面白いことが見つかるようになるために_01

私事ですが、髪を染めて切りました。ピンクベージュのとっても可愛らしい色です。黒髪に染めたのは、2回めのナゾガクの前なので、2014年7月です。もっと長い間黒髪だった気がするんですが、意外と黒髪だった期間短いんですね。

髪の毛をいじるのって、やっぱり気分転換になります。どんな気分転換かといえば、「面白いこと無いなー」というここ最近の停滞感をなんとかしたかったっていうことです。

ここ半年くらい「面白いことないかなー……ないなー……」っていうのが口癖になっていて、そろそろ本当に不幸せになりそうなので、過去への決別ってやつをしようと思ったのです。

なので、面白かったことについて色々まとめておこうと思いました。私が面白いと思っただいたいことは「体験」です。(mixiとかブログやってたころは自分語りを良くしていたけれど、最近していないしね…)

参考はこちら「ARG/謎解きイベント好きクラスタ向けデータいろいろ」

https://docs.google.com/spreadsheets/d/1HhcKTQ1jfUBSwkyGTj3P03VJ2y8wmLvTN0LiDQlY5J8/edit?usp=drive_web

■はじまり

一番最初に「体験型」をした経験を振り返れば、それは高校時代の演劇部での経験なんじゃないかな、と思っています。お芝居を見に行くことは今でも私の趣味の一つで、「目の前で生身の俳優が物語を紡ぐこと」により、単なる物語の「読者」ではなく、演者と「観客」という、その物語い干渉しうる存在になること。干渉なんて出来ないじゃん、いわゆる客いじりみたいなやつ?という考えもあると思いますが、演者と観客がいて初めて劇場が存在しうる……みたいな、そういう演劇論を持ち出すまでもなく、聞き手のノリのよさ次第で話しやすい・話しにくいというのがあるのは、普通の会話でも感じたことがあることだと思います。その演者と観客の間に生まれるものが第三の舞台だっていうんでしたっけ?

今でも思い出深いのが、大川興業の暗闇舞台。松本キックさんが出てるときのを神戸で観た(?)のです。ずっと暗転しきった中、セリフを聴いて感じる。方向、位置、距離。そして気配を感じる。役柄がたしか目が見えないボクサーで、ものすごく不思議な体験をしたと印象深い芝居の一つです。

とはいえ、演劇はやはりたんなる受容の物語です。そういう意味で、いわゆる「この界隈」に足を踏み入れたのは、上記の画像の頃です。mixiの日記を漁ったら残っていました。

「VIPPERのあんたがたに挑戦します」という遊びの10番目のナンバリングのGM(ゲームマスター)をしていたときに、東京のメンバーと会いつつ上京したときの日記です。あんたがたについて知らない人はググっていただくとして、簡単にいえば暗号を解いて現地を導き、現地に行ってガムテープを探す遊びです。私は夢中になりました。何がそんなに面白かったんでしょう。

本当に話をすれば、それなりに賢い大学に通っていてミステリ小説が大好きだった私は(文系とはいえ)暗号とかそういうのはチョロいと思っていました。なので、VIPで最初にスレッドを開いたときは、暗号とかバンバン解けると思っていたものです。もちろんそんなことができるわけはなかったのですが。あんたがたの中では、謎を解き明かした人を甜菜(てんさい=天才)と呼んでいました。甜菜になった記憶はまともにないです。簡単に自身とかへし折られますよね。それで、暗号が解けないのに面白いのか?といえば、面白いのです。

数カ月に一度しかないお祭りで、甜菜たちが華麗に謎を解いていくのを「マダー?(AA略」と書き込みながら、スレッドのなかで適当な雑談をしたり、「おっ、そろそろ解けそうだな?大阪だったらすぐ行くぞ?」と夜でも家を出れるように化粧をしだしたり(女子力)、ネタコラを作ったり、コピペ改変をしてみたり、もちろん問題をプリントするためにセブンイレブンに行ったり、そんなことをしていました。名前のない名無しになって、そんな遊びの一部になることが楽しかったものです。

しかし、飽きます。

何で飽きたのでしょう。

頻度の向上、問題やスレの動きのパターン化、そして遊びの否定、メンバーの固定化。

最初の三つはそのまんまです。頻度が上がれば飽きる、何回もやれば「これはこのパターン」とパターン化される。お約束芸といえばそうだし、お約束の面白さもありますけどね。遊びの否定は「そんなことより野球しようぜ!」「問題解くよりおうどんの話しようぜ!」って言ってもノッてこないどころか怒られるっていうことです。これも純粋に謎を解く人だけ残って、遊ぶ人はスレッドにいなくなっていた過疎化ってだけだった気もしますが、そればっかりはわかりません。

