2011.08.25 未来へ ②

「中学を卒業するまでにプロの技術を身につけろ」

「プロにもできないようなボールコントロールや、誰も思いつかない創造性を追求しよう」

「自分自身が上手くなるために練習するんだ」

こういう言葉から始まって、何もなかったサッカー部に「気持ち」や「熱」を加えて、少しずつ変わってきた。

ボールを渡しても何もできなかった奴が、リフティング・ドリブル・フェイント・ターン・パス・シュート・ワンツー、いろんなことができるようになった。

できないことができるようになる楽しさを知り、1年前は公式戦0勝だったチームが勝つ喜びを味わい、少しずつ、本当に少しずつ前進していた。


が…

ある時、試合に勝てない理由を、自分自身(個)の弱さ・下手さではなく、未成熟なチームのシステム・戦術のせいにするようになった。

「OMAが個人の練習しかやらないからチームが勝てない」

「チームとして勝てないのは戦術練習をしないからだ」

「OMAの姿を見るだけでモチベーションが下がるからグラウンドに来ないでほしい」

こんな時期もあった。


それでも、生徒を信じる心を取り戻し、自分を信じてもらえるように努力し、曲がりなりにも、この熱い夏を一緒に過ごしてきた。

「おまえ自身が上手くなるんだ」

「上手くなりたかったら、人より努力しろ」

「苦しさに負けない人間になれ」

厳しいことを言い、苦しいことをやらせ、ひたすら個のレベルアップを目指した。


サッカー部の歴史27年の中で、この夏は一番練習したと思う。
練習試合も20試合近くやった。

「僕はOMAが嫌いです」

こんなこと言ってた奴らも、どうにか同じ時間を共有してくれた。

選手に嫌われる指導者なんて、指導者失格かもしれない。
でも、嫌われようが拒絶されようが、こういう練習をやれば絶対に上手くなれるってことを伝えたくて、分からないなら分かってくれるまで、ただただ言い続けた。

1人1人を見たら、俺と出会った頃と比べて、とんでもなく上手くなったよ。
上手くなってない奴なんて1人もいない。

それでも、最後の大会で、チームとしての結果は出なかった。

昨日勝てれば、今日、中3の雄姿を見ることできたけど。
今年も、中3最後の試合は見れなかった。

チームとしての結果(勝利?)が出なかったら、おまえ自身の成長が無かったことになるの?

チームとして勝つ喜びを知らないから、個人として成長できる可能性を残したままサッカーから離れるの?

サッカーは世界で一番のスポーツなんだ。
日本では、小・中・高って、それぞれサッカーを切り離して考えちゃってるけど、プロでもない人間が「引退」なんて言葉を使っちゃうような国だけど、サッカーは一生続けられるんだぜ?

サッカーの本当の楽しさを知らないまま辞めるなんて…

サッカーは体1つ、ボール1つ、気持ち1つあれば、年齢・性別・環境に関係なく成長できるんだ。


明八サッカー部の中3生11人、高校でもサッカー続けろよ。
高校に上がる直前まで、中学の練習に出て来い。

「中学を卒業するまでにプロの技術を身につけろ」

今こそ、この言葉の意味を知り、考え、気づき、動き始める時だ。

「中学3年間おつかれさん」

俺は、こんな言葉かけない。

「まだまだ一緒にサッカーしようぜ。もっと練習しろよ。絶対上手くなれるから」

熱病フットボーラー OMA

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