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日報 2月3日

記入者:かくなみ みほ


わたしの布団の枕元には、
およそ10冊の本が置いてあります。

常備と言うには大げさで、
気分で中身を入れ替えたり、
冊数を加減します。

10冊の本はすべて読み終わっているわけではなく、
中には絶賛読書中のものも混じっています。



夜、わたしは布団に入ってから、
くいっと首を持ち上げて枕元の本を眺めます。

背表紙をひと眺めし、題名に一つずつ目をやります。
わたしは、そのまま一冊も手にとることなく布団をかぶります。

眺めるだけで、とても満ち足りた心地になれるのです。



読んだことのある本を、
お守りのように持ち歩いたこともありました。

持っとくだけ。積んどくだけ。眺めるだけ。
それだけなのに、本のパワーがとろとろとろとろ、
静かに心へあふれてくるのです。

漫画でも文庫でも単行でも、
絵本でもリトルプレスでも自費出版本でも、
どれもすばらしいパワーを秘めています。

そのパワーは、響くときに響き、
通り過ぎるときには通り過ぎます。

必要なときにやってきてくれるのです。

昔は興味がなかったけれど、
今さら読んでみたらすばらしい本だった!
という児童文学があります。
今この歳に出会うべくして出会った本でした。

そんな例もあり、
わたしは自由気ままに本と戯れるようになりました。



わたしの枕元には今、
人生のお守りが並んでいます。

わたしの喜怒哀楽にもめげず、
凛とそばにいてくれた、寡黙な精鋭たちです。

これはちょっとした神棚みたいなものかもしれません。
神棚ならぬ、紙の棚。紙棚。




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