デフレ時にシェアを拡大するブランドの消費者価値

飲食業で言えばスシロー、車業界で言えばHONDAフリード、インテリア業界で言えばニトリなど、デフレ不況が続く日本においてシェアを伸ばしているブランドがあります。

これらのブランドに共通するものは何か?

「消費者価値」に焦点を絞って分析したいと思います。

消費行動に大きく依存するのは、消費者インサイトと呼ばれています。この消費者インサイトをうまく刺激できたブランドが、その環境下において顧客数を伸ばしシェアを拡大するのですが、上記で上げたブランドが刺激したインサイトは何かを考えてみると、「社会とのリンク」「損失回避」「新たな生活向上」「知覚の結びつき」をキーワードにした場合、ハイブランドのような社会的ステータスや○○なら間違いないといった知覚に訴えた形ではないことがまず推察できます。

残る「損失回避」と「新たな生活向上」についてですが、デフレによる実質賃金の低下を背景に、消費活動にお金的な余裕はほとんど無いのが一般大衆に共通する悩みでもあります。「なるべくお金を掛けたくない」というインサイトです。
ただ、安ければよいかと言うとそうではなくて、安いことによって品質が悪いとか、車であれば安全性に不安が残るや室内空間が狭くなってしまって移動生活に支障をきたすなど「安かろう悪かろう」という認識をヒトは持ちえています。

よって、「なるべくお金を掛けたくない。でもある程度良いものが欲しい。」「社会的ステータスとかは削っても良い。」「車だったら○○といった市民権を得ているものにこだわらない。」といったところがインサイトなのではないかと思います。

これらのインサイトに対して、「お求めやすい消費・サービスですよ。そして品質も一定以上のものは担保しますよ。」という消費者価値のポジショニングを打ち出したのが上記を代表するデフレ化で成功しているブランドではないかと思います。

コストを限りなく抑え、リターンで一定の期待値を超える。とも言えます。

このポジショニングによってシェアを奪われるのは、ハイブランド〜低コストブランドの中間に位置する中堅ブランドで、それらを利用していた消費者は大きなボリュームになります。

これらのブランディングで大切なのは「一定の価値担保」になるため、TVCMを始めとするプロモーション活動においても、「品質が高い」ということの世界観を打ち出しています。

このデフレ化ではあまり影響を受けない、高級品を買える少数層。
安いものが一番よいと感じる低所得層。
お金に余裕なんて全然ないが、品質もある程度担保してくれないと嫌な中間層。

しばらくは、大きく分けてこの3つの層が存在し続けるのではないでしょうか。

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