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アクセサリーで心の聖域をつくる

「トルネコの不思議なダンジョン」というゲームはご存知だろうか。
ドラゴンクエストⅣの登場人物である商人のトルネコが主人公となり、不思議なダンジョンにあると言われているお宝を求めてひたすら地下を探索するゲームである。

そのゲーム内のアイテムに「聖域の巻きもの」がある。これは他の巻きものと違って唱える・読むものではなく、床に置くアイテムである。
そしてその「聖域の巻きもの」の上にいるときは敵の物理攻撃を受けることがないという素敵アイテムである(※遠くからのドラゴンによる火の攻撃はダメージを受ける。)。

トルネコの話がしたいわけではなく…笑笑、先日買ったアクセサリーで心に有刺鉄線をひいたら心の中に聖域ができて生きやすくなりましたよ、ということである。


アクセサリーで心に聖域をつくる

きっと誰にでも、自分しか立ち入ることのできない心の領域があるはずだ。
いや、ない人もいるかもしれない。その辺りは自由な感じでお願いしたい。


わたしの踏み込まれたくない領域はジェンダー関係だ。
幾分か解決傾向にあるものの、「女性」にまつわる分野については、繊細になってしまう。「結婚」の話題も「出産」の話題も「どうしてしないの?」と聞かれるとしんどく感じてしまうことがある。

そして、日本で生活をする女性であれば、セクシャルハラスメントにあうことは日々日々あるだろう。
わたしは過去にセクシャルハラスメントを受けて、心のバランスを崩して仕事を辞めた経緯がある。
もちろん、当事者たちはわたしが辞めた理由など知らない。わたし自身も、辞めたときの自分の状況がよくわからなかった。
心身が快復して初めて、わたしはセクシャルハラスメントによって仕事を辞めざるを得なかったのだと認識ができた。


忘れられない怒りもあるし、でも怒りを常に抱えるのはパワーがいるし、世の中の男性が全て悪いわけでもないことは知っている。

では、わたしはなにに怒ればいいのかわからなくなる。或いは全てを許せればいいのだろうか。


普段はそんなことを考えて生活をしているわけではない。
たまに、主に男性からの話題で打ちのめされることが年に何回かあるくらいだ。
それはやはり「結婚」「出産」「恋人の有無」の話からの派生が多い。

このときに知ったAlexander McQUEEN。
購入したのはバッグではなく指輪になった。

スタッズとチェーンのついた指輪を左手の薬指にはめている。

だいたいの人は婚約指輪やパートナーからの指輪を贈られたときにつけることが多い。
自問自答ファッション講座のあきやさんは、左手の薬指でも気にせずつけちゃう!とどこかのタイミングで仰っていた。


未婚であること、パートナーがいること、子どもはたぶん持てない体であること、
そんなの他人に言うことじゃないのに、他人は簡単に聞いてくる。


だから結婚していないけど、指輪をすることにした。
結婚制度はうまくまだ消化できていないけど、もういっそ左手の指輪=既婚者というものを利用しようと思った。少し、利用くらいさせてくれても罰はあたらないはずだ。或いはシステムへの反抗心かもしれない。

過去を思い出させるような、自分の繊細な部分を思い出させる指輪は精神的に良くないのでは?とも思うのだが、わたしの大事な部分は決して踏み躙られてはいない、ということを指輪は教えてくれた。
そして、もし同じようなことが起こりそうなら、全力でNOを言うし、なんならわたし側に踏み込んだことを後悔させてあげたいと思う。
「結婚」「出産」「パートナー」、わたしのなかの有刺鉄線が揺れる。防御システム発動か戦闘モード待機だ。


指輪は同時に自分に「怒り」の許可を教えてくれた。

世間話もできないのかよ!と言われそうだが、自分ごととして考えてくれる女性とは違って、女性の人生を他人事としか捉えていない男性がさも自分の価値観こそが社会の規範と言わんばかりに「結婚」「出産」「パートナー」全てぶち抜いてくるほうが異常だ思う。というか、結婚も出産もしないオンナに説教したいおじさんが嫌だ。そしてワンチャン(死語…?)、その社会の言うことを聞かないオンナを自分のオンナにしたがる下心見え見えのおじさんが心底嫌だ。次あったら全力で戦ってやる。



過去に起きたことは変えられないと思っていたけれど、今生き続けていく限り、過去に対する認識はいくらでも変えていくことができる。


これからわたしの左手の薬指のやけにイカつい指輪をみて、既婚者だと思えばいいし、男がいると勝手に思えばいいし、ちょっと俺と趣味が合わないなと思ってくれていいし笑笑、指輪自体を褒めてくれた人にはAlexander McQUEENで盛り上がろう。



何も疑問に思わずに死んでいくよりも、自分自身の在り方を深く考えるような出来事があってよかったと思える日がいつか来る。絶対に来る。


アクセサリーひとつで、何が変わるのかと思っていた。
なくても困らないし、なんか邪魔そうだし、アクセサリーを選ぶ人はきらきら輝いてみえたから、わたしには関係ないと思っていた。
でも、きらきらと見える女性たちも、わたしと同じように、きっと心の深いところで繊細に傷つき、悩み、そして何かに希望を託しているのだ。


なんかちょっとわたしの輝きは鈍くて禍々しいかもしれないけど、きっとまあ、薄目で見ればわたしも同じように光ってみえるだろう(突然の雑)。

わたしの聖域は自分だけのものだ。
そして全ての女性の大切な聖域が守られますようにと願う。
わたしは左手の薬指に指輪をはめる。

他人から見たら、わたしの生き方は聖域の巻きものの上で必死にこんぼうを振っているトルネコのように見えるかもしれないが。

わたしはいま、清々しい気持ちでいる。

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