気をつくってあげるってことが大切だと思います。

読んだ方がすぐ実践できるように本の中に声がけの具体的な方法や、コミュニケーションの取り方を盛り込みました。

山田:「子どもに使いたい『褒める言葉』」や「考える力を育む言葉がけ」は上司部下みたいな、親子関係じゃなくても役立ちそうですね。

藤村:そうそうそう。

僕は海外に行って、一度自分自身が何者でもなくなったんですね。誰も僕を知らないし、僕も相手の肩書がどれだけ重要かわからない。海外ではお互い年齢も言わないから上下も感じずフラットになったと思います。

そう言う意味では、保護者会なんか肩書関係ない世界ですよね。そうやって普段から肩書やバックグラウンドが関係ないところで人間関係をつくっていくと、相手が誰であれフラットな付き合いのいいトレーニングになるんじゃないのかなとは思います。

ベストは満点を取ることじゃない

山田:なるほど。あと本の中で日本はまだ育児・家事のハードルが下げられてないって話もあったと思うんですけど、日本と外国の子育ての違いで、これは日本での子育てにも生かしたらいいんじゃないってことを教えていただけますか。

藤村:日本では完璧を目指さないといけないというプレッシャーがすごく強いんじゃないかと思っています。

朝起きて、家族の朝食を用意し、子どもの弁当をつくり、子どもを保育園に送り、そこから自分は仕事に行き、仕事中も子どもができてから業務の質が落ちたと言われないように全力でがんばり、保育園に迎えに行き、その後、夕飯をつくり、もしかしたら、日中終わらなった仕事を自宅に持ち帰って…という感じで「やらなきゃいけない」というのがすごくある。

そして、100点満点のものを80点で終わらせると「手を抜いてるよね」と思われてしまう。

山田:特に家事育児は、女性がより頑張っている家庭がまだまだ多いかもしれません。

藤村:大変だという思いはあるものの、社会全体を見たときにそもそも「そこまで女性が大変な思いをしなくてもいいんだ」というふうに思っている人が、もしかしたら少ないのかもしれない。これがもう「当たり前」。

山田:そういうもんだと思っているってことですね。

藤村:そうそう。これがすごく怖いことで、今ある現状に対して思考停止というか、何も考えずにそういうものだと受け入れて、その中で動いていくというのは果たして正しいのか、自分の人生を生きているのか、と。

自分の人生を生きるというのは、わがままを言うということではなくて、当たり前のことに疑問を感じて、改善をしていくということです。

山田:ここでも「考える力」が大事だということですね。

藤村:オランダが全部いいというわけではないんだけれども、オランダってヨーロッパの中で「6の国」だって言われていて。10点満点中6でいいという国民性なんです。

山田:へええ!おもしろい。

藤村:例えば、日本だと大学に行くのに優・良・可とかがありますね。オランダでは卒業するのに50点あれば単位が取れる。そうしたら50しか目指さないんです。仕事に関しても、例えば10が満点だとしても、5で相手が十分満足いくとか、問題ないということであれば5でクリアしていく。そのことによって業務量は減っていくし、お互いが10を目指さないことにより社会が楽になる。

山田:それはいいな。

藤村:親も子どもに10点満点を求めない。自分自身にも満点を求めない。

それはもう子育てでも絶対そうなんです。やってる本人に委ねる、結果も受け入れる、そういったことが至るところでできていれば、楽に、人間的に生きていけるんじゃないかなと思うし、不必要に自分を殺さずに、自然と自分を表現できる人間になるんじゃないのかなと思いますね。

「インタビュー動画全編」プレゼント中!

いかがでしたでしょうか。自分で考える力。フラットな関係性。親も子も自分の人生を生きるために必要なエッセンスはここにあり!「世界で通用する最強の子育て」には、ここでは語られなかった実践的な内容が盛りだくさんです。

◾︎何かを達成してなくても褒める
◾︎ミスを大きな問題にせず「しょうがないよね」と受け入れる
◾︎親がミスを見せる
◾︎学校に行かなくていい場合もある
◾︎「相手に失礼今のないようにしなさい」と言わない
◾︎家事育児に対するハードルを限りなく下げる
◾︎日頃からパートナーと子育ての目的を考える機会を持つ

このインタビュー内容は、「世界で通用する最強の子育て」を読んでいただくとさらに理解が深まります。またこちらの記事は、実際には50分程度のインタビュー動画の一部を書き起こしたものです。こちらの出版記念キャンペーンフォームから書籍をご購入の方には「世界で通用する最強の子育て」を郵送で、「インタビュー動画全編」をメールにてお届けします。ご興味がある方は下記よりお申込みください。


藤村正憲(ふじむらまさのり)
2002年より北京、香港・マカオ、マレーシア、オランダと移り住み、自身や家族に必要なものがある国に移動する「国境を意識しない生活」というライフスタイルを実践している。海外の経験を生かし、価値観が多様化する時代の生き方を講演や著作活動を通じて提案。主にビジネスや教育の分野で、日本と海外をつなぐ架け橋としてアドバイザー業務請負も行なっている。AERA「アジアで勝つ日本人100人」に選出。
著書に「国際自由人という生き方」(角川フォレスタ)「国際自由人」(IBCパブリッシング)「さあ、あなたも『世界一住みたい国』で幸せに暮らす計画を立てよう」(ゴマブックス)「生き残るためのコミュニケーション」(水王舎)

〈インタビュー=やまけん(@yamaken_edu)/文=ひろいうみ(@official_umi423)〉

17年海外で経営をし、「AERAアジアで勝つ日本人100人に選出」2002年から北京→香港→マレーシア→オランダと拠点を移し、子どもと共に学びながら生きる。3/15に5冊目の著書 「世界で通用する最強の子育て」を出版