点滴

【手術当日!】反復性膝蓋骨脱臼の手術

手術当日の話。

07:00 起床

起床時刻に病棟の看護師さんが起こしに来てくれます。

そして体温計を渡され、
体温をはかっている間に血圧計とパルスオキシメーターを装着され、
あっという間にバイタルを取られます。

このあと同室の方は朝食ですが、
私は手術直前なのでなし。


ところで、入院した部屋は4人部屋でした。

私ともう1人が同じ日に手術。
あとの2人は後日手術。

絶食にしろ手術にしろ
同じタイミングで受ける仲間が同室にいてよかった。
心強かった。



08:00 絶飲・点滴

手術予定時刻は12時。
4時間前から絶飲開始。
8時以降は水も飲めません


看護師さん「その代わりと言ったらあれだけど、そろそろ水分補給の点滴を入れるよ~」

うぇ!?

代わりと言うにはあれすぎる…
だって点滴って注射針じゃん…

注射針は痛いし怖いからいやだよー!!


(20代社会人とは思えない感想ですが、私は注射針が苦手です)



手術着に着替えて待っていると、
女医さんが来て、点滴を入れてくれます。

まず「点滴初めてなんだね、怖くないからねー」と声をかけてくれて、

採血で使う針よりも太い針を、左腕にグイッと刺されます。
「チクッ」とかじゃなくて、壁に画鋲を刺すくらいの圧です。

そして、
「この位置でどうかな? 痛みとか違和感とかある?」と言いながらグリグリされます。

痛いのは当然として、違和感かあ…。

…………。


そりゃ、違和感はある。
けど、この違和感が、先生の言っている種類の違和感なのかが分からない。
本当に身体に合っていないからこその違和感なのか、それとも単に人生初の点滴を刺したばかりだからそう感じているのか。

違和感には種類がある。
と思う。
例えばコンタクトレンズ。
製品によって直径やカーブが異なり、自分の眼球の形に合わない製品は何回使っても合わない。それは「合わない」の違和感だ。
また、どんなに自分に合う製品でも、朝入れたての時は少し違和感がある。それは「慣れない」の違和感。1分くらいかけて馴染んでいく。

どっちの違和感なんだろう。
今、左腕にあるのは。
合わない場所に刺されてずっとそのままなのも困るが、無駄に刺し直すのも痛いからイヤだ。


悩んでいると、先生が
「あっ…刺し口腫れてきちゃった。右腕に刺し直すね」

と仰った。

マジか。

そして針を替えて右腕に刺し直し
もう一度グイッとしてグリグリされます。

なんかもうよく分からなくなってきたので、完全おまかせで入れてもらう。
でも入れ終えて5分もすれば違和感が消えた。
プロってすごい。

点滴

こうして私は点滴を装備しました。

点滴の刺さった自分の腕。見ちゃうと怖いんだけど、感覚としては痛みも違和感もない。見なければ点滴のことを完全に忘れていられる。

そのまま更に10分ほど経つと、空腹感も喉の渇きも消えた。おまけに点滴自体のことも忘れているので、ただただ快適。これすごいな。


そして、この状態で採血です。
右腕に点滴、左腕で採血。
針は苦手。20代社会人。

もうどうにでもしてくれ
大人しくしているのが一番痛くない。多分。



12:00 手術室へ移動

前の方の手術が少し押したようで、少し遅めに移動開始。

病棟看護師さんに付き添ってもらい、点滴棒をガラガラ押して、歩きで手術室まで移動。

眼鏡を病室に置いてきたので前が見えない。

手術室のフロアについたら、ウィーンって開く金属扉を2枚ほど抜けて、オペ室看護師さんのもとへ行きます。

私に関する情報を私の目の前で引継ぎしてるの、なんか面白い。


オペ室看護師さんから手術内容の最終確認をされ、手術室に入って手術台に上がります。

画像2

手術台。けっこう高い。私の腰くらいまである。
くつ脱いで、自分で「よっこらしょ」って感じで上がって寝転びます。

そして、看護師さんが3人がかりで、
私の身体のいろんな箇所にいろんな機器を取り付けてくれます。

おでこには、脳波はかるやつ。マジックテープのザラザラ面みたいな肌触りで、大きさは熱さまシートほど。

指先にはパルスオキシメーター。絆創膏のようなシール素材でできていて、指に巻き付けて貼ることで固定します。

胸には心電図。これもシール。

腕には血圧計、顔には酸素マスク。

あと手首足首にもクリップを取り付けてた。

更に点滴の管にも何かつけてた。そこはもはや私の身体ではない。


そうこうしてると主治医が登場。
ピョコっと顔を出してくれます

画像3

白衣姿しか見たことがないので、手術着姿が新鮮。

主治医を見た瞬間、一気に緊張した。

それまでは正直現実感がなかった。手術室は非日常空間だし看護師さんは全員知らない人だし。

でもここで知った顔を見て一気に現実味が押し寄せて、緊張してきました。人間そういうもんだよね。

主治医は二言三言話してすぐ退場。



12:30 全身麻酔

「じゃあそろそろ麻酔するね~
点滴のあたり、ちょっと冷たい感じがするかも~」

麻酔科医の穏やかな声が聞こえた5秒後、腕の点滴が刺さっている部分にジュワーっと冷たさが広がります。

けど、眠くはならないなあ。
てか硬膜外麻酔やるって術前外来のとき言われたけど、あれはどうなったんだろ?

