荒れ地を開墾する炎の鯖缶日記です

この日記は、ビア鯖アドベントカレンダー2020 19日目の記事です。18日目の記事はasaopopさんの2020年の私と音楽です。

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早いもので2020年も残すところあとわずかとなりました。お仕事は無事年内に納まりそうですか?

わたしはといえば、先週までに今年のお仕事を全て終え、このアドベントカレンダーの記事を書くため、いつもお世話になっている、ある南の島の古民家風リゾートカフェに来ています。穏やかな日の光を浴び、海からの優しい風に吹かれながら、あたたかい紅茶を飲みつつ、心穏やかに文章をしたためるのは毎年恒例の年末行事です。このようなすてきな場をを設けてくださったてすとくんさん、本当にありがとうございます。

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ところで、Mastodonを利用したサーバーを管理させていただいて、まる3年が過ぎました。サーバー管理の知識などまるでなかった2017年、札束でしばき倒した2018年、多少技術が身についたと思ったらやっぱりサーバーをぶっ壊しちゃった2019年を経て、今年ようやくmstdn.beerさくらクラウドからLinodeに移行することができました。そんなMastodonと一緒に過ごした、紆余曲折の3年あまりを振り返るのはnoellaboさんのFediverse Advent Calendar 2020 20日目の記事で書くとして、ここでは、荒れ地を耕して種をまき、作物を育てて立派に収穫するために必要となる知識をまとめたいと思います。”サーバー管理と云ふは農と見つけたり“と教えてくれたわたしの師匠にこの文章を捧げます。

なお、この記事は少々長くなってしまいましたので、お時間のない方のために重要ポイントを太字にしてあります。太字部分だけを読んでいただいてもこの記事の趣旨がわかるように工夫いたしました

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まず、この写真を見ていただきましょう。

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この写真は、わたしのサーバー管理すなわち農の師匠が、わたしのために用意してくださった師匠の庭の一角です。「好きに使っていいよ」とおっしゃる師匠の顔は穏やかでしたが、その瞳の奥には、弟子を厳しく指導しようというするどい光が宿っていたのが印象的です。

1.野菜が育つ土壌とは

野菜が育つためは、①根から栄養や水分を吸収し、②葉(葉緑素)が太陽の光や水分などを用いて栄養(炭水化物など)を作ることが必要です。われわれ農家が土というものをとても大切に考えるのは、野菜を育てるためにこの土がとても重要だからなのです(POINT1:土が大切なのは、土が大切だからである)。

野菜が元気に根を伸ばしていくためには、①水はけがよく通気性がよいこと②保水する力があることが重要です。このいっけん矛盾する条件を満たすために、土は団粒構造(だんりゅうこうぞう)になっている必要があります。先ほど紹介した写真は、数十年放置された土地で(専門家の間では「荒れ地」と呼ばれています)風雨にさらされるうちに土中の隙間が徐々に詰まっていき固くなっていきます。このような荒れ地は、先ほどの団粒構造に対して単粒構造(たんりゅうこうぞう)と呼ばれ、野菜を育てるには適しません。

土が団粒構造か単粒構造かは、口に入れてみるとすぐにわかります。団粒構造の土は、口に入れた瞬間にほろほろと崩れ、まるで積もりたての粉雪のようになめらかな口溶けになります。これに対して単粒構造の土は、いつまでも口の中に塊としてとどまり粘りとともにしつこく残ります。(POINT2:よい土は美味い

2.腐葉土の重要性

では、このようなよい土を作るためにどうすればよいのでしょうか。長くMastodonを続けておられる読者諸兄諸姉にはご存じのあれです。そう、腐葉土です。下の写真は、荒れ地を耕す筆者と腐葉土の近影です。

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腐葉土とは、土壌を改善するための堆肥(たいひ)の一種であり、荒れ地を耕す際にこれを蒔き、よく耕すことで団粒構造ですばらしい口溶けの土にしてくれるものです。腐葉土は、落ち葉や枯れ枝などを、バクテリアなどの微生物やミミズが少しずつ長い年月をかけて分解したり、発酵させることでつくられます。腐葉土の作り方については、『月刊 農とサーバー管理』2013年3月号の拙稿「毎号届く枯れ葉を使ってきみだけの腐葉土を作ろう」を参照してください。

腐葉土をふんだんに使った土は、土中の微生物が増えて野菜が育つために必要な栄養分を補充してくれますし、枯れ葉や枯れ枝の一部が土中に混ざることですき間ができて水はけがよくなります。また、上記の写真にあるようにホームセンターなどで購入できる腐葉土は10L~30L程度の分量で袋詰めにされており、この腐葉土袋を担ぎながらお酒を飲んだり会話を楽しんだりすることもできます。その様子はSNSで話題になったことからみなさんよくご存じのことでしょう。最寄りの方は立ち寄ってみてはいかがでしょう。きっと楽しい夜を過ごせますよ。(POINT3:腐葉土で扶養、どう?

