SKY-HI TOUR 2024 感想


5月10日の大阪公演に行ったので感想を。

※曲名等のネタバレを含みます。
※レポというよりあくまで感想です。
私の心に沿った受け取り方をしているので、諸々ご了承ください。


ライブの感想を書く前に私とSKY-HIの出会いを綴っておこうと思う。

約6年前。きっかけは友達に勧めてもらったAAAの「さよならの前に」だった。この曲のラップが当時の私に刺さりまくって、すぐに歌っている人を調べてみると、彼が歌詞も書いていて、ソロでも活動してるらしい。当時の最新曲がたしか「Marble」で、この曲を聴いて私の中の音楽観が大きく変わったのを覚えている。
その頃から今でもずっと、私の音楽が好きだという気持ちの根幹にはSKY-HIがいる。

大阪公演の会場、フェスティバルホールはクラシックや能などの公演もされるらしく、高級感のある雰囲気が印象的な場所だった。前の席と半席分ずれた設計になっているのも嬉しい。
ステージにはポップなSKY-HIの色が強く出ていて、そのアンバランスであり調和が取れているライブ特有の空間にわくわくした。

開演数十分前。トレーニー達のオープニングアクトはRUIとKANONの「声」から始まった。
タイトルの通り声で魅せる2人の歌唱は自らの息すらも雑音になるほど綺麗だった。すれ違う手の動きが最後ぴったりはまるのも素敵だった。

TAIKIの「Karate kid」は、「声」の余韻が残る会場の雰囲気をガラッと変えて1人で会場を盛り上げている姿がかっこよかった。
KANONとRUIが後ろでボクシングをしてるのも可愛かったな。(空手じゃないんかいとは思った。)

少しのMC。バチバチのパフォーマンスとは打って変わってゆるゆるな3人。緊張してるといいつつ『好きな食べ物はたこ焼きです』で大阪人の好感度をあげていこうとする舐め具合に笑ってしまった。

そろそろ行きますか、で始まった3曲目。
三浦大知さんの「飛行船」のカバー。YouTubeで見たよりも迫力が凄くて息を飲むようなパフォーマンスだった。これでまだトレーニーなんて恐ろしい。



あっという間すぎるトレーニー3人のオープニングアクトが終わりSKY-HIのステージが始まる。

Takさん、望月さん、HIRORONさん、BFQとお馴染みの面子が揃い奏でられたのはまさかの「Stray cat」。
イントロの時点でもしや...とは思っていたものの、ステージ真ん中の土管から飛び出して歌い出すSKY-HIに一気にボルテージを最高潮まで上げられた。
『HPY LIFE』を一度掲げたこのツアーの1曲目に「Stray cat」を持ってくるなんてストーリーがものすごい。意外性と始まったライブへの期待で思考と心を奪われた。

「ナナイロホリデー」、「Blue Monday」、「Sarracenia」のように新しめ、メジャーな曲と「Blame it on me」、「WHIP LUSH」、「Limo」といった昔、コアな曲が混ざりあったセトリが最高すぎる。
どのタイミングでファンになった人でも楽しめるしエモさもある。
個人的には『エスコートするぜ』を「Limo」で聞けたのが嬉しかった。「Blanket」前のうーうーあーあーのコールアンドレスポンス同様に、『エスコートするぜ』は「Limo」の確定演出のイメージだったから。

雰囲気が変わって「アイリスライト」→「LUCE」→「そこにいた」。
生と死を考えさせられる3曲だけど、いてくれるからある生きる理由と、ただ1人のための後悔と、進行形の別れ。
ピアノを弾きながらそれぞれの感情を曲に込めて歌う姿にSKY-HIがアーティストである意味が見えた気がする。

「そこにいた」の汽笛のような音がどこかへ行ってしまう君と着いていけない自分を隔てる音に聴こえる。階段を降りてくるSKY-HIに居なくならなくてよかったと安心してしまった。

記憶が正しければ「Goodbye To The System」→「運命論」→「Working on Water」と続いたと思う。
SALUとの曲が続くのもあってラッパーSKY-HIが色濃く出ていたように感じた。

八面六臂のツアーの何かの曲で高いところで歌う彼を白い光が照らした時、私は彼を神みたいだと思った。
だけど今回高いところで白い光を浴びて歌う彼を私はとても人間だと思った。
客席に降りて同じ目線で歌っている時も同様に。
アーティストは偶像ではなく同じ1人の人間であると感じた時に嬉しいと思えることが嬉しい。

(センテンスは割愛で)

後半。
怒涛の十数曲。休ませないは分からなくないが、休まないは大丈夫なのか?

「Scream」から始まったfeaturingとRemixメドレーがやばすぎた。
まず「Scream」がやばい。似合わないわけがない。思わぬ選曲なのもあってこの日一の歓声が上がっていた。

「何様」、「Turn Up」と今ではお馴染みとなった高速ラップメドレーは何回聴いても凄すぎて自然と口角が上がる。

「One More Day」、「JPOP STAR」、「SOBER ROCK」、「To The First」、「MISSION」。
BMSGアーティストとのfeaturingで、且つそれぞれの大切な時機の曲が多いこのパートは彼らのBOSSがSKY-HIであることの心強さと安心感を現していた。

俺が世界をひっくり返したいっていう夢も、来月までに3kg落としたいって夢も、3歳児の野球選手になりたいって夢も全部同じで全部尊いのだとSKY-HIは言った。
であるならば、夢の優劣は本気度にあるのだと思う。
私は自分の夢に懐疑的だ。だからだろう。
「To The First」のイントロで人差し指を上げることを私はずっと躊躇っている 。

「DUNK」でステージに上がれる勇気のある人間ならこうはならないだろう。
そもそも私は踊れないから全てかっこいいで見れたのだけど。

最後の曲。「タイトル未定」。
心の叫びを言葉にして音楽にするのがラッパーであるならこの1曲中のSKY-HIは正真正銘ラッパー以外の何者でもない。SKY-HIのために存在する最高の。

このnoteに写真をつけなかったのはSKY-HIが締め括ったヒッピーライフはこの数時間見ていたポップなステージではないと思ったから。
真っ暗なホールにマイク1本だけを握りしめたSKY-HIだけが存在していた。
彼だけがこのライブに色を付けることが許されるのだと思う。



表現者じゃなくなった彼がどこかで生きているという想像ができない。
生きているだけで幸せだと思うのは本心だけれど、SKY-HIだけは、道のりが辛くてもステージに立ち続けるアーティストでいてほしいと思ってしまう。
きっと彼のためにではなく私のために。

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