言葉


私たち夫婦で始めた作品づくり、so_thing でも"紡ぐ"という作品を作ったのですが、私は言葉を感じる手段の中でもとりわけ、相手の口から直接発せられて、直接耳に届く言葉が好きです。

手紙も、小説も時を超えて感じるものがあることがとても愛おしくて好きですが、心に急に転がり込む会話による言葉は、良くも悪くもとても強いです。

最近私の中に吸い込まれるように入ってきた言葉は、旦那の30歳の誕生日を祝して鎌倉の旅館に行った時。
星空満点のバルコニーで大して詳しくもないシャンパンを開けながらのんびりしていると、普段はお調子者でおしゃべりな旦那がゆっくりと「この歳になって親友みたいな人が出来ると思ってなかった〜。」
と呟いて、ただでさえ星空に吸い込まれそうな夜、私の胸の中に静かなでも強い夜の海の波のようなものが打ち寄せました。
私たちはカップルから夫婦という関係で、友人関係を経てはいなかったので、一緒にいることの楽しさを、恋人としても親友としても思ってくれたことが、とにもかくにも嬉しかったんでしょう。

彼が起こした夜の海の波は動きを止めず、静かに私の中で波打ち続けて、その時のバルコニーから見えた遠く広い星空も、暗く深い山も、詳しくもないシャンパンの味も、昨日のことのように思い出せます。

今の簡単に言葉を送り合える環境と忙しない時間の中でも、大切な人にしっかり向き合って言葉を送れたらなあと、旦那に改めて思わされた最近でした。

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