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ツイッターについて書くシリーズ 2 「ネタは被る」

はじめに

自然界には収斂進化と呼ばれる現象がある。

例えばモグラとオケラは生物学的に全く別種の生き物だけど、地中を住処として何世代にも渡って土の中を掘り進むことで、両者は驚くほどそっくりな形状の手先を獲得するに至った。パッと見でめちゃくちゃカニの見た目をしているヤドカリ上科の甲殻類、タラバガニもそう。彼らは進化の過程で借り物の貝を脱ぎ捨て、よりカニっぽくなることを選んだ、というよりは、生存競争を勝ち抜き、環境に適応する中でどんどんその姿がカニに“似てきてしまった”。全く別のルーツを持っていても環境と生き方の先鋭化の果てに姿形が似通ってしまうこと、それが収斂進化である。

収斂進化の類型として、「別種の生物への擬態」を含む考え方もあるらしい。毒や高度な身体機能を持ち、捕食者として自然界の上位存在として君臨する“強い”生き物をモデルとして、弱い立場の持たざる者がその姿を寄せていく生存戦略。収斂進化も擬態に至る進化も「別種の生き物が同一の形質を得る」という結果は同じであるが、ひとつのゴールを目指して結果的に似たのか、元から存在する“強い方”に寄っていったのかで、両者には明確な差がある。

なぜいきなりこんな話をしたかというと、擬態─収斂進化の関係が、パクツイ─ネタかぶりの関係性とかなり似ていると思ったからだ。
とにかくウケたいが先行して見境なく他人のツイートを剽窃する行為が、既に存在する面白い人たちへの擬態(パクツイ)とするなら、可能な限り面白さを目指す中で頭を捻り、偶然起こってしまう“ツイートの収斂進化”が、「ネタかぶり」なのである。

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