You touched me.

英語学習でよく、動詞に-edを付けると受動態とか過去形になると説明されます。

・・そもそも、現在形、過去形という説明には以前から不満があって、時間の経過と関係ない意味で使い分けられているという認識で、”現在形”についてはどうにか使いこなせるつもりです。でも”過去形”についてはまだ経験が必要だと思っていました。

それで最近、気がついたことがあって忘備録にもなるので書いておきます。

きっかけは テレビ映画「モリー先生との火曜日」で、先生がミッチに言う台詞

You touched me. です。

モリー先生との火曜日は、台詞を暗記してるくらい何十回もみてます。

 この You touched me. の日本語訳は「君はわたしを満たしてくれた。」です。

 touchというのは物理的に物と物が接触するという意味から、心理的な距離感を表すときにもよく使われるようです。この映画のなかで、モリー先生はtouchを連発します。そして実際いつも人に触れるのを望み、いつも触れられることを欲します。ミッチは最初、touchy feelingが苦手な、touchingを恐れる人物の代表格として登場します。

 人と人との関係でtouchを使うとき、至近距離に近づくことから、ついには「越境」を意味するように思います。ここで越える、境とは、 存在と存在がつくる境界線です。アメリカ人同士は、日本でにありがちな臨在感とか空気感だけで一体だとか安心する文化ではないからです。

 教えが受けられなくなることが悲しいんじゃなく、あなたの声が直接聞けなくなる喪失感を埋められない、と泣きながら訴えるミッチに対して モリー先生は You touched me.とこたえます。このときモリー先生が使った touched に、受動的という意味は薄く、過去というのは違和感があります。

 

 -edというのは、時間をかけて何かが形として現れるというプロセスが含まれるときに、使われると思います。時間が含まれるので、過去だけではなく未来を意味することさえあるのではないかと思うのです。

 越境の事実だけを言うならtouch、 越境の行為がtouching、 越境のプロセスによってそれが起きる前とはちがう結果がある事を示すとき touchedになると思うのです。

  You touched me. このシーンでミッチに対して先生が伝えているのは

「君はちゃんと、わたしの(境界線の)中の存在なんだ(これからもそうだよ)」ということなのです。


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