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みどりの手

英語で植物を驚くほど上手に育てられる人のことを

Green thumb (緑の親指)とか Green hands (緑の手)といいます。

逆にどうしても植物とうまく付き合えずに枯らしてしまう人の事は

Black hands(黒い手)Brown hands(茶色い手)と言うそうです。

誰もが枯らそうと思って植物に触れるわけではありませんが、どうしてその差が生まれるのでしょうか?

アメリカの絵本作家ターシャ・チューダーは言わずと知れたGreen handsですが、彼女の映画を見るとその秘密がたくさん描かれています。彼女の生活はまさに晴耕雨読、お天気の良い日は庭に出て作業をし雨の日には家で絵をかいたり植物の本を読んだりしています。

注目したいのは、彼女が庭を説明しながら歩くとき

「この子はお日様が当たるところが好きなの。」

「この葉っぱはもう切ってあげないとね。」

とまるで自分の子供を世話するように話しかけながら、ときには撮影されていることも忘れたかのように植物にまとわりつく雑草を抜いたりしゃべりかけながら庭をまわります。当然、ターシャ・チューダーは植物に関しての知識も豊富でしたが彼女が決定的にGreen handsである理由は植物を自分と同じ生き物として見ているということではないかと思います。それもストイックに刻々と変化する成長やお天気を見ながら、我を忘れて植物のしもべとなって世話する、そのことに植物が応えたのがあの見事な庭なのです。写真で見るターシャ・チューダーの庭は花がこぼれんばかりに咲き乱れていますが、実際の彼女の庭はアメリカでもカナダに隣接するバーモント州にあり、夏がとても短く一年のほとんどは厳しい寒さの中での忍耐の庭仕事となります。

現代の日本で観葉植物を育てるのにターシャのような忍耐は必要ではありませんが、コーヒーを飲んだり、ほっと一息つくときに植物を自分と同じ生き物だと感じる時間を持つことがGreen handsへの第一歩ではないかと思うのです。



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