046-monologue

【2018年1月31日 大井ふ頭移動中】
 MMP募金の件でわたしにからまれた日記の主さん、復興支援Tシャツに乗っかったイベントを打ったわたしに、ふつうなら嫌味の一つも言いたくなるだろうに。
 でも、「いまさらいい人ぶるのか」なんて仮に思っていても言わなかっただろう。いったん和解した以上蒸し返すようなひとではないのだ。
 何度も意見の交換をしたからそれがわかる。理知的なひとなのだと思う。
 イベントをわたしの翻意と指摘してちくりと刺してきても、外野の誰も大人げないとは思わないだろうし、それどころかあの日記にいて気分を害した賛同者は支持したかもしれないのに。
 逆にうかつに復興支援Tシャツに触れようとせず、わたしが曲解する危険をちゃんと回避している。
 わたしだってそこまでへそ曲がりではないけれど、そう警戒されて仕方のない態度をわたしは彼たちに見せていたのだから。
「イベントやるならメッセくれてもよかったじゃないですかあ。ぼくも参加したかったなあ」
 彼はそのコメントを直近の結果発表日記にではなく、前日の開催告知日記に書き込んでいる。
 わたしのイベントは男性キャラに景品の取得資格はないのだけれど、そのルールを明記してある開催告知日記の方ににわざわざ書き込んでいるのだ。
 コメントが、そのルールを十分理解したうえでの彼のウィットであることがわかる。
 そしてわたしがそう受け止めることも彼はちゃんと理解していて、わたしがどのような反応をするかもある程度予測していたに違いない。
 だから彼が期待しているのは他人行儀な社交辞令ではない。
「参加は大歓迎ですけど……景品は差し上げませんよ(눈_눈) 男性キャラなんですからwww」
 彼はのちに『あんなふうに突っ込んでくれるってわかってましたよ』と述懐する。
 それはわたしへの信頼ではなく、コミュニケーション能力にたけた彼の余裕だろう。
 これは皮肉でも卑下でもないけれど、通りすがりに犬に吠えつかれ、巧みになだめて小屋に返したのに、あえてその小屋に手を差し入れたのは和解を相互確認するためだ。
 そして自分のコミュニティのメンバーに『ようりとは和解した』と認識させるためでもある。
 考えすぎかな。そうではないと思う。だからわたし個人宛のメッセージではなく日記のコメントだったのだ。
「いやほら当てたら相方にプレゼントもごもご」
「なんだ、そういうことなら喜んで差し上げますよ。いろいろお礼です^^」
「ホントですか? あ、でもぼく相方いなかったわ」
「おらんのかいw」
 彼がうまく立ち回ってくれたおかげで、こうして軽く冗談を言い合える関係で終わることができた。
 彼のその立ち回りは、きっと最適解だったのだと思う。

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