劇場版ウマ娘 新時代の扉の感想

 ウマ娘の知識はアプリ(セイウンスカイ実装~正月オペラオー実装まで)、アニメ2期、シンデレラグレイでシンボリルドルフが「中央を無礼るな」って言うところまで。

 そんなわけでジャングルポケットのことは同名の不倫芸人しか知らないしマンハッタンカフェもアグネスタキオンも好きなキャラではないから映画を見に行く気もなかったんですが、2000年有馬記念(ミーハーなのでこの実況が一番好き)やるって聞いたし、ファーストデイで安く見られるならまあいいかってことで。

 結論から言うと、かなり楽しめました。
・レースのアングルや演出がハッタリ効いてて気持ちいい
・目立ちすぎてる気もするが劇伴の出来が単純に素晴らしい
・ポッケが少年漫画の主人公っぽくてすんなり入り込める
・レースや描写の取捨がきちんと出来ていてテーマがブレてない

 この辺が良かったポイント。悪い点というか困惑したのは「オレ達はこれからも走り続ける!」みたいなノリでライバルたちが同じレースに出走すると思わせてからのライブ。これは本当に困惑したんだけど、「ウマ娘の様式美から深く考えるな」って言われた。そんなものか。

以下適当に良かった点、気付いた点を箇条書き。

・OP曲「Ready!! Steady!! Derby!!」の歌いだしが「ヒカリアレ」にそっくりなのが気になって仕方なかった。
・理子ちゃん出るんだ?ってびっくりしてたら色んなシーンで背景にウマ娘が映り込んでて楽しい。
・アストンマーチャンのきぐるみが目立ちすぎる。
・フジキセキがアイマスの菊地真に見える。
・田辺トレーナーの家が河原の一軒家なのは元ネタがあるんだろうね。
・ポッケをはじめ三冠分け合ったライバルも胸が無いから、女の子キャラって意識を全然持てずに単純な少年漫画として楽しめた。
・「最強はオレだ」ってコピーからポッケのことを誰にでも喧嘩を売るチンピラウマ娘だと誤解してた。悩んで成長する真っ当な熱血系主人公だった。
・ダンツフレームは何のためにいたのかよく分からない。
・重賞を勝ったポッケとタキオンがぶつかる場所が阪神でホープフルS……?と思って帰宅してから調べたらラジオたんぱ杯のことなのね。
・なんでホープフルの後に有馬記念やってるんだと思ってしまうのは当時の番組編成を知らないからですね。
・「すごい苦しいレースでしたが……」まで言ったら「ウッ!」も欲しい。

・ホープフルと弥生賞、皐月賞は特にレース中のカメラアングルや手足がラフっぽくなったり体の一部を拡大強調してみたりキラキラ光る演出や蹄鉄の重低音が響く音響がすごい。このへんは2期からすごい進化を感じた。
・ポッケの一人称視点はおそらくジョッキーカメラに着想を得てるよね。
・ナリタトップロードのトレーナーがどう見ても渡辺薫彦トレーナーだ。
・オッチャホイって空耳したと思ったら本当にオッチャホイだった。何故。
・ダービーまでで完全にタキオンとポッケの物語だけど、カフェが勝つ菊花賞までやったら詰め込み過ぎでテーマがぶれない?って心配してたけど杞憂だった。カフェ好きは不満かもしれないが。
・見逃してるだけかもしれないけど夏合宿って脚本上の意味あります?
・アドマイヤベガがふわふわなおもしれー女でしかない。
・フジキセキが先輩役なのは同じ厩舎の縁なんだろうなくらいにしか思ってなかったけど、タキオンと同じ4戦全勝での3歳春引退で、競技からは身を引いたけど走りたい気持ちは消えてないって解釈と配置が上手い。
・ただしバカみたいな勝負服はどう見てもギャグ。

・ウマ娘の可能性の限界に辿り着けるならそれが自分じゃなくてもいいやって割り切ってたタキオン、追いつけないタキオンの幻影に囚われて前に進めないポッケって構図が、同じく無敗のまま引退したフジキセキとの並走を経て、「走りたい」という本能に従って自分の脚で前へ進むポッケと燻っていたタキオンという形にひっくり返る構成は見事。
・「先、いくぜ。」からの曲入りとタキオンのダッシュ、ポッケとタキオンの咆哮が重なるシーンは完璧過ぎたからもう一回見てもいい。
・JCの解説が大久保先生(本人)で駄目だった。
・JCで破ったオペラオーがライバルでもなんでもなくて、勝負の結果にカタルシスが無いのはちょっと不完全燃焼。

・しっかり掘り下げられたタキオンとフジキセキの魅力がグッと増した気がするし、ポッケは気持ちのいい主人公だった。一方でカフェは割を食った感がある。
・過剰に性を強調するシーンも無いし、事前知識が無くても見やすくて面白い、そのうえ映像と音響はクオリティが高いという、誰が見ても楽しめるデキになってたと思うが、そうなるとフジキセキの勝負服とラストのライブが本当にノイズなのよね。特にライブはスポ根を見てたつもりだったのに最後の最後で「なんだったんだ……?」ってすっきりしない気分になる。

・Cygamesはコントレイル主人公で映画やってください!互いに偉大な先輩を持つ主人公とトレーナーが距離適性の壁や足元の不安や後輩の競馬マシーンに追い詰められてボロボロになりながらも根性で「空の彼方に最後の軌跡!」するところめちゃめちゃ見たい。


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