で、あんまり触れられない話題だし、ただの名無しの人たちはこんなことを思わないのが最後のやつです。私はあんたがたのメンバーが大好きでした。当時はまさにmixiの全盛期で、わりと色んな人とマイミクになったりならなかったりして、仲良くしてもらってました。顔が広い人と仲良くなれたのも良かったんだと思います。あんたがたは開催はすべて2chなので、みんな書き込むときは名無しです。名無しだからはっちゃけることもできたり、終わった後とかに「あれは俺www」みたいなことを言い合うのも、なかなか面白い体験だなと思います。そしてその輪がどんどん広がっていくこと。面白い人がどんどん増えていって、ときには面白くないことになったりするのも含めて面白かったんじゃないかな、と思います。「すごく面白いことをやっている知らない人が世界にはいて、その人と知り合ったりもしかするとお友達になれるのかもしれない」という未知の世界へのワクワク。

体験型の遊びをしている中で、そのイベント開催中だけ楽しければいいというわけではない。そのイベントにまつわる色んなことも含めての、面白さ。

私はずっと、ウサギの穴に落ちることを夢見ていました。ARG(代替現実ゲーム)での物語の導入を、不思議の国のアリスのウサギの穴に落ちることにちなんで、「ラビットホール」と言います。そうではなく、ARGなんてものを知る前から、具体的にいえば小学生の学校からの帰り道、地元の町を歩きながら、いますぐこの足元の地面が穴になって、落ちていったらスレイヤーズの世界だったらいいな、とか、そういうことを考えていました。

仲良くない人もいるけど、知らない人のこともなんとなく知っていて、そしてこれ以上は広がらないだろうし、だいたいいまから参加する人なんて情報感度が私よりも遅いの人か子どもしかいない。そういう時代が来たときに、私はリアル脱出ゲームに出会いました。

■はってん

※リアル脱出ゲームの思い出話です。不意打ちにネタバレに出くわす可能性があるので、そうですね…2010年とかそれ以前とかの公演に未参加で、再演されたら行くって人は読まないほうがいいかもしれません。ネタバレというか、雰囲気バレ?謎の答えとかはないです。覚えてないし。

ちらっと触れたとおり、私は大阪に住んでいました。大阪に住んでいてお芝居が大好きでした。私がリアル脱出ゲームの存在を知ったのは、ある時のHEP HALLにおかれた「HEP HALLからの脱出」のチラシでした(たぶん3かな?)。運悪く(?)東京への引っ越しが決まっていて、HEP脱出は私の引っ越し後に開催だったため、参加することはできませんでした(余談ですが、引っ越し後に、私の旧居から徒歩5分のところにガムテが貼られたのは、今でも許していません)。ご存じの通り、リアル脱出ゲームは京都ではじまり、大阪、東京へ広がり花咲いた遊びです。私はその後、東京の世田谷ものづくり学校で行われた図工室からの脱出に参加することができました。鬼のようなチケット争奪戦で、平日夜遅いスタートの回しかとれなくて、池尻大橋から泣きながら終電近くに帰った記憶があります。

図工室からの脱出、本当に最高に面白かったんですよ。って、これはいつも言ってるんですけど。図工室からの脱出がどんな内容だったかは、ネタバレしているので、適当にググっていろんな人のブログとか読んでください。私のでもいいです。私がゲーム中に何をしていたかって、正直ほぼずっと折り紙していました。謎とか解いてないし、ていうかだいたいにおいて謎なんてなかったような気がします。あの頃のリアル脱出ゲームの参加者って「よくわからないけど、気づいたらほかの人が謎を解いていた」ってすごく言うんです。そういう作りだから。でも、私はそれでも面白かったんですよね。私がやったことが、成功への一部になる。何かわからないけど物事が進んだらみんなで喜び、はしゃぐ。RPGのパーティー制度なんてうたってないけれど、物事は自然と役割分担され、頭脳担当は計算し、器用担当は折り紙を折り、体力担当は隅から隅まで探索をする。私は最初の最初から、謎を解くことに快感を覚えたことなんか、ないんじゃないでしょうか?

すごいなあ、こんなに面白いことが世界にはあるのか。本気でそう思って興奮しながら当時住んでいた西荻窪まで帰ったわけです。

その数日後(だったかな…)、アフターパーティーなんてイベントもありました。懐かしい。あの場所にいた人は、今何をしているんだろう。Twitterがはやりだすか、ださないかっていう頃だったので、いまでもフォローしている人もいたりいなかったりします。

三月さんbotにも入れているこの写真、知らない人は知らないと思いますが、まさに図工室です。最後の最後に手に入るカギです。

次に参加したのが終わらない学級会。まさにいま再演してますよね。(この振り返りを書こうと思ったのは学級会の再演があったためっていうのもあります。)終わらない学級会で私は事件を起こしてしまったわけですが、それはちょっとこの場では触れないことにして(恥だからね!!)、これもまあまあ面白かったですよね。絶対成功補正はかかってますけど、まあまあ面白かったなって。でも、いまだに私は自分が恥を犯してしまったことの理由はわかってるんですよ。それは脱出していないから。学級会のアフターパーティーでもひたすら恥ずかしかったけど、とても楽しい思い出でした。おかげで顔と名前覚えてもらったからもういいよ……と最後のほうは思ってましたが。

