【声劇台本・3人~4人用】リーズン・アニメーション!~c157のこたえ~

“リーズン・アニメーション!~c157のこたえ~“

ジャンル:現代お仕事ドラマ

こちらは声劇を想定した台本になります。
よろしければお読みいただけると幸いです。

◆内容
アニメ「まどまど」の原画マン、小張が消えてしまった。
弓野は小張を探し出し、原画、そして作品を完成させることができるのか!?

◆登場人物
弓野:女。スタジオ・プライマルベースに勤める制作進行(スケジュール管理や素材回収を行う人)。エネルギッシュで言いたいことはスパッという言うタイプ。
須美:男。スタジオ・プライマルベースに勤めるプロデューサー。腰が低いがしたたか。
小張(こはり):男。原画マン。最近仕事に自信を無くしている。
島田:男。小張の同級生。税理士でプライドが高い。アニメを馬鹿にしている。

・声劇等で使用される際は作者名をどこかに表記またはどこかでご紹介下さい。作者への連絡は不要です。
・性別・人数・セリフの内容等変更可です。また演者様の性別は問いません。
・自作発言はセリフの変更後でもお止めください。
・アドリブ可。好きに演じて下さいませ。

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◇【回想】スタジオ・プライマルベース 作画室

小張:僕はね、ロボットを描きたかったんだ

弓野:ロボット…ですか

小張:うん、ロボット。マジンガーZみたいなさ

弓野:マジンガー…ガンダムとかじゃなくて?

小張:そう、ガンダムみたいなリアル系じゃない、スーパー系のさ。パイロットがワーって必殺技叫んで、腕飛ばしたりビーム出したり。そういうの

弓野:はあ…

小張:でも最近はロボットアニメ自体、少なくなってるでしょ?流行りなのかな。で、ロボットアニメがいざ始まっても、出てくるロボットはリアル系のスリムな機体が大半…いや、全部といってもいい

小張:僕の描きたかった、ずん胴でがっちりとしたロボットは、今はいなくなってしまったんだよ

弓野:そんな、ロボットだっていつか描けますよ

小張:…今回のアニメ「まどまど」だけど、女の子が主人公で、主なキャラも女の子ばっかりの魔法少女モノだよね

弓野:あ、はい、「魔導兵器少女まどれーぬ」略して「まどまど」その主人公エリカのライブシーンの原画を、小張さんにお願いしたくて

小張:全然熱血じゃないね

弓野:え?

小張:大きな敵と戦ったり、仲間を失って泣いたり、しないね

弓野:まあ、「まどまど」は日常系アニメですからね。少し魔法が出てくるくらいで。でもライブシーンはとても熱くて

小張:そういう熱さじゃないんだけどな…

弓野:ええと…でもこのライブシーンの激しさには、小張さんの絵の、線と力強さが合うと思いまして

小張:そう…うん、分かったよ。原画、引き受ける

弓野:ありがとうございます!あとで絵コンテ持ってきますね!

小張:よろしく

◆「現在」プライマルベース 制作部

須美:…それが小張さんとの最後の会話、って事

弓野:ハイ…

須美:ロボットねえ…確かに「まどまど」には、ロボットは出てこないなぁ

弓野:そうですね…私も、なんか様子おかしいかもなーって思ったんですけどね…

須美:で、小張さん見つかった?

弓野:いえ、まだ…

須美:今日で何日目だっけ?

弓野:…一週間、です

須美:小張さんが行方をくらませて、一週間。その間C157は原画から止まったままなのは理解してるよね?

弓野:ハイ…

須美:この後、動画、仕上げ、編集と作業が溜まっているのも知ってるよね?

弓野:ハイ…

須美:じゃあ、原画マンは交代…

弓野:それは、勘弁してください!

須美:…弓野。現状分かってる?完パケまであと2週間だよ?ひっ迫したスケジュールの中、一週間穴をあけるなんて、正気じゃない。戻ってきたとしても描けるとは思えない。多分病んじゃってるよ、小張さん

弓野:そんなの、戻ってきてみないと分からないじゃないですか!それに、完パケ2週間前に原画が残っていたなんて、矢島監督の時も乗り越えられたじゃないですか!

