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初恋ゲーム

「なっちゃんとか?」

「すげぇ、一発で正解」

学生の頃、クラスで暇を潰していたころ、昔好きだった人の名前を当てるゲームをしていた、とにかくやることがない僕たちはいろんな遊びを考えては暇を潰していった

「佐藤とか?」

「いや武藤、惜しいね」

「じゃあ次俺の番ね、ヒントはmから始まる」

「えーっと、まいちゃん?」

「いや、違うね」

「まりちゃん?」

「ほぼ正解だけど、あと少し」

「まなちゃん」

「いや遠ざかったわ」

「じゃあまりこちゃん」

「そっちじゃない」

「まりかちゃん」

「正解!」

「マリオカートじゃん!」

なんだそのツッコミはと思いながら、休み時間をワイワイと過ごしていたら、次の授業が近づいてくる、できるならば一生休み時間を過ごしていたいがそういうわけにはいかない



「初恋の人の名前当てるゲームやろうぜ」

それから時が経ち大学生の頃、サークルでそのゲームをやることになった、やることになったって言っても暇すぎたから僕が言い出したんだけど

またワイワイと楽しみながらそのゲームを続けるのち、誰かが言った

「俺地元離れてきたからなー、あの子いま何してんだろ」

人の初恋なんてたぶん小学生低学年のころ、なんかあの子かわいいなとかその程度の気持ちだから恋愛になるなんてことはあまりないと思うけし、人の出会いと別れなんて山ほどある、進学に連れて離れ離れになることなんていくらでもあるが確かに気になる、昔好きだったから

あまり言葉に表せないようなふわふわした気持ちになりながら家に帰ったとき、成人式のグループラインを見てみた

なっちゃんもグループに入っていたっけなと思いながらメンバーを見ていた、あった




なっちゃんのアイコンには、なっちゃんオレンジと缶コーヒーが並んで写っていた





なっちゃんの横に缶コーヒー。。。


男の匂いがする



男か、男なのか、男の子の缶コーヒーなのか?彼ピッピなのか?ぴえん

いや別にね、別に気にしてるわけじゃないよ、大学生だし、彼氏くらいできるだろうし、いや別にほんとなんとも思ってねぇし

震える指先にタバコを挟み、心を落ち着け。火をつけて吸い込む煙に少しむせながら、地元の友達にライン通話をそのままかける


「もしもし、どうしたの?」

「あぁ、調子どうよ」

「いや別にふつうだけど、なんかよう?」

「あのさ、なっちゃんのLINEのアイコンあるじゃん、あの缶コーヒーとなっちゃんのやつ、あれさ、あれって彼氏かな?」









「あぁ、あれじゃない、あいつ武藤だから無糖のブラックの缶コーヒーとなっちゃんで武藤なっちゃんなんじゃない」















「そっか」

「なんで、好きだったっけ?」

「いや別に、なんとなく気になっただけだし」






タバコを挟んだ指先は、もう震えていなかった


















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