部屋

22歳。
私はもうすぐこの部屋を出る。


4年前、キラキラした気持ちを抱えただけのダサい田舎娘はこの部屋に引っ越してきた。

部屋をおしゃれにしたいという気持ちは人一倍あったけど、コンビニがやっと2軒あるだけのちっぽけな場所から出てきた私にはワンルームを使い勝手よく、なおかつおしゃれに飾り付けるなんて到底無理な事だった。
何となく買い揃えた家具をおいて、しっくり来ないなぁなんて思ってもしっくりくるような置き方なんてわかんないし買ってしまったものはしょうがない。
慣れない新しい匂いに包まれて、一人暮らし1日目はなかなか寝付けなかったことを思い出す。

それからいくつも朝が来て、部屋は写真や服やガラクタでいっぱいになってしまった。相変わらずおしゃれとは言い難い見た目であるが、生活感があふれた「私の部屋」にはなった。


それと同時にクソダサい田舎娘は学ばなくてはならないことも学ばなくていいこともたくさん吸収し、やさぐれたくそダサい女になった。そのクソダサい女は嫌な思い出を思い出すのが嫌なので、リマインダーはその都度部屋に隠した。部屋はいくつも私の嫌な思い出といい思い出を吸収している。

次の部屋は今より広い。近くのスーパーは9時で閉まらないしコンビニも近いしマクドも24時間開いてる。私には普通の人があるような感傷とか寂しさとかが生憎今のところ全くない。だからこの部屋を離れることになんの未練もないけれど、引越しは面倒だ。引き止めてんのかなとも思ったりする。違うだろうね。

最後の日は感謝はしてあげようかなと思う、それまでは丁寧に謝罪でもしようかな。

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