ジュラルドン夢小説
「いけない。遅刻、遅刻ー!」
パンを咥え町の中を疾走する少女…それは【自由選択可能】、私である。
親の都合で昨日からこの町、『ポケノマチ』へ引っ越してきたばかりな私。
部屋の片付けを夜中までしていたせいか盛大に寝坊してしまい、母親から手渡されたパンと鞄を持って絶賛疾走中だった。
(確かあの曲がり角を超えれば…)
走った甲斐があり、少し余裕をもって到着できそうだ。そう思い少し気が緩んだその時……
どーん!!!!!!
「きゃ!」
「ジュラ!?」
曲がり角を曲がった時に前方から来た何かとぶつかってしまった。
ドンと尻餅をつく私。痛い。…ってそうじゃなくて…
「あの、大丈夫ですか?」
「ジュラララ…」
慌てて相手を確認しようとしたが、どうやら相手は人間ではないらしい。
真っ白で直線的なボディ、ひんやりさもあり無骨さもあるが、顔らしき所から覗く目は優しく、短い手足は可愛らしさを感じるフォルム…これって…
「ジュラルドン?」
思わず名前が出ていた。私が元々いた町にはポケモンはいなかった。
そして今回引越した先、『ポケノマチ』は、ポケモンが全体の8割を超える町。ポケモンより人間が珍しい町なのだ。
なので、この町に来ると決まった時から「ポケモンに会える!!」と、楽しみにしていたのだ。まさかこんなとこで会えるとは…
「ごめんさい…って、大丈夫ですか?」
「ジュラ!」
「でも…。ぶつかる時、けたぐりしてしまったから…」
先ほどぶつかる際、けたぐりの要領でジュラルドンの足にぶつかってしまったのだ。
かくとうはこうかばつぐんなはず。ジュラルドンの重さだと、威力60の2倍で120。かなりのダメージのはずだ。
「ジュララ!ジュ!ジュ!」
「え?ライトメタル!?」
このジュラルドンは特性ライトメタルだったのだ。これなら威力40で、2倍でも80だ。
自分は大丈夫だと手足をぐるぐるしていうジュラルドン。私の事を気遣ってくれているようだ。
(はがねタイプのポケモンって怖いのが多いのかと思ったけど、優しい子もいるんだ…)
「ありがとう。私は大丈夫だから」
「ジュラ!?ララジュ!!」
「え、ちょっと!!」
ジュラルドンは何かに気づいたように一人走り出し、気づけばその背中は見えなくなっていた。
私もよろよろと立ち上がり、制服についた埃を払う。
ぶつかった拍子で落としたパンにはポッポが群がっていた。バイバイ私の朝食…
キーンコーンカーンコーン
学校からチャイムが聞える。転校1日目、私の遅刻が確定した瞬間だった…。
続く(わけない)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?