須美:あー…あの時は大変だった

弓野:でしょう!作品の評判も上々で!

須美:でもあのシーンは不評だったけどね

弓野:うう…

須美:で、その時は俺らが必死に人材集めたからだろ。でも今回は違う。小張さんにこだわるなら話が違ってくる

弓野:でも!このライブシーンは小張さんが一番うまく描けると思うんです!小張さんの絵の力強さが、最高に合うんです!

須美:…はぁ…。弓野はこう言いだしたら聞かないからな…

弓野:じゃあ!

須美:明日

弓野:え?

須美:明日までに、戻ってこなかったら強制で原画マン交代。そして「まどまど」の原画チームからも降ろす

弓野:そんな…!

須美:これは社長の判断だ。社長、わかるな?うちの最高責任者が言ってるんだ。正直、小張さんは報酬に見合う仕事をしていない

弓野:それは、そうかもしれませんが…!

須美:明日までが、限界だ。分かったな?

弓野:…せめて、あさって

須美:駄目。明日だ。返事

弓野:…ハイ…

須美:じゃ、俺は打ち合わせがあるから。がんばれよ~

弓野:…他人事みたいに言って。はあ~~。小張さん、どこ行っちゃったのかな~~……

◇【回想】スタジオ・プライマルベース 作画室

小張:…またリテイクか

弓野:ま、またって。リテイクなんて珍しくないじゃないですか

小張:うん、珍しくない。でも、このキャラの輪郭。この前も同じようなリテイク受けたんだよね

弓野:まあ…作監(さっかん)が言うには、柔らかさが足りない、ってことでしたけど

小張:分かるよ。原作の漫画もそんな感じだし。ぷにぷにしてるっていうか、僕が描いたようなシャープな感じはしないよね

弓野:…もしかして、分かってて描いたんですか?

小張:うん、僕の感覚が通じるか試してみようかなってね

弓野:感覚?

小張:そう、美的感覚っていうのかな。このキャラの輪郭はこっちの方がいいんじゃないかって思ってさ

弓野:そんな…スケジュールは今回は…いや今回もですけど、カツカツなんですよ?試すなんて時間は

小張:分かってるよ。いま描きなおす。ぷにぷにの輪郭にね

弓野:頼みますよ…

小張:はあ…僕の好きだったアニメたちは、みんなシャープな輪郭してたんだけどな

弓野:え?

小張:なんでもない

◆「現在」小張宅 玄関前

――――ピンポーン!ピンポーン!

弓野:小張さーん!いますか!?弓野です!小張さーん!

弓野:…やっぱり留守か…。自宅に帰ってないのかな…それじゃあ何処に…

弓野:…いや…仕方ない、いっちょ仕掛けてみるか…

◇【回想】カフェ・フォトンパワー オープン席

弓野:…はい、今回の原画、お預かりします。ありがとうございました!

小張:はい、よろしくお願いしますよー

弓野:ごめんなさい、昼食時にお邪魔しちゃって

小張:別に構わないよ。僕も外に出たかったんでね。このカフェはよく愛用させてもらってるんだ

弓野:へえ…オープン席で?

小張:そう、この席の方が、通行人を観察できて飽きないから

弓野:そういえば、今回は自宅で描かれてたんですね

小張:うん、プライマルベースの作画室も気持ち切り替えやすくていいんだけど、今回は時間もなかったしね

弓野:お疲れ様です。…私も何か食べようかなー

小張:時間あるの?

弓野:さすがにご飯食べる時間くらいは

小張:そっか。ならどうぞどうぞ

弓野:メニュー失礼します。うーん、やっぱり腹にドカンと何か入れておきたい

小張:普通女性のカフェってケーキとかじゃないの?

弓野:ケーキじゃ夜まで持ちませんから!まだ外回りも残ってますからね!

小張:エネルギッシュだなぁ…

弓野:うん、この中だとやっぱスパゲティかな。やっぱカフェに丼ものはないか

小張:…弓野さんはさ、結婚してるの?

弓野:…へ?結婚?してないですよ!今は仕事が恋人です

小張:実はさ、結婚式の招待状が届いて

弓野:え、お友達ですか?

