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コメの国際価格が15年ぶり高値

国連食糧農業機関(FAO)が9月8日に発表した8月のコメ価格指数(2014~16年=100)は前月比12.7ポイント上昇の142.4と急騰し、15年ぶりの高値となりました。前年同月比では31.2%値上がりしました。最大輸出国のインドが7月に非バスマティ白米の輸出を禁じたことが国際価格を押し上げています。ロシアによるウクライナ侵攻後に急騰した小麦やトウモロコシは下落し、食料安全保障への懸念はいったん和らぎましたが、新たな不安材料が生じています。

FAOのコメ価格指数は、コメの品種により、インディカ指数とアロマティック(香り米)指数、ジャポニカ指数、グルティナス(餅米)指数の4種類で構成されています。このうち、インド産米が多くを占めるインディカ指数が151.4と、前月比16.0ポイントの急上昇となりました。FAOは「7月のインドのインディカ白米輸出の禁止措置により、貿易に混乱が生じている」と分析しています。

一方、グルティナス指数も13.8ポイント上昇の114.0と急騰しています。これは、主要生産国であるタイが異例の降雨に見舞われ、生産への懸念が強まっているほか、中国の需要が回復しているためということです。アロマティック指数は3.8ポイント上昇の115.2、ジャポニカ指数は0.3ポイント下落の139.7となりました。

全ての食料を合わせた8月の食料価格指数は前月比2.6ポイント下落の121.4と、2カ月ぶりに前月を下回りました。FAOは、ウクライナ侵攻直後に急騰したピークの2022年3月(159.7)を24%も下回っているとして、食料価格の高騰は落ち着いていることをアピールしています。

小麦やトウモロコシの値下がりにより穀物指数が0.9ポイント下落の125.0と、7カ月連続で前月を下回りました。このほか、植物油指数は4.0ポイント下落の125.8、食肉指数が3.6ポイント下落の114.6,乳製品指数が4.6ポイント下落の111.3と値下がりしています。これに対し、砂糖指数は1.9ポイント上昇の148.2と、3カ月ぶりに値上がりしました。インドやタイの多雨、ブラジルの乾燥など、エルニーニョの影響による生産減少が懸念され、価格を押し上げているということです。FAOは「コメと砂糖を除き、供給増加が国際商品価格を押し下げている」と総括しています。

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