光る君へこぼれ感想 「色好み」の価値観
『光る君へ』見ています。
あまりチャンバラや戦支度的な絵面がないから地味みたいに言われてるぽいけど、即位礼や五節舞をはじめこんなにいろんな平安時代のイベントが見られるってマジすごいぜ〜! 最高の大河たらんとする品と心構えさがあるぜ。
あと都じゅうにオーバーラップする兼家パパの高笑いスタンプくれ
今回のこぼれ感想はそれに関連して、現代ではイメージしづらくなった平安時代のりっぱな人間評価の価値観について今作がじわじわいい感じに描いてるな〜とおもったので。
それは「色好み」という価値観です。
武家政権以後と以前
けっこう忘れがちだけどなんだかんだ意識しとくといいこととして、日本人が「日本の伝統的な価値観」として無意識にイメージするのは主に江戸時代や明治時代くらいの価値観っていう問題があります。たとえば選択的夫婦別姓制度作った方がいいよ~に反対する意見でも「日本の伝統的な家族観が…」て言うことありますが夫婦同姓なんてはっきりやりだしたの明治からだしぜんぜん新しいじゃんみたいな。北条政子を源政子って言ってるの聞いたことないし細川ガラシャだって後世の人がそう呼んだだけで当時は「明智玉」。
今回は夫婦別姓の話するんじゃなくてそれ以外も全部そうだよって話なんですけど、要は日本人は「歴史ものの価値観」というと無意識に近世封建儒教社会をイメージしちゃうしドラクエでも現代社会でもそれを引きずってる、だから戦国後期とか幕末とか明治大正とかの「いつもの時代」じゃない歴史ドラマには「そうじゃない価値観」を示す重要な意義があるんです。
その近年の先駆者が『鎌倉殿の十三人』です。あの作品では政子を筆頭として、地方を問わない女たちの政治的な行動と立場の強さが描かれていました。別に女性キャラクターを活躍させたい都合だけではなく実際にそうだったのです。確かに朝廷で官職を得て働く人はずっと男性がメインでしたが、日本において女性の地位が如実に低下したのは鎌倉時代が始まってしばらくしてから、つまり男くさい武家政権以降です。われわれが当たり前だと思っている価値観は時代と社会体制によって変わり、そのことに思いをはせるためにも歴史ドラマはあります。
女性の地位の低下以外にも、武家政権の台頭が長く続いたことで変化し当たり前の「日本らしさ」のように定着した価値観が他にもあります。そのひとつが朴訥さ、シャイさ、貞淑さ、男は黙ってサッポロビールをよしとするなんていうか「おカタさ」の美徳です。
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