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海の日、午後の夢編

お昼ごはんは何故かいつも決まっているお店があってそこで寿司ランチ。茄子の田楽がついてくる、うまい。そしていつも隣の席ではマダムたちがランチをしている。もしかしたら前回来たときと同じ人たち…?まるで同じ夢をもう一回見ているようだ。誰かの話をしていて「突然倒れて、そのまま」「幸せよ、それって」と言っていた。そう、そうかもしれないな、と思いながら蟹の入った優しい甘味を感じる味噌汁をズズッとすする。突然いなくなった人たちのことを考えている。私はいつからいつまでここにいるんだろう。

寿司ランチをぺろっと食べて暑い中テクテク歩き、写真を撮りつつ程よいところで一休み。エッセイひとつだけ読む。これを書いた人もここに出てくる登場人物たちも、もういないんだと思うと私も何か残したいなと思う。不安は小さくなったり大きくなったり形を変えるけど、残したものの形は変わらないということを確かめられるから。正気と狂気を行ったり来たりが日常の中では目まぐるしくとても速いけど、さすがに海まで来るとスロープをゆっくり行ったり来たりしてるくらい緩やかなスピードになる。

もうお昼ごはんも食べて私のすることも無くなったので駅に向かう。そう言えば駅の近くに居酒屋があったけど、と思い見に行ってみたら別の店になってる。昼間だからかもしれないけど、閉店している店もたくさんある。やっと緊急事態宣言が明けたけど、何もかも変わったみたい。ガランとした小さな商店街を歩くと心までガランと何もなくなった。昨日の台風で水溜りがあちらこちらにある。今日は水ばっかり見てる。

駅前であおさの味噌汁買ってみた。オマケで少し安くしてくれた。小さい頃、家族と海に行った日のことを思い出す。当時、車に乗るとき必ずコンビニで買っていたブルーベリーの板ガムがあったからか、その味も一緒に蘇ってくる。こんな風なお土産屋さんで売っているイルカのキーホルダーや星の砂を買ってもらったりした。駅前にあった赤い花を撮ったらフィルムが終わった。

フカフカの電車の椅子で爆睡してしまい、ヨダレでも垂らしていたのか前の席の人に笑われていたようだ。誰も気付かないような細かいことを気にするくせに、意外とそういう大胆なことを恥ずかしく思ったり気にしたりしない。自分で自分がわからない。

新宿で現像を出して海の日終了。潮風に当たり日差しが強かったからか唇が塩辛く、そして腫れているような。電車で寝たのに帰ってからもよく寝た。

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