と思ってたら、目の前の景色が歪みだしました。面白い。

ぐにゃぐにゃ曲がるように歪む風景を楽しんでいると、看護師さんに「そろそろ目を閉じてー」と言われます。

閉じた瞬間、強い眠気。
朝、目覚ましをスヌーズして二度寝をする直前のような、あの眠気。

このままあと10秒目を閉じてたら確実に寝るな…スヤァ( ˘ω˘ )…

ってな感じで寝た。即落ちでした。麻酔すごいわ。



15:30 手術室で起こされる

麻酔科医か看護師さんに「終わりましたよー、大丈夫かな、おーい」と声をかけられ、目覚めます。うっすら意識が戻ると同時に左脚全域がグォングォン痛み出してきやがる。そういうわけで、起こされるとは言ってもムニャムニャしながら目だけなんとか開ける感じです。身体は重くて痛くて動かせないし、口元にも酸素マスクがあって喋れないので。

目が覚めて真っ先に思ったことは、

「そういえば、術前外来のとき説明されたなあ…。『麻酔から目覚めないとか目覚めたあと気分悪いとか、そういう事態が万一あってもすぐに麻酔科医が対応できるように、患者が手術室にいるうちに目覚めさせる』って…。だからまだ手術室なのか…」

でした。

意外と意識はハッキリしていた、というわけです。もっと健忘があると思ってた。

そして看護師さんの「うん、大丈夫そうね、ハイハイ、それじゃこのあと病室に帰るからねー」という声に安心して、また寝ました。( ˘ω˘ )スヤア。とにかく寝たい。左脚がマジで痛くて、それを認識しているだけでもつらいので、寝てしまいたい。眠気や身体のだるさがもはやありがたい。



16:00 病室のベッドに移乗

ストレッチャー(キャスターのついた簡易ベッド)でエレベーターに乗って病室に戻り、ストレッチャーから自分のベッドに身体を移します

もちろん私は動けないので、看護師さんが3人がかりでやってくれます。
ストレッチャーとベッドの間につるつるした材質の板を渡し、板の上に身体を乗せ、板のストレッチャー側を持ち上げ、重力で滑らせて身体を移すらしいです。

本当にスムーズに、一瞬でスルンと移ります。イメージ的には、テフロン加工されたフライパンで焼いた目玉焼きをお皿に移す感じ。よくCMで見るあれ。

ベッドに寝てふと横を向くと、自分の私物が視界に入ります。テレビ台に置きっぱなしにしていた、普段職場で使っているポーチ。それを見て、心底ホッとしたのを覚えています。あ~日常に戻ってきたなぁって。

今考えると、病室にいる時点で日常ではない。
でもそれほど、
ポーチひとつが日常の象徴に見えてしまうほど、
手術室で機械や知らない人に囲まれているのは心細かった。


この時点ではまだ、酸素マスクやら点滴やらを装着してます。さらに両ふくらはぎにフットポンプを装着されます。血栓防止のためだとか。



19:00 マスクを外して水分摂取

看護師さんが来て聴診器で腸音を確認。許可が出たので酸素マスクを外して、2口程度お茶を飲みます。

飲むのは事前に売店で買ったペットボトルの緑茶。いやーーあのとき緑茶を選んで本当よかった!! この状況で飲むことを考えたら無糖のお茶がベストチョイス。もし甘いミルクティーとか選んでたら歯磨きできずに気持ち悪いまま寝るんだろうし、水だと味がなくて飲めない。

両親も病室に来てくれました。いろいろ気遣って「体調どう?」「やっぱまだ痛い?」「手術室どうだった?」などと訊いてくれたんだけど、痛みと眠気でそれどころではない

また、周囲では夕食の準備が始まっていい匂いがするんだけど、やっぱり痛みと眠気でそれどころではない


というわけで両親は帰り、私は看護師さんから点滴のスイッチ操作について教えてもらい、寝ることになりました。

実は、私の点滴針には4種類のバッグが繋がっていました。

点滴4種類

鈴生りです。


4種類はそれぞれ
①抗生剤
②普通の痛み止め
③強力な痛み止め
④カロリー(食事ができないのでその代わり)
です。

点滴(名前付き)

そしてこの4種類のうち、
③の強力な痛み止めだけは普段は管が閉じています。
付属のスイッチを押したときだけ管が開き、薬液が身体に注入されるのです。

付属スイッチの操作について看護師さんから教えてもらいます。
とは言ってもカチッと押し込むだけ。

まあ、連打するよね。

左脚痛いからね。



21:00 消灯

一応消灯時間ということで電気が消えます。
手術が終わって以降、寝ては覚めてを繰り返してきたので、寝る時間と言われても正直あまり実感がない。

ベッドでスイッチを連打している私を見た看護師さんが教えてくれたんですが、連打してもあまり意味がないそうです。一度スイッチを押すと、その後10分間は強制的に管が閉じるのだとか。つまりスイッチを何度押しても薬液は10分に1回だけ入るということですね。えーん。

でも、10分間隔でコンスタントに薬液が入ることを願い、起きてる間は連打してしまう。薬液が入るチャンスを1秒たりとも逃したくない。10分に1回押すのと11分に1回押すのでは、2時間後には丸1回分の差が開いているんだぞ!

痛みは、骨を切ったことによる痺れ、皮膚を切った痛み、そして血栓防止のためにつけているフットポンプの振動の3重苦。だいぶツラいです。

例えるなら、
長時間の正座で痺れた脚を
刃物でパックリ切りつけられた上に

電動マッサージ機の

画像6

この部分でひたすら揉まれている

って感じ。


繰り返し襲ってくる睡魔がただただありがたい。眠っている間は意識が飛ぶからね。

夜中も何度も起きながら、早く朝になってくれ、早く時間が過ぎてくれと思っていました。時間が経つのを待つしかないのだ。分かってる。

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