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展着剤の話①

農薬を散布する際に加える展着剤。
基本の効果は、散布する農薬を作物に定着しやすくする、というものです。

作物によってはキャベツなど水を弾きやすい性質のものがあるし、しっかり濡れたからといっても、農薬によってはその後の雨で流れ落ちてしまったり。
植物の表面には「クチクラ層」というものがあり、これが天然のワックスの働きをします。
キャベツやブロッコリーなどの野菜やりんごなどの果物を溜め水で洗うと油膜のようなものが浮いてくるのはこのクチクラ層だったりします。
他にも表面に微細な毛が生えていて、それが水を弾いたりするんです。

こういう弱点を展着剤を加えることによって改善し、水を弾くような作物にもしっかり薬剤を定着させ、その後の雨でも流れ落ちにくくします。

でもぼくは就農するまでこの「展着剤」という存在そのものを知りませんでした。

展着剤は、いわゆる「界面活性剤」と呼ばれるものから出来ています。
水と油をなじませる役割を果たす成分で、石鹸や洗剤の主成分でもあります。

この展着剤、実は意外と色んな種類があって奥が深かったりします。
農薬散布の際に希釈液を作るわけですが、この時、展着剤と農薬で入れる順番があります。

まず散布量に必要な水を用意し、そこに最初に入れるのは展着剤です。
農薬の前に展着剤なんですね。
(一部には例外の展着剤もあるそうです。ラベルを確認してください)

そうする事で、ムラなく均一な展着剤の希釈液を作ります。
その後に農薬を希釈倍率に沿った量を入れ、撹拌し均一に溶かします。

ただ、農薬の種類によって、実は展着剤が不要な場合もあります。
展着剤を加えることで農薬の効果が落ちてしまう薬剤もあるんです。

農薬には、液剤だったり、水溶剤、水和剤、乳剤、フロアブルなど、いろんな剤の種類があります。

このうち、乳剤とフロアブルに関しては、すでに展着剤成分が加えられている場合があります。
詳しくはその薬剤のラベルに使用方法が記載されているはずですが、どんな場合でも展着剤を加える、ということではないので注意が必要です。
また、デンプン剤や植物油剤など、虫を包み込んで効果を発揮する農薬は展着剤は不要のものが多いです。
展着剤を加える事で水と馴染みすぎてしまい効果が落ちてしまうようです。

以上が基本的な展着剤の役割ですが、現在はアジュバンドと呼ばれる機能性展着剤というものも色々販売されています。

機能性展着剤についてはまた次回。

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