クリスマスイヴ Ⅰ (新月の雫零話その1)
「俺たちってさ、如何いう関係なんだろうな?」
マリアを抱いた後、俺はいつも不安になる。
「・・・・・・ 」
マリアはぼんやり天井を眺め沈黙する。
「俺って・・・ マリアの何?」
俺は不安を抑え込むようにマリアにキスをする。
キスの後、マリアは裸のまま起き上がり、カーテンを開け、夜景を眺めながら呟くようにサラリと言った。
「トオルが待ってる。そろそろ行かなきゃ。」
「三橋と会うのか?これから?!」
「ええ。」
「アイツは今俺と一緒にいる事、知ってるのか?」
「知らないわ。」
「駄目だ、三橋のところへは行かせない!」
俺はマリアに歩み寄り後ろから強く抱きしめた。
「マリア、嫌だよ、離さない、今夜は何処にも行かせない!」
「じゃあヨウスケも一緒に来る?3人でクリスマスを過ごすのも悪くないわ。」
マリアはいつもこうだ。
想定外の言葉が返ってくる。
俺はクリスマスプレゼントに指輪を用意していた。
今夜マリアに真剣にプロポーズすると決めていた。
「クリスマスイヴだ。マリアと朝まで二人きりで過ごしたい。三橋のところへは絶対に行かせない!」
俺はマリアにキスしながら再びベッドへ押し倒した。
「駄目よ・・・ トオルに伝えてあるわ。もしも、30分以上待っても私が来なかったら・・・」
「来なかったら?」
「ここに来るようにって。」
「は?!ここに?!」
俺は驚いて時計を見た。
「三橋とは何時に待ち合わせてるんだ?!」
「21時よ。」
「21時って・・・もう22時じゃないか!」
「そうね、そろそろ来る頃かも。」
マリアは本当にいつも想定外の事をする。
その時ドアチャイムが鳴った。
バスローブを纏いマリアはドアを開けに行く。
「嘘だろ!?」
と言いながら俺は慌てて服を着る。
ドアの方から声が聞こえる。
きっと三橋だろう。
「会いたかった・・・」
とか何とか言って、マリアとキスでもしているのかなあもう!
「マリア、中に誰かいるの?」
やっぱり三橋の声だ。
「ごめんねトオル、実は・・・」
何とか間に合って服は着たものの、ベッドは乱れてグチャグチャだ。
「こういう事か。」
三橋は特に驚きもせず俺の姿とベッドを見た。
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新月の雫
『緋色の三日月』マガジンの続編。自伝的小説。 東京へ一人旅立ったマリアの22歳~33歳迄の話です。『はじめに』『あとがき』『ソウルメイト(…
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