人の脳は知覚の結びつきを使って省エネで物事を処理する

人の脳は、ある物事であったり情報を全て解析して、物事を処理・判断するわけではありません。なぜならそれには多大なエネルギーを消費するし、処理に時間がかかってしまうからです。

これは本能として植え付けられているもので、太古の昔に処理に時間が掛かってしまうと、外敵に襲われてしまい命を落とすことにつながるからです。

この省エネを実現させているのが、過去に経験した知覚の結びつきで、ある現象に遭遇したときには、その知覚を活用してその物事を判断します。

レトリックはこの本能を活用しているテクニックとも言えます。

ある物事にネガティブなイメージを付けたいのであれば、ネガティブと知覚されているものを比喩として用いる。そうすると、人はその物事を細かいところまで解析せずに簡単にその物事=ネガティブと処理します。

財務省による、歳出が右肩上がりで上がっているにも関わらず、歳入がバブル崩壊後に逆に右肩下がりになっているグラフを「ワニの口が空いている」と比喩したものはその典型的な例ですね。

財務省としては、歳出を抑えることを省是としています。よって、歳出=ネガティブのイメージを付けるために、世の中の人が共通として持っているワニの恐ろしさというネガティブを結びつけているわけです。

税収が減っている本当の要因はデフレや消費税増税によって、企業や家計の需要が減っていることなのに。むしろ、需要が低迷している時は、総需要を拡大するために逆に政府支出を増やさなければならないのに、間違ったイメージを国民に植え付けているわけです。

でも、多くの人がこういった間違ったレトリックを信じてしまい、財務省のミスリードによって自らの所得減に賛同してしまっている状況なのです。

今日は、人はイメージ(知覚の結びつき)で省エネで物事を処理してしまう。という話。

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