まりんあくあ

まりんあくあです。「小説家になろう」で「We are enlister. Save t…

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まりんあくあです。「小説家になろう」で「We are enlister. Save the princesses of Emulia.─古墳に入ったら異世界の姫様の協力者にされてしまったので、日本を救って転生します!」連載中 コラボ小説も書いてます

最近の記事

星に還る

 夜の校庭は暗闇に包まれている。その中央辺りにチラチラと瞬いている明かりがあった。三十人くらいの人が集まっているようだ。  何台かの天体望遠鏡がどれも同じ方向に向けて設置され、何人かの大人とそれよりも多い数の子どもたちが入れかわり覗き込む姿が見える。双眼鏡を空に向け熱心に覗いている子どもたちも。どの子の表情も真剣そのものだ。  今日は月に一度の「星空教室」。この会の主催者である西 俊哉(としや)は忙しく動き回っていた。  今夜は皆既月食。月が地球の影に隠れてしまう天体シ

    • 終わりなき闘い

      「さて、と。始めますか」  俺はVRMMOのゴーグルを装着すると、仮想空間へダイブした。  いつものゲームにエントリー。このゲームには有難いことに仕事モードというものがあり、そこにあるタスクをこなすとゲーム内で使える仮想通貨を獲得することが出来る。  今日のタスクには、補食者と噴霧者といった項目と、それにより得られる通貨が表示されている。噴霧者の稼ぎがいいようだが、ひたすらフィールドに薬を散布するだけで、退屈な上に時間もかかる。  俺は迷った末に捕食者を選んでマップ

      • 呪いと呪い

        女魔法使い(ドゥルイダス)は初めて船出する若い男に、いくつもの結び目のついた綱を手渡した。 「おまえには見えないだろうが、ここに 風の精霊(シルフ)が閉じ込めてある。本当に困ったときに結び目を解きなさい。使い過ぎないように。強い 呪(まじな)いは時に呪いに変わることもある」 数日後、発見されたのは無傷の船と全て解かれた綱。

        • 「小さな冒険」

           かさこそと黄金色の銀杏の葉が音を立てる中をゴロゴロと車輪が通過していきます。車椅子に乗った小さな女の子の目がキラキラと輝いています。  女の子の瞳いっぱいには大きな銀杏の木が映っています。 「あー」  初めて真近で見た黄金色の洪水に目を奪われて、思わず声を上げました。その子は重い障がいのため、上手く話すことが出来ません。時折単語で話すこともありますが、母親以外の人はなかなか聞き取ることができません。  向こう側から通りがかった人が声をかけました。 「こんにちは。何歳

          「古墳からの四季便り亅 あるイラストからのインスピレーションです

           わたくし達はこの古墳群一帯を治める土地神様に仕える精霊でございます。悠久の昔、人であったわたくし達姉妹は寿命全うすることなく命を落としました。四人の魂は離れ難く、共にあらんとする想いが強過ぎた為天界へも黄泉の国へも移ることが出来ず、肉体が朽ち果てた後もここに留まっておりました。  それを哀れに思われた土地神様がわたくし達を召抱え精霊として仕えることをお命じになりました。精霊となるにあたり、わたくし達には一つの枷が与えられました。わたくし達は共に過ごせるならばとそれを受け入

          「古墳からの四季便り亅 あるイラストからのインスピレーションです