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8ミリフィルムの思い出

母からの急なライン電話、なんか嫌な予感・・・・
「お父さんが倒れちゃってね、今 救急車で運ばれたのよ」

まさか、そんな。。。
毎朝 ボランティアに出かける父が、なぜ?

それにワタシ 今、コロナで日本に帰れないよ。。


お医者さまからの通告は 「長くて 10日」 
残酷で冷たいしらせだ。

ワタシは 仕事と子どもたちのことをお願いして、
ほとんど飛んでいない 日本行きのフライトを予約した。

  ・・・・・・・・・・・

恐怖と悲しみが波のようにおそってくる。
お父さんは、もっとこわいよね。

ワタシに何ができる?
お父さんは最後に なにを見たい? 知りたい? 聞きたい?


あ、屋根裏におきっぱなしの8ミリフィルム!
「なにを撮ったかなぁ〜」って話してたよね。

  ・・・・・・・・・・

8ミリフィルム・ダビング で検索する
『当店では扱っておりません』
『3週間〜1ヶ月かかります』 
 
      絶対に、間に合わない。 

涙をこらえながら  いくつかの写真店に電話をした。

「お父さまのために 大急ぎでやってみます」
一件だけ、そう言ってくれた。頼もしかった。

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父は、お医者さまの宣告日より 少し頑張ってくれて
亡くなる前日に、家族がそろって見ることができた。

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ワタシと妹が転ばないように 手をさしのべる 父
アイスクリームを食べるワタシを 優しくみまもる 父

音のない フィルム
映像は ぼやけているのに どこか かがやいていた
   
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お父さん、 どう?思い出した? 

話すことも 意思の疎通もできない父
目に 大粒の涙がたまり ポロっと落ちた

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お父さんにとって いちばん大切なのは 

やっぱり 家族だったんだね

「いままで いろいろ ありがとう。。。」

 






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