小張:うーん、そんなに知らないんだけど…まあ、多分友達

弓野:そんな人から届いたんですか、招待状

小張:そんなに珍しくないよ。こういうの最近よく届くんだよ

弓野:へえ…

小張:みんな、ちゃんと生活してんだなあ

弓野:え?

小張:まっとうに仕事して、恋人つくって、結婚して。すごいと思うよ、実際

弓野:そんな、小張さんだってまっとうに仕事してるじゃないですか

小張:うーん、でもさ、僕たちの仕事って、一般的な仕事とは違うというか

弓野:違う?どこがです?

小張:あっちはスーツ着てバシッと決めてるところとか?僕らはホラ、ダボダボの普段着だし

弓野:今はスーツを着ない仕事もいっぱいあるじゃないですか

小張:でも、僕がしてることって言ったら、作画室か自宅にこもって、ひたすら絵を描いてるだけ。正直営業職の人とかすごいなって思うもん。僕じゃとても出来ない

弓野:自信持ってくださいよ、小張さん。絵を描いてくれる人がいなかったら成り立たない業界なんですから、ここは

小張:そうだね…

◆「現在」小張宅 玄関前

小張:そーっと…

小張:…はあ、今日は来てないかな。昨日も居留守使っちゃったし、ごめん、弓野さん…!

弓野:私がなんですって?

小張:わあ!

弓野:やれやれ。ここで張っていればいつか出てくると思いました

小張:ゆ、弓野さん!?ずっと壁に隠れてたの?

弓野:そうです…家に居るのは分かってたんで、あとは買い物にでも出かけるタイミングを捕まえれば、と

小張:な、なんで家に居るって分かったんだよ。実家に帰ったり、ほかの場所に逃げてるかもしれないだろ?

弓野:玄関に罠を設置したんです

小張:玄関…?

弓野:玄関の下に、赤い紙が挟まってませんでした?

小張:え、ああ。なにかのチラシのミスプリントかと思って捨てたけど

弓野:それ、仕掛けたの私なんです

小張:仕掛けた?

弓野:紙が動いてたり無くなったりしてれば、家にいる誰かが玄関を動かした事になりますからね。ま、ガスメーターを見ても分かるんですけど

小張:…ちなみに、赤色の意味は?

弓野:赤い方が、怖いでしょ?

小張:…取り立て屋か君は…

弓野:…で、原画の話ですけど

小張:…それは…その…

弓野:…小張さん、お腹すいてませんか?

小張:え?

弓野:まずは、腹ごしらえでもしません?

◆「現在」カフェ・フォトンパワー オープン席

弓野:ここ、以前小張さんが昼食食べてたとこです。憶えてます?

小張:まあ…憶えてる、かな

弓野:まあ先ずは頼みましょう!はいメニュー!あ、お水ありがとうございます。

小張:…怒らないの?

弓野:え?

小張:仕事を放棄したんだよ?普通は怒るところでしょ

弓野:まあ普通はそうなんですけど…その前に話を聞かないといけないのかもなって

小張:話って…

弓野:小張さん、最近変でした。元気ないっていうか。どうしたのか聞いてから怒ってもいいかもなって思いました

小張:元気…まあ、無い、ね…ハハ

弓野:何かあったんですか?

小張:…ふう。まあ、迷惑かけたんだし、言うけどさ

弓野:お願いします

小張:なんていうか、限界かなと思ったんだ

弓野:限界、って

小張:自分の描きたいものもかけない、流行りにもついていけない、劣等感ばかり出てくる

小張:このままこの仕事を続けて、自分は耐えられるのかなって、限界が来ているんじゃないかって

弓野:そんな、ロボットアニメが無くなったわけじゃないし、いつかロボットが描けるかもしれないじゃないですか

小張:でも、最近のロボットは3Dが主流だろ?作画させてくれる事なんて、よっぽど有名なタイトルか、怖いもの知らずの制作会社かだよ

弓野:それは、そうですけど。でも、カットによっては作画になったりするじゃないですか

小張:それでも、主流はガンダムみたいなスマートなロボットだ。僕が好きだったマジンガーやゲッター、ガオガイガーみたいな、がっしりとしたロボットじゃない

小張:僕が好きだったアニメやロボットたちは、古いものになってしまったんだよ。新しいもの好きな視聴者のお呼びじゃない

弓野:そんなこと…

小張:僕はこのままこの仕事を続ける自信と、夢を、なくしてしまったんだ。

弓野:…

小張:…

島田:…あれ!?小張?

