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M&P9ハンマースプリング交換

東京マルイのM&P9シリーズ共通の癖というか不具合というか、ユーザーレビューなどで共通して出てくる話として、スライドが引っかかるというものがあります。
先日実施した弾速測定でも手持ちのVカスタムが2発に1発と高頻度で閉鎖不良を起こしていましたし、メンテナンス中もスライドの引っかかりを感じることがしばしばありました。

原因としてはスライドの設計がかなりタイトなようで、チェンバーポート前縁がスライド開口部前端に擦れているようです。
この部分を削って当たりを取るのが根本的な解決法なんでしょうが、削りたくない場合はこの部分に薄っすらとシリコングリスを塗るだけでもかなり改善が見られます。

それとは別に、ブローバック作動そのものが重いようです。
原因としてはハンマースプリングがちょっと硬すぎるのではと言われています。
(最近の生産品は初期生産品よりスプリングレートが弱くなってるという話も聞きます)
今回は検証として、ハンマースプリングの交換でM&P9の持病の治療が可能なのかを確認したいと思います。

使用した部品

今回使用したのは、ライラクスがNINE BALLブランドで販売しているハンマースプリングセットです。
2種類のハンマースプリングと、トリガーシアースプリングがセットになっています。

今回動きが渋いVカスタムに銀色のAタイプ(低温時の作動改善向け)、比較的動作は調子がいいもののたまに持病が出る通常モデルにBタイプ(通常気温時向け)を組んでみて、作動性の比較を行うことにします。
また、Vカスタムにはトリガーシアースプリングも組み込んでみます。

パーツの組み込み

分解手順はパーツ説明書にも記載されていますが、グリップのパームスウェルを外したところのビスと、フレームのピンを抜き、ハンマーユニットのビスを一本抜くことでハンマーユニットを抜くことができます。
ユニットを抜き取る際にノッカーロックが取れそうになるため、スプリングを飛ばさないよう注意。

セーフティーレバーを抜く際もセフティクリックと同スプリングを飛ばさないよう注意しましょう。
ビス3本を抜くとハンマーユニットを分解できますが、構造としてはXDM-40によく似ています。

一度ハンマーとバルブノッカーを外してハンマースプリングを取り外します。

右・純正  左・カスタムパーツ

形状は同じですがバネレートはかなり弱くなっているようです。

下のスプリングが純正部品

Vカスタムはトリガーシアーのスプリングも取り替えます。
こちらもカスタムパーツの方はかなりレートが弱くなっており、純正品はかなり硬く感じます。

取り替えたら元通りに組んでいくだけですが、やはりハンマーとノッカーの組み込みはちょっとコツがいりますね。
XDM-40もそうでしたが、ノッカーの三角の部分にノッカートーションを通して、トーションを曲げつつハンマーを固定……トーションを破損しないように注意しつつ、ハンマースプリングをハンマーに引っ掛けることも意識しつつスリーブを通してハンマーを固定……ああ、めんどい。不器用にはツライ。
慣れれば数分で組めるようになるんですけどねぇ。先日XDMの修理しといてよかった。

あとは逆の手順で組んでいくだけですが、サムセーフティーを組む際にセフティクリックを飛ばさないよう本当に注意しましょう。なくすと本当に見つかりません。
私はなくしたので、修理保留中の別のVカスタムからパーツを取ってきました。(こいつは修理する際にセーフティーレスにする)

今回は2回連続でバラしと組付けをやったので、2回目は1回目の半分弱の時間で終わりました。

試射結果

組付け中にハンマーを指で起こしてみると、明らかに純正よりも柔らかくなっていると感じました。
完全に組み付けを終え、ハンマーが落ちている状態からスライドを引いてみると、Vカスタム(Aタイプスプリング)では明らかに引くときの抵抗感がなくなります。
通常モデル(Bタイプスプリング)は引いた感じは純正とさほど変わらない感じがしたのでちょっと心配。

実施日は先日の弾速測定時よりも気温が低かったのであまり弾速は期待していませんでしたが、動作確認のために簡易的な測定を実施しました。
両方とも数発撃ってみたところ60m/sを下回ることなく、概ね62m/s前後で安定していました。
初速向上の要因としてはハンマーコックに伴う抵抗が減ったため、ブローバックに余分なガスを回さずに済んでいるのではと推測します。

また、トリガーシアーのスプリングも交換しているVカスタムですが、トリガーの引き具合が明らかに軽くなっているように感じます。
トリガーを引くときにブレてしまうようだったらスプリングを変えてみたほうがいいと思いますが、個人的にはもとの感触のほうが好きですね。
このスプリングを変えるのであれば、トリガーセーフティーをオミットする形でトリガー自体変えるほうが効果があるかなと思ったりはします。

後日改めて作動性確認を行いましたが、明らかにブローバック動作が安定したように思います。
もう少し気温が上がってから、温かい状態での比較もしたいです。

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