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高田崇史著作 QEDシリーズ紹介2    熊野の残照

Ⅰ高田崇史先生プロフィール

958年生まれ
薬剤師免許を持つ異色のミステリー・SF作家
QEDシリーズの第1作「QED百人一首の呪」で1998年第9回メフィスト賞受賞

数多くの著書を持つが、一貫して高田史観とでもいうべき、梅原猛博士の怨霊史観に通ずる隠された歴史を題材にしている

小説の手法としては、QEDシリーズはミステリーの歴史の謎が絡む二本立ての構成を取っている

ⅡQEDシリーズの紹介のコンセプト

QEDシリーズは1998年の第1作「QED百人一首の呪」を肇として、2021年の最新刊「源氏の神霊」まで22巻を数える大長編だが(マーシーは21巻の優曇華の時までは読んでいる)ストーリーは、1巻ごとに完結していて、また22巻の中にはスピンオフしたストーリーも含まれる

そこでこのnoteでの紹介では、高田史観を手っ取り早く理解し楽しめるように、マーシーの主観に基づいて刊行順に拘らない紹介をしていこうと思う

要は楽しく読んで、高田史観が楽しめりゃいいじゃんということ

ネタばれ無しで簡潔な紹介にしたいと思う

シリーズの主人公は、漢方薬局に努める桑原タタルこと桑原崇(タカシ)と1期後輩でやはり薬剤師の棚旗奈々

そこに、タタルと大学で同期、しかし文学部出身で現在はフリーのジャーナリストを自称する小松崎良平(空手部主将を務めたごつい体から愛称は熊)が狂言回しとして絡む

それでは紹介を始めよう

ⅢQEDシリーズ紹介その2『熊野の残照』

シリーズ第10巻目にあたる本作は、桑原崇(タタル)と棚旗奈々が、薬剤師会の学薬(学校薬剤師)旅行で熊野に赴く

そこに
人には言えないある理由から、故郷熊野を捨てた26歳の薬剤師・神山禮子が加わることによって、物語が展開していく

後鳥羽上皇を肇とする多くの上皇たちが、なぜ苦行の熊野詣を繰り返し行ったのか?

牛王宝印に掛けられた呪いとは?八咫烏の正体はなにか?

神倉神社の御燈祭に秘められた歴史の真実とは?

タタルが神話の真実を暴くとき、神山禮子の真実が炙り出されてくる!
熊野の古い村に伝わる忌まわしい因習と禮子の哀しみが・・・

本作は、QEDシリーズの中の外伝と作者が位置づける~ventus~(「風」の意)となっている。

外伝は3種類あってタイトルにventus(「風」の意)、flumen(「流れ」の意)、ortus(「始まり」の意)とつくのが特徴。

本編との違いとしては、ventusは本編よりももう少し手軽に読めるように作られた作品を目指しているとのことでちょっとライトな内容。また、flumenはQED本編とventusのどちらにも属さないカテゴリーを集めた番外編で、時の流れを意識した作品が多いようだ。

ライトとは言え、高田先生の歴史に対する蘊蓄は本編に劣らぬ精密さで、思わず唸らされる。

前回紹介した『式の密室』もこのventusに位置付けられているが、膨大なボリュームのQEDシリーズを紐解く入門編として、ventusは相応しいと言えるかもしれない。


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