埼玉・越谷にあるキャバ嬢と客が腐葉土を担ぎながら会話を楽しむ「腐葉土キャバクラ」が謎すぎる

3.野菜に必要な栄養素とは

長く農家をやっていると、必ず頭を悩まされるのが肥料の問題です。ホームセンターなどで肥料のコーナーを見ているとさまざまな肥料が売られていますが、果たして「どれを買えばいいんだろう?」と疑問に思った方が大勢いらっしゃるのではないでしょうか。そこで、野菜に必ず必要となる栄養素として3つにしぼって考えていきます。(POINT4:よっつ以上は数えられない

①カリウム(K)

植物は、その体内にカリウムイオンを持っており、このカリウムイオンの働きによって、葉で作られた栄養を根に送くりこむことで根の成長を促したり病気への抵抗力を高めています。そのため、野菜にとってこのカリウムは、丈夫な根を育てるために重要な栄養素のひとつとなります。

②窒素(N)

空気中に豊富にあるとされている窒素ですが、これは植物の生長にも必要な栄養素のひとつです。野菜が太陽の光を浴びて行う光合成を担う葉緑素などにとって重要であり、窒素は、葉を元気にしてくれるという効果を期待できます。

③リン酸(P)

リン酸は、核酸を構成する成分であって、植物が花を咲かせたり実を付けたりする際に重要な役割を担います。野菜を育てて行くにあたっては、根菜や実を付けるものを栽培する際に、このリン酸を適宜施していくとよいでしょう。

肥料を購入する場合には、上で述べた3つの要素のいずれを重視するか?といった視点から選んでいくこととなります。カリウムのK、窒素のN、リン酸のPという元素記号から、「こ(K)んな(N)にぷ(P)るんぷるん」と覚えると間違えずに購入できますので参考になさってください。(POINT5:そろそろ疲れてきました

4.見落としがちな土壌のpH

荒れ地を耕すにあたっては、pH(ぺーはー)にも十分留意することが必要です。おさらいをしておくと、pHとは水溶液の性質を表す単位としてあまりにも有名で、赤は子供に青は大人になるといわれています(POINT6:赤いキャンディー青いキャンディー知ってるかい?)。

野菜の栽培においても、このpHは重要で、土というのは放置していると雨によってアルカリ分(石灰の成分)が流されてどんどん酸性に傾いていきます(このような現象を、大人から子供に逆行していく様になぞらえて「幼児退行」と呼ぶことがあります)。おおよそ、野菜を育てるのに適したpHは5.5~7.0の間と言われていますが、栽培しようとする野菜によっても、好むpHが異なります。詳細は、農林水産省が公表している下記の資料を参照していただきたいのですが、イメージとしては、子供が好むサツマイモ、ジャガイモ、ショウガ、ニンニクやらっきょうなどはやや酸性(酸性=赤=子供と覚えてください)に適しており、大人が好むほうれん草やスイカ、トウモロコシ、トマトなどはややアルカリ性(アルカリ性=青=大人と覚えてください)に適していると言われています。

農林水産省都道府県施肥基準等(令和元年6月更新)資料

長年放置されている荒れ地や収穫の終わった畑などといった、酸性に傾いた土を中和するためには、苦土石灰(くどせっかい)を捲き土壌に漉き込むのがよいです。この苦土石灰もホームセンターや農協で袋詰めで販売されています。ただし、腐葉土とは異なり、苦土石灰については、その袋を担いで楽しめる苦土石灰キャバクラはまだ発見されていません。(POINT7:苦土石灰「くどくてすみません」 #よし

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いかがだったでしょうか。駄文におつきあいいただき誠にありがとうございました。この記事がみなさまの豊かなMastodonライフの一助となりますよう祈念いたします。では、よいお年をお迎えください。

なお、この記事は、Fediverse Advent Calendar 2020 20日目の記事に続きます。次回作もどうぞお楽しみに(ぶろぶすまーとの絵文字)。

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