小張:えっ…?

島田:あ、やっぱり小張だ!なつかしー。久し振り。

小張:もしかして、島田?

島田:そうだよ島田だよ島田!偶然だなーこんなところで。いつもこの辺でメシ食ってんの?

小張:いや、今日はたまたま…

弓野:あの、この方は…?

小張:あ、この人は島田。税理士やってる…んだよな?大学のサークルで一緒だったんだ

島田:どうも、島田です。小張の彼女さんですか?

弓野:あ!いえ、私は仕事で小張さんにお世話になっておりまして、弓野と申します。

島田:仕事?小張の仕事って、あれだろ?

弓野:はい、アニメーターをして頂いております

島田:ふーん…てことは弓野さんもアニメの

弓野:ハイ、制作進行をしております

島田:へえー…あ、そういえば小張、招待状届いた?

小張:あ、ああ。届いてるよ

弓野:招待状?

小張:あの、以前言った結婚式の招待状。彼からなんだ

弓野:え、結婚されるんですか!おめでとうございます。

島田:ありがとう

小張:返事今度だすよ。えっといつまでだっけ…

島田:出さなくていい

小張:え?

島田:というか、来なくていい

小張:…なにか僕、怒らせたかな

島田:そうじゃない。ただ、今、平日の昼間だよな?

小張:あ、ああ

島田:お前のその恰好なに?

小張:何って…

島田:パーカーにジーンズ、スニーカー。とても働いてる大人に見えない

小張:これは、アニメーターは服装は選ばないから

島田:スーツを着ずに仕事してる男って、どうなのよ実際

小張:どうって…

島田:あのさ、今度の結婚式には俺の上客も色々呼んでんの。企業のお偉いさんとか。その中にお前みたいなのが来てみ?恥もいいとこだろ

小張:そんな、だったら最初から招待状なんて送らなきゃいいじゃ…

島田:嫁が呼べってうるさかったからな。アニメ業界の人に会ってみたいとか言って。でもやっぱり反対だ、嫁にも言い聞かす。ハッキリ言ってみすぼらしい

小張:み…

島田:アニメーターってあれだろ?ひたすら絵描いてるってヤツ。誰とも話さず出世も考えずコネクションも作らず。引きこもりと何が違うの?

小張:そりゃ、出世といえば作監になるとか、監督とかあるけど…

島田:それに、俺アニメって嫌いなんだよね

小張:えっ…でもお前、映像サークルに入ってたじゃないか

島田:それは映画が好きだったから。でもアニメは違う。なんていうか、子供だまし。見てる人に媚び売ってる感じが気に食わない

小張:そんなことない…

島田:萌えだとかロボットだとか、ありもしないものにうつつを抜かしてないで、現実見ろよな。気持ち悪い

島田:変な夢見せちゃうから、オタクどもが勘違いして、妄想しかできなくなっちゃうんじゃないの?そして果ては犯罪予備軍だ。俺みたいに真面目に働いててくれれば、社会の役にも立つのにな

島田:ハッキリ言って、アニメ見てるヤツは軽蔑する――――…

――――バシャッ!!(水をかける音)

弓野:…

小張:え…

島田:つっめた…

弓野:訂正しろ

島田:ちょ、あんたおかしいんじゃないか?水ぶっかけてくるなって、このスーツいくらすると…

弓野:訂正しろ!アニメを子供だましって言った事!現実見てないって言った事!犯罪予備軍って言った事!!

島田:な、何を言って…

弓野:何も分かってない。アニメ好きな人だって、みんな現実と向き合ってる、社会で戦ってる!でもそれが辛いから、アニメを観るんだ!
いいか!?アニメはな!エンタメはな!人の心に寄り添うためにあるんだよ!!

小張:…!

島田:は、あ?

弓野:頑張る人の背中を押したり!一緒に相手を倒してストレス発散したり!落ち込んでる人を支えたり!それこそ自殺だって止められる!
エンタメは…アニメは、人を救えるんだ!助けられるんだ!それを、人を助けるスタッフたちを、視聴者たちを、貶すな!見下げるな!馬鹿にするな!

