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“Return to Innocence”, Enigma @Olten, Switzerland

2年ぶりの本社出張、帰国の朝は見事な霧。土曜日の朝は朝食も平日よりは断然宿泊客も少なく、遅いスタート。ぼんやりと霧の外を眺めながら、朝食。オレンジジュース、ブラウンフレークにヨーグルト、フルーツポンチがけ。ライ麦ハード系のパンは、へたはヌテラ、スライスはハードチーズ、ハム、キュウリをのせてオープンサンド。今朝はSchaleではなく、ミルクティーな気分。若い女の子が、初々しく生き生きとサービスしてくれるのを好ましく感じながら、外の霧の世界と同じ様にボーっと、帰国かぁと週明けからの現実をあんまり考えないように、耳に聴こえてきたのは、ローカルラジオからの懐かしいメロディ。何だったっけなぁと、自分の中を探し出すと、突然復活してくる強い感情。

夏休みに田舎から東京へ遊びに来ていた10代の私、母と一緒に訪れた今は無いCDショップ、地下にnatural woodnな天井の高い空間、WAVEのラジオ放送ブースから、ドン!と身体全体を貫く音楽の衝撃。聴いたことの無い、酷く感情、本能を揺さぶるメロディ。思わずそのまんま、母に頼んで買ってもらったCD、エニグマのリターン・トゥ・イノセンス。

月曜日から木曜日まで働き、金曜日にとった有休。普段の東京での日常生活と違う、こちらでの生活が、自分にはより人間らしく感じられ。そんな好ましい日々から離れるぼんやりした寂しさに、懐かしいメロディが一気に強い感情を記憶と共に引っ張りだされ、目頭が熱くなり、鼻がツンとしてくる。

自分らしさとは、自分にとっての幸せとは、譲れないものは何か、希求して止まないものは何か。ぼんやり考えてたら、突然突きつけられた衝撃。

さて。まもなく、チューリヒ空港。車窓からの眺めも、霧は晴れて春の柔らかな休日の朝に。

土産を買って、気をつけて帰国します。
さて、名残の桜は私を待っていてくれてるかしら?

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