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33.「令和の白拍子」清く、正しく、逞しく〜宝塚音楽学校ライフ(予科生編④)

令和の白拍子こと、花柳まり草こと、まりちゃんです。

コロナウイルスの感染者が再び増加傾向にある今日この頃です。


皆様、お変わりなくお過ごしでいらっしゃいますでしょうか。

前回は、宝塚音楽学校の「入学式」についてのお話をさせて頂きました。
もう少し感動的な入学式になると思いきや、物事を俯瞰して見てしまう悪い癖が発動し、なんとも言えない《違和感》に包まれたお式となりました。

しかも、ここぞという場面で名前を間違えられるという珍事件にも見舞われ・・・。

ある意味、一生忘れられない入学式とはなりました。

入学式を済ませ、音楽学校の生徒として正式に迎えられた我ら「92期生」

学校での授業も本格的に始まりますが、それに加え「地獄のすみれスクールルール」も発動!!!!

ガイダンス期間中に習得した「鬼の武庫川ルール」に、新たなページが加わることとなったのでした。

頭はパンパン、身体はバテバテ、精神はボロボロ・・・92期生のスクールライフや如何に!?

それでは、はりきって参りましょう!

■武庫川の1日〜始業前

まずですね、ざっくりと当時の1日を振り返ってみたいと思います。

朝。起床して支度。かなり眠い。まず最初のミッションとして、髪型を「武庫川ルール」に則ったものにする。一人で完成させるのは難しいため、お互いにやり合いっこをする。

こちらですね、どういうことかと申しますと、「乱れた髪の毛(通称:アホ毛)が1本も出てはいけない」という武庫川ルールがありまして、そのために「男性用のジェル」と「VO5のハードスプレー」を駆使して、美しい髪型を完成させておりました。

男役さんは前髪が印象的な「リーゼントヘア」

娘役は「ハーフアップ+下の髪の毛で三つ編み2本」

この、娘役の「三つ編み2本」というのがなかなかの曲者でして、毛先をガッチガッチに固めて《凶器》のように尖らせる必要があったのです。

あの毛先に突進したら目なんて簡単に潰れるのではないか?と今にしてみれば思います。

もちろん、一人でやるのはなかなかの至難の技であるため、お互いに三つ編みをやり合いっこをしておりました。

登校。決まった時間に、決まった並び方で、一斉に寮を出発。アリの如く隊列を組み、ひたすら学校まで歩く。私語厳禁。

そうなんです。

何故だか分からないのですが、寮をみんなで一斉に出発する必要がありました。

なので寝坊なんてすると、もう大変です。同期生みんなに迷惑がかかってしまうという、恐ろしい事態が待っております。

寝坊した同期は、同期に強制的に叩き起こされ、制服を着せられ、冷たい視線を一身に浴びながら隊列の中に加えられます。なんせここは「戦場」ですから、同期はものすごい剣幕で準備を手伝いますし、寝坊した同期はこの世の終わりみたいな顔をしています。

もう、みんな早朝から可哀想。

こういう事件が積み重なっていく度に、否が応でも「連帯責任」という言葉が身体の奥に染み込んでいきました。

学校に到着。予科生のお部屋に入り、準備。その後、一斉にお掃除へと向かう。

宝塚に詳しくない方でも、この「お掃除が厳しい」という話はたまに耳にされた事があるのではないでしょうか。

この学校のお掃除のシステムは特殊です。

それぞれのお掃除場所の担当が決まっており、お掃除をする手順・使う道具が細部に至り全て決められ、そしてお掃除場所に序列があるのです。

まず、担当に関してですが、その教室ごと、大きい教室であればその教室内での役割が決まっています。教室だけでなく、講堂やトイレといった場所も担当がいます。

そしてもちろん、本科生の方もそれぞれのお掃除の担当が決まっていらっしゃいますので、どの予科生に自分の大切な掃除場を任せるかを決められ、その仕事内容を引き継ぐ、という伝統がありました。

さらに、その同じお掃除場所を担当する予科生の生活全般を一年間指導するという「義兄弟の契り」とでも呼べる様な関係が結ばれるのです。

これを「武庫川、鬼の分担制度」といいます(勝手に命名)。

何か大きな失敗をすると、まず、この分担の本科生の方にご迷惑がかかり、ご指導を受けることになります。

学校生活を通して、一番お世話になる本科生の方…それが「分担さん」なのです。

ちなみに私は超幸せ者で、お美しくてとっても優しい元宙組トップスターの「野々すみ花さん」がお掃除の分担さんになって下さいました。

入学してすぐ、分担さんからお掃除のお仕事一切を引き受けるわけなのですが、とにかく細かく手順や道具が決まっているので、まりちゃんは一回で覚えられませんでした。

すごくヤバかったです。

しかも、小さいお教室を一人で担当することになったので、他の同期にも相談できません。

覚えるまでに、分担さんにはすごくご迷惑をおかけしたと思います。

「お掃除場の序列」というのはなかなかピンと来づらいと思います。
我ら、お掃除場に出発する時にも並び方が決まっておりました。

《講堂→1番教室→2番教室→3番教室・・・》といった具合です。

この並び方はあらゆる場所で列を作る時に用いられ(お掃除順)、円滑に集団行動をとる事が出来るシステムだったと言えます。

今でも「並べ!」と言われれば、絶対すぐに並べると思います!!!

この様に、肝心の授業に到達するまでに1日の体力を消耗してしまいそうな感じで朝を過ごしておりました。

■武庫川の1日〜授業中

始業。バレエ、モダンダンス、タップダンス、声楽(クラシック、ポピュラー、音の訓練、楽典)、合唱、演劇、日本舞踊、お茶・・・。とにかく授業をこなしていく。自分との戦い。そして眠気との戦い。

とにかく、宝塚では色々な国・時代・民族をテーマにした作品をこなさなくてはなりません。なので、どんなスタイルにも対応できる様に、歌・踊り・芝居の基礎をレッスンいたしました。

何が面白いって、授業と授業の合間は短いので、バレエを踊っていたと思ったら次の授業では日本舞踊を踊っている・・・なんて事がザラにありました。

バレエもモダンダンスも演劇も日本舞踊も、先生方が複数人いらっしゃいましたので「頭と心を切り替える」ということが一番大変でした。あと「服装の切り替え」も地味に大変でした笑

あと、1番大変だったのは「眠気との戦い」でした。

予科生の時に、まりちゃんは人生で初めて「歌いながら寝る」という所業を行いました。

「あり得ない」と思うそこの貴方…!

人間、極限まで眠くなると、そんな荒唐無稽な事ができるのです。

貴方もできます!!!

その時のまりちゃんはといえば、楽譜をかろうじて持ってはいるのですが、頭がグルングルン回りだし、足元がふらついてしまいました。でも凄いのは、絶対に楽譜は落とさないのです!!そしてふらつきながらも立ち続けることはできるのです!!そして、意識としては「歌っているつもり」なのです。

怖〜!

あとは、日本舞踊のお稽古を見ながら寝る、お辞儀をしたら上がってこれなかった、バレエのバーレッスンをしていたらいつの間にか目の前が暗かった、楽典や演劇論の授業中に意識が飛んでいた、お茶の時間はお菓子を食べたらいつの間にか終わっていた・・・この様な感じでしょうか。

さ、というわけで本日はこれ切り・・・是非、次回も逢いにいらしてください♪

書くことがたくさんありすぎて、下校から夜の過ごし方まで到達できませんでした!

ドタバタ武庫川ライフ、続きます!!

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