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全国ジュニア・ラグビーフットボール大会 取材メモ(後編)

12月27日、高校ラグビーと時を同じくにして、中学生の日本一を決める全国ジュニア・ラグビーフットボール大会が東京都で開幕し、男女含めて全20チームが熱戦を展開しました。

最終日

第1ブロック決勝戦は福岡県代表対大阪府スクール代表、3位決定戦は茨城兼中学校代表対大阪府中学校代表。第2ブロック決勝戦は群馬県スクール代表対神奈川県スクール代表、3位決定戦は兵庫県スクール代表対東京とスクール代表の組み合わせとなりました。

第2ブロック決勝戦 群馬県スクール代表対神奈川県スクール代表

第2ブロックの決勝戦は高いスキルを武器に勝ち上がってきた群馬県スクール代表と2年続けて第1ブロック入りを逃した神奈川県スクール代表の対戦。序盤は神奈川県が幸先よく先制するも、群馬県バックス陣の高いスキルが光り、一進一退の攻防。前半終了間際に群馬が追い付き5-5で後半に。

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後半、流れを変えたのは神奈川県途中出場のSHの今選手でした。
パス捌きはもちろんでしたが、積極的なランで流れを大きく変えて群馬のディフェンスを混乱させることに成功。すると1番中山選手、8番吉田選手という大柄なプレイヤーがグイグイと前に出るようになり、トライを連続することに成功しました。
「たら・れば」は禁物ですが、ともに東日本大会を勝ち上がっていれば、第1ブロックでも十分に好勝負できたチームと思います。勝負のアヤですが、第1ブロックで見ることができなかったのは残念でした。

第1ブロック3位決定戦 茨城県中学校代表対大阪府中学校代表

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ともに前日の準決勝で敗退しましたが、気持ちを切り替えて3位決定戦に臨んで試合です。試合はプレッシャーから解き放たれたのか、大阪府中学校代表がノビノビと自由にプレー。グラウンドを大きく使い、バックス陣が気持ちよさそうに走っているのが印象的でした。
茨城県中学校代表も必死に食い下がりますが、勢いに乗ったオール大阪を止めるのは難しかったですね。本来のアタックを出し切った大阪府中学校代表が41-0と快勝しました。
茨城県中学校代表は例年同様に茗渓学園の選手が中心となっておりますので、次のステージでさらなる飛躍を遂げてくれることを期待したいと思います。

第1ブロック決勝戦 福岡県代表対大阪府スクール代表

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そして迎えた第1ブロック決勝戦。
お互いの心臓の鼓動が聞こえてきそうな緊張感の中、試合は福岡が強みのフィジカルを押し出し、球出しを少しでも遅らせていくことで大阪スクール得意の展開ラグビーにストレスを与えます。
前半風下の大阪スクールは自陣でのエリアマネジメントにも少し苦戦、前半終了間際に与えてはいけないトライを与えてしまい、0-14で折り返します。
後半はようやく持ち味が出てきた大阪スクールが早々にトライを返しで5-14としますが、福岡は例年通りベンチメンバー全員が出場する総力戦で対抗。前日のタフな試合で疲れも少し見える大阪スクールはよく攻め込みましたが、福岡のディフェンスを崩すことができず、そのままノーサイドとなりました。

3日間を終えて

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2年続けて福岡県代表が優勝で幕を閉じた今大会。
フィールド間近で観戦していて気づいた点は3つです。

1点目は東京開催に変わったことで、前年度まであまり意識しなかった「風」を計算した戦いに各チーム苦労していました。会場の夢の島競技場は臨海地域ということもあり、非常に強い風が吹いており、キックオフが戻されるなどキッカーは苦労していました。とはいえ、昨今の中学生の対応力は素晴らしく、風上、風下の戦い方を自分たちでマネジメントし、ボールを極力つないでマイボールの時間を増やしたり、キックの弾道を低くして陣地脱出の工夫をしたり、クレバーでした。

2点目は前年度までは関西開催ということもあり、高校ラグビー非開催日の2日間はA級レフリーがアセッサーを務め、レフリングのレベルも相対的に高かったですが、今大会のレフリングは一貫性が見えづらく、プレイヤーが戸惑っているように映りました。
特にタックラーが抱え込んだ際の「リリース」の声が今一つわかりにくく、モール状態なのか、ラックなのか、リリースしないといけないのかが伝わらず、またラック周辺の攻防についても横から入るプレイヤーを上手くコントロールできていなかったように思えます。
初日の反省点ということで2日目から急激にローヘッドのペナルティを取るようになりましたが、ここについてもブリーフィングでの意見交換が薄かったのか、選手がなぜ笛を吹かれたのかわからないという表情をしているシーンが多く見受けられました。
高校生顔負けの高いレベルですので、レフリー団の頑張りにも次年度以降は期待したいです。

最後の3点目は、2年連続で福岡県が優勝しましたが、3日連続での試合はやはりタイトでタフということもあり、12名+数名で戦うのではなく、登録の25名全員で戦う必要があるように感じました。福岡県は伝統的にこのスタイルを貫いており、13番以降の選手が自分が果たすべき役割をしっかり意識してプレーしていました。
その点は他チームも今後見習っていく必要があるように感じますし、この舞台に連れて行くためにセレクションしたメンバーは必ず出場させてあげてほしいと思います。

帰路の東京駅で大会役員とばったり会いましたが、次年度以降もしばらくは東京で継続になる見込みとのことです。素晴らしい舞台を継続していただけることに感謝しながらも、プレイヤーズファーストとなるべく周囲の大人がサポートしていってあげたいものです。