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綾野さんと客席のこと

はじめ、マイナスなことは文字に残したくないなと考えていたけれど、観劇の記録として、やっぱり感じたことは全部書いておきたいと思ったので、今回はそんな話を。
でもリアルタイムではなかなか書けなくて、今、もう私の中でその問題は解決したなと思えたので、やっと書いてみます。

綾野さんは今や、知る人ぞ知るどころか誰もが知っている存在に。客席のけっこうな割合が綾野さんを見に来ている。あっちゃんや成宮さんをはじめとした他の役者さんのファン、そして蜷川舞台ファンも大勢いらっしゃるはずなのに、会場の雰囲気はいつも圧倒的に綾野さんファンな感じがします。
私もそのひとりに違いないのですが…、なんだか、明らかに鉄彦びいきの場というか、鉄彦の出るシーンは問答無用で沸くのを見ると、「綾野剛が動いてしゃべればなんでもいいんだな」、「綾野剛オンステージだな」と、一般の人には思われかねないな…とふと心にひっかかってしまいました。誰のせいでもないことなんですけれど。

異例の、初日から続く全回スタンディングオベーションも、綾野剛という人の引力によるものと私は思います。
(主演がいいから劇全体の価値が上がる、スタオべになるという、それ自体は自然というか、別に悪いことじゃないと思いますが…)

太陽2068というお芝居自体、観てすごく爽快で、印象に残る台詞がたくさんあります。「差別とは」「人間の幸せとは…」いろいろ考えさせられるテーマがあって。どの出演者も魅力的で、観るごとにどんどん好きになる。そしてラストが最高! 幸せなお芝居だと思います。
ストーリー展開とか設定とか細かいことを考え始めると、…個人的には、完全無比の傑作とまでは思わないのですが(大前提の、ノクスがキュリオより栄えているというのがまず信じがたくて…(^_^;))、素直にあの役者さんたちのパワーを受け止めると、本当にすばらしい舞台だと思います。

閑話休題。居心地の悪さをちょっと感じてしまっている中、たまたまその回は台詞の応酬がなんだかしっくり来ていなくて、綾野さんが、浮いているとまでは言わないけど、個人プレーと言う人もいるかもしれないな、とか勝手な心配をしていました。
わたしが必要以上に厳しく見ているということはあると思います。綾野さんに厳しく、ではなく綾野さんを好きな自分に厳しく、なってしまうんですよね、どういうわけか…。
実は、4回のカーテンコールがあった日のことです。3回目のカーテンコールが終わって客席の灯りがついても拍手が鳴りやまず、もう一度、綾野さんひとりだけで出てきてくださいました。舞台中央で正座して指を突いてお辞儀をして「ありがとうございました」、最後は片手を挙げてにっこり笑顔で退場。その笑顔は残像のようにしばらく目に焼き付いていました…。

そういう綾野さんの特別な姿を見れるのはファンとしてもちろん嬉しいけれど、どこかで不安になっちゃったんですね。でも、わたしのような凡人の心配なんてはるかに超えたところを駆けていく方だから絶対大丈夫、とも思っていました。

そして一週間後、ふたたびの観劇…。やっぱり、もやもやは杞憂に終わったなぁと思えました。いや、私の中だけの勝手なわだかまりで、杞憂ですらなかったかも。

舞台は見事に調和していました!



(と、いうわけで、マナーを守って迷惑を掛けないことは肝に銘じつつ、これからも遠慮なく全力で応援し続けます!)

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