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第32回消化器病専門医試験 復元【98/100問、解答付き】

2022年10月に実施された消化器病学会専門医試験を受験した者です。
無事に合格しましたので、試験問題の復元を公開いたします。

★2023/11/1★
追記③を追加しました。2023年10月実施 第33回の結果を追記しています。受験された方はお疲れ様でした。
お値段変更します。2024年実施分にも当記事をぜひご活用ください。


※※選択肢の内容や、正誤について内容の保証はできませんのであらかじめご承知おきください。復元中に過去問の選択肢が紛れ込んでいる可能性もあります。※※
※※購入前後に関わらず、当記事の転載はお控えください。※※
※※都合により、非公開にすることがあります(購入者様は引き続きご覧いただけます)。※※


無料部分で「これいいな」と感じましたら、購入いただけると幸いです。

その前に試験対策ですが、
①消化器病学会専門医試験過去問 第9集・第8集(2周)、第7集(1周)
②noteに掲載されている過去問 2022年3月分、2019年分 購入
③専門医のための消化器病学 第3版
④各種ガイドライン

を主に使用しました。

①の公式過去問については、最新版の第9集が2022年7月に出版されました。かなり充実した内容で、対応する部分の知識を③で深めながら進めました。
ただし2017~2019年の過去問であり、試験が終わった今、やはり②が必須だったと思います。
公式過去問の第8集や第7集も解きましたが、診断基準や、癌における化学療法の適応などが変わっており、最新のガイドラインに沿った解答が求められますのでご注意ください。
過去問に近いものは、第何集の何問目か、も記載しております。

実際の試験もおおむね食道から胃、大腸、肝臓、胆膵、その他の順番でしたが、たまに全く順番を無視したものもありました。最後から数個のところで食道アカラシアの問題が出てきたりと、最後まで油断はできませんでした。

復元問題の内訳(本番は150問、100分)
食道 12問
胃  23問
小腸 1問
大腸 22問
肝臓 19問
胆道 5問
膵臓 10問
その他 6問(消化管ホルモン 2問、COVID-19 1問、がん統計 1問、代謝経路 1問、倫理方針 1問)
で計98問です。

※追記①
2022年10月開催時はCBT試験でした。
会場に早く到着しても、受付後には荷物をすべてロッカーにしまって入室するので、その後は全く勉強できずにひたすら時が来るのを待つことになります。
2022年7月の内視鏡専門医試験(CBT)も受験しましたが、こちらと異なり、消化器病の方は受験会場でメモを使用できませんでした。

※追記②
2022年第32回消化器病専門医試験結果 (日本消化器病学会HPより)
有資格者数 913名
受験者数 859名
欠席者数 54名
合格者数 747名
合格率 87.0%
となり、第31回(1462/1678、合格率87.1%)、第30回(947/1084、87.4%)の合格率とあまり変わりませんでした。

いつ合格発表があったのか気になる方もいるかもしれませんが、受験日 2022/10/2、合格発表 2022/10/31でした。

※追記③
2023年第33回消化器病専門医試験結果 (日本消化器病学会HPより)
有資格者数 867名
受験者数 837名
欠席者数 30名
合格者数 612名
合格率 73.1%

試験日は10/1、合否結果は10/24に郵送されたようです。
受験していないので詳細は分かりませんが、2023年は合格率ががくんと落ちました。
新作は多いものの、過去3年分のプール問題はある程度あったようです。
外科的治療の問題、NASH(今後はMASH?)の治療薬、好酸球性胃腸炎、irAE胆管炎、DPC包括評価される検査等が新作で出題されたようです。

※2023/8/7修正
胃SMTについての問題ですが、解説で平滑筋種と記載していたものは神経鞘腫の間違いでした。問題・解答には影響ありませんが、修正させて頂きます。

※2023/8/19修正
胃で吸収される物質についての問題です。解答を鉄にしていましたが、エタノールが正解です。失礼致しました。修正させて頂きます。

※2023/8/31修正
大腸コールドポリペクトミーについての問題です。解答修正・解説追加させて頂きます。ご確認ください。

※2023/9/22修正
機能性ディスペプシアについての問題です。選択肢はe「内視鏡が必須」からe「内視鏡が有用」に変更し、解説追加させて頂きます。解答はaで変わりません。ご確認ください。

それでは食道から順番に記載していきます。


<<<<<<食道>>>>>>


感想:
食道カンジダは過去問にもなかったのでノーマークでした。
その他はまずまず過去問の範囲だった印象です。

1.
好酸球性食道炎について正しいもの1つ
a ステロイドの効果がある 
b PPIの効果はない
c アレルギー性疾患の合併は少ない

答え a 〇
類題:第9集問題9、2022年3月note過去問
好酸球性食道炎は頻出。

2.
HIV治療中、食道カンジダの内視鏡写真あり、正しいもの1つ
a Candida albicansの頻度が多い
b アムホテリシンBが第一選択薬である
c β-Dグルカンとカンジダマンナン抗原が診断に有用である

答え 
a 〇
b ×→第一選択薬はフルコナゾールである
c ×→迷ったが、aが明らかに正解なので間違い。
  β-Dグルカンは食道カンジダ症では一般に上昇がみられない。
  カンジダマンナン抗原も同様に、深在性真菌症に対して使用するので、
  食道カンジダ症(表在性、非侵襲性)では上昇しない。