最初のインパクトはないけれど、まあまあ楽しい時間を過ごしていました。その後は、廃病院、飛行機(大阪)と続いて、マジックショーではボラスタやってました。知らない人も多いかもしれないですけど私はボラスタ経験者なんです。めっちゃ昔なので今のことは何も知らないですけど。マジックショーのあとに夜の学校があって、夜の遊園地(初回)。夜の遊園地の前にはカルカルで前夜祭があって、そこで「リアル脱出ゲームの案を出そう!優秀者は採用するかも!?」ってやつで、ウェディング脱出を提案して賞品貰ったのが懐かしい思い出。

あの頃はネタバレ禁止なんて概念もなくて、スマホも普及していないガラケーの頃で、公演が終わったら問題の写メを撮って、覚えている限りの解説をブログに書いて、ネタバレ解禁時間がきたらワクワクしながら公開して、そのまま「他の人はどういう体験をしたんだろう?どういう役割をしたんだろう?」というのを漁るのがとても楽しい時間でした。

私、夜の遊園地、面白くなかったんですよね。面白そうじゃないわけないじゃないですか「夜の遊園地」なんてタイトル。でもしんどくて。今となっては当たり前なんですけど、広い会場をめっちゃくちゃ歩くのがキツくて。今以上に導線管理とかももちろん出来ていないなかで、ゴールに並んだのに眼の前で切られるっていう体験をしたからってのもあると思うんですが。……やっぱり今考えてもそんなに好きじゃないな。とはいえ、私はまだ楽しんでいました。素敵なロケーションのなかで閉じ込められる疑似体験をすること。

ああ、おかしい。体験だったはずのことが、もう疑似体験になっている。

信者だった私は、面白くなかったわけないのでもちろん次にも遊びに行くわけです。でも、耐えきれなくなったのが人狼村からの脱出でした。失敗でのマイナス補正はもちろんあるので、面白い/面白くないっていう観点は捨てます(失敗してるし)。「ゲーム中に一回も席から立っていないな」って気付いた瞬間に、私はすっと冷めたんですよね。

「謎を解くことに価値を見出さない私がハマっていたリアル脱出ゲーム」が、「単なる謎解き公演」になった瞬間でした。

今思えば、いい公演ですけどね。私が好きだった「体験」はもう出来ないんだって悟った瞬間です。

■もっともっと

私が好きな体験って何だろう。そんなことを考える日々でした。自分のことを考えるのは、今も昔も大好きです。「私は何が好きなんだろう」「私はどういう人間なんだろう」「私は……」「私は……」。

自分が好きなことをたくさん詰め込んで、わたしは公演を打つことにしました。RDGという団体は、まさに夜の遊園地のあとくらいに飲んだくれながら「自分でもリアル脱出ゲームつくれるんじゃね?www」と盛り上がった結果自分たちでもリアル脱出ゲームみたいなものを作ろう、自分たちが面白いと思うやつを!と公演をすることにしました。

RDGが公演をするきっかけはこんな感じですが、もともとはイベント制作のためにつくった団体ではありません。コミケでARGのまとめや、リアル脱出ゲームのレポートや脱出の心得をまとめた本を作るときに、さっさとつけたサークル名が「RDG」です。それをそのまま流用して、なんだかんだと今に至ります。(リアル脱出ゲーム脱出の心得10カ条は私たちのほうが先に作っているんですけどね!)


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ここまで書いてもまだ2011年のことまでしか書けなかったので飽きました。寝ます。RDGの話と、さらに私がどんどん世界に飽きていく話は気が向いたら続きます。


誤解を生みそうなところの補正と、次回書くことをちょっとメモ的に箇条書き

・「自分が好きなものを作ってくれなくなったからアンチになる」ってわけじゃない。自分が主なターゲットから外れただけ。

・単なる謎解き公演が嫌い=いわゆる「茶番」好きではない(茶番ってだいたいなんだ)。

・リアル脱出アーリーアダプターとARG界隈。そしてみんな去っていくということ。

・じゃあアジトでいいじゃん←よくない ということを、自分の中で掘り下げてみる。

・体験と物語のこと。物語体験と没入なら4Dでいいと思ったこと(メイズランナー2面白かったよ)。

・役割ということ。世界のすべてを私たちは知ることができないということ。

・体験と感情。知らないことを知ることが楽しいこと。

・責任のこと

三月ちゃんをいろんなイベントに出張させることが出来ます。ヤバそうなイベントに自分で行く気はないけど誰かに行ってきてほしいときに使ってください。