弓野:…アニメ、ナメんな…!!

島田:この…好き勝手言いやがって、警察に引き渡して

小張:島田

島田:小張!お前も同罪だぞ、こんな目に遭うなんて…

小張:今日はもう帰れ

島田:なっ…

小張:こんなこと警察沙汰にしたら、お前の経歴に傷がつくかもしれないぞ

島田:…ちっ!もういい、小張、結婚式には絶対来るなよ!

小張:…行ったか。言われなくても、結婚式には行かないのに

弓野:…ハッ!

小張:…我に返った?

弓野:す、すみません!せっかく会えた友達に、私なんてことを!

小張:いいよ、別に友達じゃないし。それにすっきりした

弓野:でも…

小張:いいってば。ホラ、座って

弓野:はい…その、それで…

小張:僕ね、ロボット好きは漫画からだったんだ

弓野:え?漫画?

小張:ロボットが出てくる漫画で…タイトルは忘れたけど。で、いつかこのロボットが動くところがみたいなって、子供心に思ってて
で、それを叶えてくれたんだ、アニメが。

弓野:もしかして、その時に…

小張:そう、アニメーターになりたいって思ったんだ。さっきの弓野さんの言葉で、思い出した。そういえば、僕もアニメに励まされていたなって

弓野:あ、あはは…お恥ずかしい

小張:僕にも、同じことができるかな?

弓野:…!はい、助けられます!小張さんだって、視聴者に夢を与えてくれる一人なんです!

小張:はは…そう言われると照れくさいな。でも、そうだね。ロボットがどうとか、限界だとか、言ってる場合じゃないかもね

弓野:そうです、限界なんて、さっさと突破しちゃいましょう!

小張:はは…でも、やっぱり諦められないな

弓野:え?

小張:アニメでロボットを描く。この夢はどうしても諦めきれない。だから、まだまだ描いて描いて描きまくって

小張:いつか、ロボットを描く。とても長い回り道だけど、それが最短なのかもね…なんて、はは…

弓野:そうですね…なんか私たち、恥ずかしいこと言っちゃってますね

小張:ほんとだよ…それでさ、さっきの話なんだけど

弓野:ハイ?

小張:アニメは誰の心にも寄り添うって。あれ、さっきの島田にも言えるのかな。彼を救ってくれるエンタメってある?

弓野:恋愛ものじゃないですか?主人公が思いっきりフラれたり、結婚式ドタキャンされたりする失恋系のやつ

小張:なにそれ

弓野:あの性格と偏見じゃ、近いうちにそうなるでしょ、あの人

小張:…ぷっ、ははは…

◆「現在」スタジオ・プライマルベース 制作部

須美:で、c157は無事完成。作品も納品完了、無事白バコとなりましたー、っと

弓野:ええ、「まどまど」のライブシーン、いい画になったでしょ

須美:確かに、迫力あったね。あのシーンだけ別物みたいだ。小張さん、やる気出してくれたみたいで良かった

弓野:で、須美さん

須美:ん?

弓野:前に社長が小張さんのこと原画チームから外すって言ってたって、あれ、嘘ですよね?

須美:んー?

弓野:社長に小張さんのこと待ってもらうように直談判しに行ったんです。そしたら社長キョトンとして、そんな話知らないって。恥ずかしかった…

須美:ああー!そういやあれは3丁目の玉さんの話だったわー。いやーうっかりうっかり

弓野:白々しい…

須美:まあまあ、無事に元の鞘に納まったんだから、いいじゃない

弓野:まったく…それで、何見てるんです?

須美:これ?次のアニメの企画書たち。どれやるか候補決めといてーって、社長から

弓野:もう次の作品ですか

須美:そうだよ、プロデューサーは常に先に動くもんなんだよ…って言っても、どれも決め手に欠けるというか…

弓野:…これなんか、いいんじゃないですか?

須美:これ?まあインパクトはあるかもしれないけど、コストかかるし、何より前時代的というか

弓野:いいじゃないですか、前時代。一周回って流行るかもしれないし。それに

須美:それに?

弓野:ロボットが、ずん胴でガッシリしてるところがいい

(終わり)
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