芸人として必要なもの。

うちのバイト先のコンビニには、常連のヤバい客がいる。
俺がレジに立って客が来るのを待っていると「てめえなに見てんだよ。なんでてめえみたいな年下に見られなきゃ行けねえんだよ!!」とブチぎれ、カウンターを本気で蹴って来た客。
こっちは店内を見てはいたけどその客を注視していた訳じゃない。
以降その客の方を絶対見ないようにしながら接客するようにし、ようやくその客に慣れて来たところで、最近その客が来なくなった。
代わりに、「画面のタッチをお願いします」と言うと「てめえでやれボケ!!!」と言う新しいヤバい客が現れた。
その客の時には店員が画面をタッチしないといけないということを学習し、ようやくその客に慣れてきたところで、その客は来なくなった。
そしてその代わりに、トイレでタバコを吸って必ず便器を外して糞を漏らすヤバい客が現れた。


俺はそこに「人を飽きさせない努力」を感じた。


手を変え品を変え、色々なパターンで楽しませてくれる。
「慣れてきた」「飽きてきた」というのはどのビジネスにおいてもピンチの状況であることが多く、
常に顧客には新鮮さを提供するように努めなければならない。

俺はコンビニ店員として、そして何よりお笑い芸人としてそこに努力を注ぎ込めていたのか?
安定感、安心感というものは裏を返せばこれ以上の成長を見込めないということでもある。
自身の成長のために、「いつも通り」ではなく「いつも以上に」を目指さなくてはならないのだ。


そんな貴重なことを学ぶことが出来た俺は、早速実践に入った。
店内に、手書きのポスターを作成し、店に新しい風を吹かせようとした。

「迷惑行為は警察へ通報する場合があります。」

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