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森繁の喜怒哀楽

最初は鉄彦ばっかり目で追っていたのですが、どんどん森繁のことが好きに…(というかこの舞台、出ている方のことがみんな大好きになっていってしまいます!)

最初のころって、森繁のキャラクターは、かなりクールで大人な印象だったのですが、2週目あたりからコミカル度が増したような。
金田医師が最初に往診に来る場面、初日はきちんと起きてたと思うのですが、その後観た時は、居眠りからのびっくり起きで、森繁の素のラフな感じが出てきました。

終盤、鉄彦を旅に誘うのも、回を追うごとに、しつこくテンション高い感じで誘っている感じがして。鉄彦が旅立ちに同意した時のはしゃぎっぷりとか、「森繁もそんなはしゃぐのね!」みたいな感動が。

森繁の唯一の怒りのシーン。
終盤、鉄彦が、おまえはキュリオのいい面しかみていないじゃないかと言い募るのに対し「お前だってノクスのいい面しか見てないだろ!」と叫ぶシーン。
怒るといっても理性のノクスですから、そんなに感情的ではない言い方のことが多かったのですが、1回さじ加減が違った回があって。心の奥底からの悲鳴のように「お前だって…!」と叫んだ森繁が切なかった。
ノクス的怒り方は、征治と玲子の言い争いのようにせいぜい声が大きくなるぐらいであくまでも冷静な応酬だと思うので、あまり感情的にならないほうが正解だとは思うのですが(正解があるとするならば)。たった1回聞いたあの叫びがいつまでも心に残っています。

森繁にかけられた手錠を純子が切ろうと必死になるところ、純子の「絶対なんとかするからね!」という絶叫に対する反応が毎回違っています。緊迫したシーンなので、ここを変えてくるのって意外な感じなのですが、けっこう違うと思う。
毎回の中嶋朋子さんの叫びに応じて自然に浮かんだ反応をしているという印象。それで毎回ぐっと来てしまう。
「すみません!」、「よろしくお願いします!」、無言で頭を下げる、などなど。一番印象的だったのは、
「……はい」
というたったひとことの力強い頷きでした。
会ったばかりの他者でしかもキュリオという違う種なのに、自分のために必死になってくれる純子を目の前にしての、人間への信頼が溢れた「はい」。


*余談…というか単なる妄想ですが、森繁は生まれてすぐに養子に出されて実の親を知らないとかありそう(征治と玲子が、養子をもらった後で実子が生まれたら養子に出せばいいとあっさり話していたところからして)。で、全寮制の進学校みたいなところで過ごすけど、まわりはキュリオからの変化組ばかりで純粋なノクスの森繁は落ちこぼれていじめられてたりして…。

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