マガジンのカバー画像

浮かんで流れて沈んで(私小説)

4
のりと私のこれまでと、統合失調症と向き合ってきた私の人生を振り替える。 エッセイだか小説だか分からないものを書こうと思います。
運営しているクリエイター

2018年6月の記事一覧

フリーダム

フリーダム

 かくして私は自由を手に入れた。これがくせになってたまらない。働くのがバカらしくなる位楽しくて、あぁ、いつ辞めてもいいもんなんだという考えが何度職に就いても過る。
 毎回最初はずっと続けようと本気で思う。だけど調子が悪くなると、
「あぁ、世の中の人は嫌々ながらでも出社するんだ。何故出来るんだ。」
本気で分からない。原因は考えた。体力のなさ。やりたい仕事じゃなく生活の為と割り切っていたけど割り切れて

もっとみる
最初の退職

最初の退職

 のりと出会った頃から私は会社を休みがちになった。のりの前に付き合ってた人にひどい振られ方をしたのがきっかけだった。一度崩れたリズムは戻らず、二年半少し働いた会社を私は辞めた。
 私は、その会社の人全員が好きだった。お世話係の女優並み美人の江平さん。本社(と言っても田舎にある)にいてたまにしか会えない澤崎さん。澤崎さんはよく電話で愚痴に付き合ってくれた。メールとか飲み会で励まして仲間にしてくれた亀

もっとみる
のりと私

のりと私

 そうは言っても無職。なんてったって無職。
「死にたいんだ。死ぬと思ってたから金も遣いきった。」
始めにのりはそう言った。
 最初の一年は怒涛の濃さだった。私を信頼してもらうためにありとあらゆる手を使った。つもり。毎日仕事終わりに電話して(これはうざがられたけど)色々な話をした。のりは冗談ばかりで私はそれまでにない位笑った。
 付き合ってしばらくして、喧嘩をした。愛してると言った私に
「愛してるの

もっとみる
はじまり

はじまり

 本日の煙草はやけに旨い。今日も今日とて始まるのだ。朝日がまぶしいから今日は晴天だろう。のりは寝ている。付き合って早三年半。三十歳。未婚。子なし。
 昨日は天気が最悪に悪く、気分も下がりっぱなしと思いきや浜益行ったせいでテンション上がりすぎて寝れない位だった。寝かけののりに幼少期の恋の話なんぞして寝れなくしてしまった。
 私の毎日は平和な様でいて心の中は荒んでいる。
だけど基本的に楽観的な性格だ。

もっとみる