物語・観自在編 その3(「黄金の華の秘密103」)

『崖の下のピノ』

「崖の上のポニョ」という映画が上映されています(?) ちょっと映画の内容とは外れると思いますが、・・・

『崖の下のピノ』

(ナレーション)

海中という3次元空間で泳ぐ魚達くんたちには、海水は空気のようなものです。海面スレスレから上を見上げれば、崖の上には人間様がいらっしゃる様子、・・・

そこには、ディズニーランドや映画館、デパートに公園、となにやら楽しげ、まるで天国のようです。でも、同時に崖の上には戦火や餓えに塗(まみ)れた場所もあるようです。それはまるで地獄絵のように思われました。

「わたしも死んだら、あの世で人間様(仏様?神様?の意味)になるのかしら?」と、魚のピノちゃんは呟きました。

「でも、わたし、地獄には行きたくないわ、絶対にイヤ!」と涙ぐんでいました。

それを聞いた深海魚のマーちゃんが、

「この世(海の世界)が全てで、崖の上なんて、そんなところは存在してもいないし、人間様なんてモノは空想の産物さ。

何も心配なんかしなくてもいいよ」と慰めるのでした。

ところがピノちゃんは、

「いいえ、そんなことないわ! だって、わたし観たんですもの、人間様を! この目でシッカリと!!」と応えました。

マーちゃんも、他の深海魚たちも「かわいそうに、頭がすこしおかしいんだわ、この子」という目でピノちゃんを見ていました。

そこに回遊魚のカツオ君がやって来て、「確かに人間様というか、宇宙人というか、「崖の上(あの世)」には恐ろしい奴がいて、時々、一本釣り(ミューティレーション)とか称して我々を「崖の上」に連れ去っていくそうです。人間様は、われわれ魚類を水族館というところで飼ったり、魚屋というところで売ったり(人身売買?)しているそうですよ。中には八つ裂き(刺身です^^;)にされる仲間もいる、と聞いています。かわいそうなことですよ、まったく。でも、見世物にされるくらいなら、いっそひと思いに、・・・という方が幸せなのかも知れませんけどね。俺だったらそちらを願いますね。」と。

そこに長老の鯨エルが吠~える、でもなく静かに「確かに人間様(神様)はいる。しかし一本釣りをしているのは宇宙人だと思うんじゃ、おそらく」と言った。

深海魚たちは、キョトンとしながらも海底遺跡である戦艦大和の周りを泳いでいました。

そして深海魚の1匹がこう言いました。

「そう言われてみれば、この遺跡であるオーパーツ(=戦艦大和)も、われわれ魚類の力ではとても作れそうにはないからね~」

「何か、われわれよりも偉大な力を持った何かが存在しているんでしょうかね。

でも、人間様がいるのならどうしてわたし達の前に姿を現さないのでしょう?」

エルが言った。「わしは何度か見たことがあるし、わしの仲間にも見たことがある、というモノが何人かおるでの」

「そうそう、ニューエイジを学んどるドルフィンたちは人間様のことを良く知っていて、人間様とも仲がいいそうじゃ」

「海の上に出れば見られるかも知れないけど、一歩海を踏み出せば、俺達たいていの魚類はお終いさ。そこには空気(「三途の川」のこと^^;)というものがあって、そこを渡ると生きてこの世(海中)に戻っちゃ~来れないからね。」「尤も、長老のエル様やドルフィンたちはチョクチョク顔を出しているようですけどね?」とカツオ君が続けざまに言いました。

聞いていた深海魚たちの中には、聞き入るモノ、白い目を向けているモノ、目をパチクリさせていモノやら・・・深海魚たちの中にある種の混乱が起きました。

ひとりピノちゃんは、ニューエイジのことを調べてみようと決心したのでした。「これで、わたしも人間様になれるのかしら。」と。

やがて時が流れ、ピノちゃんも立派な大人のお魚さんに成長し、女の子(サカナの子!)を出産しました。

ピノちゃんは、我が子に「生きながらにして人間になれる方法」を教えてあげました。

その女の子の名前は、ポ×ョと言いました、とさ。

おしまい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?