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二等辺三角形食べる

 楽譜みたいだと、思ってたんだ。露がかかっていると特に。五線譜。よく見ると線はもっと、六本とか七本とかを単位に、何重にもかかってる。どんな音楽だろう。その、耳には聞こえない音が、鳴り響くのは朝。東からの陽を浴びて、虹色に鳴る。中心から放射状に延びた糸の落ち着き先によって、パネル一枚一枚の角度は微妙に違うから、色もそれぞれに違う。碧。蒼。紫。紅。曙色。どんな音楽だろう。
 蜘蛛の巣ってね。払っても払っても、次の日には新しくなってるでしょ。勤勉。あれってね、古い巣、食べちゃうんだよ。凄いよね。新しい材料いらないの。持続可能。でね、その、食べ方なんだけど。巣を張るとき、まず縦糸? を放射状にひっぱって、中心から外に向かってぐるぐる回りながら巣を作っていく。あれ? てことは同心円じゃなくて螺旋なのか。ますます、どんな音楽なんだろう。
 えっと、それでね。食べる時も同じように、ぐるぐる回収しながら食べるんだと思うでしょ! ところが、こないだ偶然食べるとこ見たら。なんと! 食べる時は、二等辺三角形のパネル一枚ずつ食べていくんだ。ピザとかケーキみたいに! 朝虹色に光ってた、あのパネル一枚ずつ。
 お腹の中、どんな音楽なんだろう。

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