公務員試験青春白書 pt.4

8人に分身して炊飯器を取り囲んでいたら更新できずに時間が過ぎてた。すまんな。

続きです。

二次試験の集団面接は手応えが割とあったので、三次試験の個人面接への準備を進めた。前回に書き出した一問一答集に追加するかたちでまた一人で練習した。予備校で模擬面接を受けるか迷ったけど、前回みたいな悲しい思いをしたくないと予約を躊躇している間に予約の枠が全て埋まっていたので諦めた。(半分くらい安心した。)
通知が届いた。毎回同じ封筒で、速達で届く。今までの試験から通知までの日数もだいたい一緒だった。結果は予想通り合格だった。このころから2ちゃんねるの公務員受験生のスレッドを覗くようになった。過去のログを辿って三次試験の傾向や内容を掴もうとしたが有用な情報はなく、他にも投稿サイトなどを見たが面接の内容に触れている書き込みは少なかった。webで検索してたどり着いたサイトで一番有用性があったのは、市が公開している前年度までの職員試験受験者数と合格者数の表のページだった。内容への言及はもちろんないがハッキリとした数字で受験者数と合格者数、倍率が明かされていたので参考になった。この調査で三次試験は約半数が落とされ、最終ではほとんど落ちないことが分かった。三次さえ通れば勝ったようなものだ。ゴールは目前だと思った。少なくとも当日までは。

その日も朝早かった。B日程を蹴ってフジロックに行ったこと、C日程については考えてすらいなかったこと…それら全てが吉と出るか凶と出るか、この日にかかってる事は重々理解していた。ここでしくじれば、公務員になること自体かなり遠のく。そんなことを考えながらスーツを着る。買ってくれた父に感謝しながら。ネクタイは赤を着けた。二次は青だったから三次は赤にして最終はまた青にしようと何となく自分の中で決めていたからだ。用意を済ませ、電車で会場へ。

控え室に来るのは二回目だが自分には見慣れた景色のように思えた。順番を待ってる間はとても長く感じるし、その間無意識に部屋を見回していたからかもしれない。癖で1時間くらい早く着いたので前の人が受けてる説明を何度か繰り返し聞く羽目になった。その間に緊張感は増すし持参したお茶はなくなるしで、順番が来る頃には口がパサパサだった。名前を呼ばれたので一人で歩き、控え室を出て階段を上り、面接室の前に立った。ノックの仕方から着席まで動作を頭の中で何度もやったシミュレーションと再び擦り合せる形で行い、面接が始まった。

面接は最初の「自己紹介をしてください」から最後の「バンドのパートは何をやっていましたか?」まで約20分くらいだったと思う。その間俺は面接官が繰り出す「履歴書の空白期間」を鋭く抉るような質問に耐え続けていた。もちろん、空白期間に対する質問は俺のような既卒者へのメインとなる所だということは分かっていたし、エントリーシートもわざとそこに誘い込むような形で書いた。突っ込まれた時の対策も立てていたし、「アルバイト時代に自分がどのような心境で何故公務員を目指すようになったか」を綺麗に答えればクリアだと勝手に思っていた。しかし実際の面接は予想を上回った。大学卒業から何年間バンドをやりながらアルバイトをし、どういうきっかけでバンドを解散して、何故就職したのか、そして何故辞めたのか、上司には引き止められたか、受験に際して両親は何て言ったか……等々。その場で考えてなんとか答えるが、動揺のせいでありきたりな質問が来た時に訳わからないことを言ってしまったり、気付いたらゲームについて語っていたり、自分の軸がだんだんブレていくのを感じた。幸い、ブレが振り切らないうちに峠を越えて他愛もない質問に切り替わって面接は終わった。

帰りの電車が長かった。席に座りながらずっと今日の面接のことを振り返っていた。時間が過ぎるほど自信はなくなり、最寄駅に着く頃には絶望していた。なぜかその日は午後からバイトを入れていて、上がる頃には本当に疲れ切っていた。

「もう少しだったのに、やっちまったよ」みたいのを色んな人に言ってヘラヘラすることで自分の気持ちを紛らわしていた。

つづく

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