3.
90歳女性、嘔吐。ガストロ造影で巨大食道裂孔ヘルニア像あり、正しいもの2つ
a 内服治療が有用である
b 内視鏡筋層切開術を行う
c 緊急手術が必要である
d 亀背に多い
e 胃全摘を行う

答え 
c 〇?  d 〇? 90歳に緊急手術するか…?と疑問あり
2022年3月にも巨大食道裂孔ヘルニアの類似出題あります。
画像はup side down stomach…?

4.
アカラシアについて間違っているもの1つ
a 中年女性に多い 
b 後天性疾患である 
c LESの弛緩不全である
d 内視鏡治療が有用である
e 食道切除は行わない

答え
a ×→明らかな性差は認めない
2022年3月note過去問にもアカラシア出題あり
類題:第7集問題9

5.
真性憩室はどれか。2つ 
a 咽頭食道憩室
b 気管分部憩室
c 傍乳頭憩室
d メッケル憩室
e 大腸憩室

答え b、d
過去問:第9集問題74
aはZenker憩室、bはRokitansky憩室のこと。
真性憩室は「め、い、ろ(メッケル憩室、胃憩室、ロキタンスキー憩室)」

6.
食道憩室の内視鏡写真あり(向かって左側に憩室)、間違っているもの1つ
a 下部食道右側に多い
b 牽引性憩室と圧出性憩室がある
c 手術が必要なこともある
d 通過障害を起こすことがある

答え 
a ×→食道憩室は、咽頭食道憩室(Zenker憩室)が10%、中部食道憩室(気管分岐
  部憩室、Rokitansky憩室)が70-80%と最多、横隔膜上憩室が10%である。
b 〇
c 〇→炎症、出血、穿孔、食道気管支瘻を合併した重症例では、外科的治療
  の対象となる
d 〇

7.
食道の解剖…? 間違っているもの1つ(あまり覚えていない)
a 下部食道は横紋筋で構成されている × →平滑筋
過去問では食道・縦隔解剖も良く出題されておりチェック必要。

8.
食道癌の内視鏡、EUS写真あり(不整な陥凹あり、進行癌と考える)
まず行う治療は? 
a 術前化学療法
b 食道亜全摘
c 根治的化学放射線療法
d ESD
e 光線力学的療法

答え a 〇?
耐術能に関しては記載がなかったような…。
耐術能あり、進行癌cStage Ⅱ,Ⅲとして術前化学療法を選んだ。
類問:第8集問題7、2022年3月note過去問

9.
マロリーワイス症候群の内視鏡画像あり、間違っているもの1つ
a 噴門部大弯に好発する 
b 内視鏡検査中に出現することがある
c 飲酒後に出現することがある
d 発症機序には、腹腔内圧亢進と粘膜抵抗減弱が考えられている。

答え 
a ×→小弯に好発する
b 〇
c 〇
d 〇
2022年3月にも類似問題あり。
マロリーワイスは噴門部(約8割)、壁在性は小弯側が最多(51.1%)。
特発性食道破裂は胸部下部食道(75-90%)の左側後壁(57%)に好発!

10.
特発性食道破裂について正しいもの1つ
a 縦隔気腫?膿瘍?が出現しても、重篤化はしない
b 水溶性造影剤による食道造影で診断が可能である

答え 
a ×
b 〇
類似問題:第8集問題5、第8集問題9

11.
GERDについて、間違っているもの1つ
a 症状と内視鏡の重症度は相関しない
b 再発が多い
c 軽症の逆流性食道炎は食道下端部の右前に局在病変を認める

答え 
a 〇
b 〇
c 〇
選択肢が曖昧です…
類似問題:第9集問題8

12.
バレット食道+癌の内視鏡写真あり、正しいもの2つ
a 東アジアより欧米で頻度が多い
b 白人女性に多い
c 食道内のアルカリ逆流が原因となる

答え
a 〇
b ×→白人、男性(バレット食道癌は女性より10倍程度発生しやすい)
c ×→食道内への酸逆流、または胆汁酸逆流が重要

<<<<<<胃>>>>>>>


感想:
PPIやPCABについてなど、幅広い知識が必要だと感じました。
全く分からない問題がある一方、過去問そのままもやはり一定数あるので、そこは落とせないです。
また、今回ピロリ菌についての問題が多く、「2016改訂版 H.pylori感染の診断と治療のガイドライン」が無料で閲覧可能なので、一読をお勧めします。日本消化器病学会HPで閲覧可能な、「ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎に対する除菌治療に関するQ&A一覧」からも出題される可能性があります。

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