物語・観自在編 その5(「黄金の華の秘密105」)

以前、書店で『ホームレス中学生』という本を立ち読みしたことがあります。いまやお笑い芸人、麒麟の田村さんとして人気者の少年時代を描いた実話だそうです。

読みましたと言っても、正確に言えばパラパラと捲ってみたという感じですが^^;

その後、すぐベストセラーになりました。

この本は、何故そんなにも売れたのでしょうか?

お父さんの「解散!」宣言で、田村少年は僅か中学生にしてホ-ムレスになります。

グレて根クラになっても、不良になっても何ら不思議ではない人生のはじまりです。

「私は、彼以上に不幸だ!」と仰る方は別として、いまこの日記を読まれている皆さんは、おそらく彼よりも幸福な人生を送ってきたと思います。

しかし、現実の社会ではどうでしょう。

ともすれば、私はなんて不幸な星の下に生まれてきたんだろう、

とか、せめてもう少し器量よく生まれていれば、或はもっと金持ちの家に生まれていれば、・・・という「もう少し、もっと」の感情を抱いて生きている人が多いのではないでしょうか?

中には、こんな人生を与えた神様を恨みます!なんて人もいるかも知れません。

田村少年は、

「僕はバカだから、貧乏を少しも辛いとは感じませんでした」と語っています。

私は、涙でその後を読むのが辛くなり、それで、パラパラとページを捲ってしまいました。

他の人なら、きっと父親や社会への恨みつらみや不平不満を書き連ねたかも知れません。

実際には、それほど不幸ではないにも拘らず、そのように思っている人が世の中の人の大半だと思います。多くの人は、自分目線でしか物事を考えようとしないのです。

彼は、・・・田村さんは、最後のところでこのように結んでいます。

「僕はお母さんのことが本当に好きです。こんどお母さんに会った時に、恥ずかしい自分でいたくないという思いで今日まで生きてきました。」

彼は、いまは亡き母親の目線(観自在)で自分を見つめ続けて生きてきたのです。

観自在を持つことで「人生が大きく変わる」ことを、彼は身を以て私たちに教えてくれているのではないでしょうか。


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