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"Happy Very Much"のこと、言葉にしてみようと思う。

昔からずっと。
私は何事においても、なかなか確信というものが持てない性質だった。

それは例えば、今日のお昼に何を食べたいとか、
明日の休みにどこへ行きたいとか、
この秋はどんな服を着たいとか、
そんな些細なことから始まって。

自分は何をしてどんな風に生きて行くべきなのかとか、
世の中、何が正しいのか、間違っているのかとか、
ONLY.1がいいのかNO.1がいいのかとか、
そういう類のことまで。

いつも、何についても、はっきり「これ!」と思えなくて。
「正解はないんだよ、自分で決めていいよ」と言われても戸惑ったし、
かといって、「答えは出ないなら考えても無駄」と言われても考えることを止められなかった。
いつも、そうかもしれない、と思うのと同じくらいの振れ幅で、
そうじゃないかもしれないと思った。
ぼんやりとした考えごとを繰り返す一方で、何かに対する絶対感みたいなものは、なかなか持てなかった。

だから毎晩布団に入っては、「いつも当たり前に寝て起きるけど、でも、もう明日は目が覚めないかもしれない。そもそも今こうして生きていること自体、違う世界の誰かの夢の中かもしれないし」と想像を巡らせる、何だかスピリチュアルな6歳だったし、
戦争文学に傾倒して、図書館の本を片っ端から借りては、「今は平和だけどまたいつか戦いが起きるかわからないし、そうなったらどうしよう。怖い」と怯える悲観的な8歳だったし、
サンタクロースの存在を否定する同級生たちに反論するために当時ではじめのインターネットを検索して、「この間パソコンで調べたら、NASAがついにサンタの撮影に成功したって書いてあったよ!」と、得意げに主張する12歳だったし(今考えればきっとケンタッキーあたりのPR記事・・)、
理科の授業で宇宙の成り立ちを習った時には、「ビッグバンって何?0が1になるってどういうこと?宇宙がどんどん膨張してるなら、広がる前って元々はそこに何があったの?」と、授業後わざわざ先生に聞きに行くややこしい14歳だった。

多少大人になったけど、
その性質は28歳になった今も、そう変わりはなくて。
何事においても、どっちがいいかな、と迷ったり、
世の中ではこれが正しいと言われてるけど、でも見方を変えればこうかもしれない、等と屁理屈めいたものを延々と考えたりして日々を過ごしている。

ただ、そんな私にもこれまでの人生の中で、
少なくとも自分の中でのある種の確信を持てたものがいくつかある。
それはまず、中高で出会ったフォークダンスや、
大学で出会ったソウルミュージック。
何でそれだったのかは今となってはよくわからないけど
(不思議なチョイスだだね、とよく人に言われる笑)、
当時の私にとってまっすぐに心に響く、力あるものだった。
理由はわからないけどたまらなく素敵に感じられて、だから、絶対だった。
へりくつ好きなのに意外と単純な私は、そんなものに出会うと誰に止められてものめり込んだ。

そして、社会に出て、大人と呼ばれる年齢になってから確信を持ったもの。
その一つが、いま仕事にしているウエディングの世界だ。

ウエディングとの出会いのきっかけは、
最初に働いていた会社で偶然配属された、結婚情報誌ゼクシイの営業部。
誰かの結婚式に出席したこともなければ、ドレスやお花とかそういう女子的なものにも縁遠かった22歳の私は、
突然、様々な式場やホテル、レストランを行ったり来たりする日常に放り込まれ、文字通り”結婚式漬け”になった。

そして、初めてだらけの毎日の中で、
"結婚式"という時間の価値を実感するようになる一方で、
当時目にしていた、既存のウエディング業界への違和感がどうしても拭えなくなった。
華やかで豪華なものはたくさんあったけど、私にとってしっくりくるものはどこにも見つからなくて。
私なら、もっとこんな雰囲気で、こんな空気感で、いつもの自分のままで、結婚のお祝いをしたいのに、と繰り返し考えた。
そのうちに同じ感覚を持つ人に出会って、理想を一緒に形にしようと誘ってもらって浅草で始めたのが、
ブランドマネージャーをしている”Happy Very Much”というウエディングプロデュースチームだ。

Happy Very Muchは、同じビルで運営するBEARS TABLEというレストランを拠点に、2013年の立ち上げ以降、4年で300件以上の結婚式やパーティーを手がけてきた。
従来の結婚式業界にあった形骸化した決まりごとや常識のことは極力考えるのをやめて、それぞれの二人に似合う結婚のお祝いの場を作るために、マネージャーとして、1人のプランナーとして、奔走してきた。
それは忙しくも充実した日々で、私たちの考えるウエディングに共感してくれるお客様や、一緒にチームを育てる仲間の数も増えた。

でも。
関わる人がが増えるにつれて。
チームの中での様々な仕組みや役割がきちんとしてくるにつれて。
おそらく何より、私自身がこの仕事に"慣れて"くるにつれて。
Happy Very Muchを立ち上げた当初にどこに行っても話をしていた、結婚式への思いや理想を言葉にすることは、いつしかすっかり減っていることに気がついた。

だからかな。Happy Very Muchについて、「最近流行りのお洒落なウエディングだね」と言ってもらえることは増えたけれど、
目に見えない部分、目指している世界観や本質的に届けたい価値は、
今もまだ世の中に伝えきれていないような気がしていた。

そんな今だから。
Happy Very Muchの背景にある思想や、この先私たちが目指す理想を、きちんと言葉にして伝えてみたい、と思った。

この言葉が届くといいな。


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