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最初の退職

 のりと出会った頃から私は会社を休みがちになった。のりの前に付き合ってた人にひどい振られ方をしたのがきっかけだった。一度崩れたリズムは戻らず、二年半少し働いた会社を私は辞めた。
 私は、その会社の人全員が好きだった。お世話係の女優並み美人の江平さん。本社(と言っても田舎にある)にいてたまにしか会えない澤崎さん。澤崎さんはよく電話で愚痴に付き合ってくれた。メールとか飲み会で励まして仲間にしてくれた亀山さんと中井さん。お洒落な店を教えて貰った。アイス奢ってくれる徳差さん。人生の先輩としてアドバイスをくれる。煙草仲間のおっちゃん達。そして会田さん。

 会田さんは子会社の支店長で、私の直属の上司だった。おちゃめで、話好きで、ずっと喋ってるからたまにウザいけど、とてつもなく優しい人だった。
全ての行動が私の為だったんだと思う。
 二年更新の時私は負担を減らされる為に異動する事になった。その時二人で泣いたのを覚えている。
「楽しかったなぁ、二年間。佐藤さんは、皆の事大好きだったもんなぁ。」
 異動させてくれと頼んだのはお前だろと思いながら、こんなお荷物大変だったろうなとか、私のためでもあるんだろうなとか思った。自然と涙が溢れた。
 まぁ、異動しても同じ建物内なんだけど笑
 そんな会社で定年まで働くだろうと思った事もあった。だけど無理だった。休みがちなのが罪悪感でいっぱいでしょうがなかった。
「しばらくゆっくり休みたい。」
そう言って退職した。上司は引き留めてくれたけど、考える余裕がなかった。