クレヨンしんちゃんの「組長」について真面目に考えてみた

人気アニメ「クレヨンしんちゃん」に出演している「組長」ことアクション幼稚園の園長先生。

黄色のスーツにパンチパーマ、薄い色のサングラスに口ひげ、さらにあまり知られていないですが本名は「高倉文太」、というインパクト抜群のキャラクターです。

しんちゃん達からふざけて「組長」と呼ばれても、一度は任侠映画のセリフを言ってからノリツッコミをしたり、好物である納豆にネギが入っていなかったらスネてしまうといった、作中屈指の愛されキャラです。

その風貌から、保護者や近所の人から怖がられることはもちろん、職務質問をされたり、果ては本職の人から本職に間違えられるなど、完全なヤ○ザキャラとして定着しております。

しかし、この組長先生の立場は、言うまでもなくアクション幼稚園の園長先生。

原作では「上京した際に一人の子どもが飴を渡して元気づけてくれたため、将来子どもの役に立ちたいと思い幼稚園を設立した」とありますが

今回はもっとグッと現実に寄って、

この「幼稚園の園長先生」になるのが如何に大変か、更にどれだけの努力が必要なのか、ということを

現役保育士である私が考察してみました。

目次からまとめてみましたので順番にどうぞ。

※「こういった経歴だったのだろう」という推測が多分に含まれておりますので、ネタとしてご覧ください。また、この考察は「アクション幼稚園が家族経営ではない」という前提で考えております。

①幼稚園教諭一種免許を取得している

まず、これが無ければお話にならない。

この免許は、子どもに教育を行ってもよい、と国から交付される「免許」である。小学校や中学校の教員になるためにも「教員免許」が必要となるが、同様に資格ではなく「免許」が必要なのである。

この幼稚園教諭一種免許を取得する条件として

・文部科学省の指定する四年制大学の卒業

もしくは

・幼稚園教諭二種免許を取得後、3年程度の幼稚園勤務歴

が必要となる。

幼稚園一種免許と二種免許では、仕事の内容に関して大きな違いはないものの、二種では「主任まで」、一種は「園長」に着任することができる。また待遇面でも一種免許が優遇されている。管轄である文科省のデータでは二種免許のみを取得している人が圧倒的に多い。

つまり、組長先生は若いころから「幼稚園の先生になりたい!」という強い意志を持ち、更に多くの授業や実習・日誌にもめげず、夢を追い続けてきた努力の人だ、ということが分かる。

②園長昇任試験をクリアしている

幼稚園の園長とは、長く働いていれば着任できるという簡単なキャリアではない。

小学校の校長先生と同様、園内の昇任試験をパスして初めてその立場に就くことができる。昇任試験の内容は各都市・各園によって様々だが、ある県の市では教養試験・論文・面接・勤務状況を昇任試験内容として公表している。つまり組長先生はこれらの試験を全てクリアしたことなる。

ましてや組長先生の年齢を40代後半~50代前半と想定すると、組長先生が幼稚園教諭の平社員として勤務していた時代はまだ男性の保育士や幼稚園教諭が現在ほど一般的ではなかったであろう。ひょっとしたら周囲の奇異な目や反対もあったかもしれない。それらを押し切ってこの昇任試験を受験し、更に合格までしている組長先生の努力。まさに幼稚園教諭としての鑑である。

③人望と実績

はじめの部分に「アクション幼稚園が家族経営ではないという前提」と記したが、その前提がこの項目に大きく関わってくる。

全てだと断言はしないが、家族経営の幼稚園や保育園では自分の家族に役職を譲る・与えるという経営方針の園が存在する。もちろん、与えられた人が人望と実績を兼ね備えており、園長という立場に適任であるならばそれに越したことはないが、悲しいことに家族経営だからこそ起こる「ワンマン経営」という問題を抱えている園も点在している。

もしアクション幼稚園が家族経営で無いならば、「組長先生の努力と人望で園長に着任した」という何よりの証拠となる。

もし実績があっても人望がなければ昇任試験の合格は難しいだろう。その逆もまた然りである。

組長先生は四国出身で30年前に単身上京してきた、という原作の設定を忠実に取り入れるならば、恐らく家族経営ではないと推測される。組長先生の努力がまた一つ証明されたのである。

④まとめると

まとめますと組長先生は

・勤務態度良好で

・強いリーダーシップを持ち

・教諭としての実績も申し分なく

・子どもに対して教育熱心であり

・上司だけでなく同僚や部下からの信頼も厚い

このように判断された上での園長着任ということになる。

確かに、原作を見れば子どもを怒鳴ったり叱り飛ばすシーンなどは一度も出てこない。いつも子どもに小バカにされながらも、笑顔でツッコミを入れる優しい組長先生の表情を思い浮かべる人も多いだろう。確かに服装や見た目は本職の人よりも派手でおっかないが、彼は誰よりも努力をし、園長先生に為るべくして為った、と言っても良いのではないだろうか。

組長先生が園長先生で居る限り、きっとアクション幼稚園は安泰だろう。

子どもの将来のために、ここまで努力できる人なのだから。




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