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ゴスペラーズライヴを観てきた

ゴスペラーズ坂2021”アカペラ” #あなたの街にハーモニーを
を観てきました。やっと観られた!
忘れたくないので全部忖度なしに書き散らかします。ネタバレを避けていらっしゃる方は以下御覧にならないようにしてください。



↓ 
↓ 以下ネタバレ


席には開園15分前くらいについたのだけど、会場のSEはメンバーそれぞれの
favorite a  cappella song が。記憶が曖昧なのだけどおそらく以下の通り。
・村上てつや→「曇りのち晴れ」尾崎亜美
・黒沢薫→「Alone」山下達郎
・酒井雄二→「Words」The Real Group
・北山陽一→「Both Sides Now」The Singers Unlimited
・安岡優→「Charming」Stardust Revue
リーダーチョイスがちょっと意外。聖子ちゃんなどへの楽曲提供者としての尾崎さんにすごく興味があったのかな。ヤスくん、黒沢さんは納得。酒井さんチョイスはすごく酒井さんっぽい。HBBあり、ラップ的な部分あり、そしてメインキーがCm。
そして合間にこれまでのメンバー単独の手洗い動画も映像で流れていた。ステージセットは、16:9の画面と縦長の電光掲示板ぽいディスプレイがひとつずつ。図書館のような高い天井まで本が詰まった書棚が下手側に。上手には数段の階段の上にゲートのような上が半円形の門が。

前半衣装はパンフレット画像をご参照を。
ゆたかさんの似合いっぷり、半端なかったです。リーチが長いって無敵。

1. INFINITY
ステージはこの曲から。ルーパーは登場せず、バックトラックとして流されていた。なんとなくこちらは少し緊張した感じで聴きつつ、複雑に入り組んだパートを確かに積み上げて歌い継がれる流れとビートに乗せられていく。アカペラライブってこう言う緊張感だったなぁと十数年ぶりに思い出す感覚があった。
それとは別に、単純にこのアルバムのライブを生で体験することがうれしい。2日連続の2日目だったけど、5人の声の調子はいい感じと思われた。

2. 風が聴こえる
公募で集まった700曲から選ばれしこの曲。今のゴスペラーズが歌うのに、良い意味で少し意外性があったけど、本当に素敵な曲だなぁとしみじみ。曲にひっぱられてか、5人の声がいきいきと軽やか。バックのクラップの乾いた音が気持ちよく、前へ進ませている。サビの酒井→黒沢リードの組み合わせの気持ちよさ。ヤスくんリードは少し甘さ多め、若さを思わせるトーン。ブリッジ部分のハモリの重なり、盛り上がりが泣かせるね。サビからは客席も手拍子に加わって、ステージとの心の距離がすっと近くなった気がした。

「風が聴こえる」のバックコーラスが繰り返されて、この舞台がストーリー仕立てで紡がれることが語られる。声の出演は小野大輔さん。会話の相手は観客である“あなた”。その台詞は縦長のディスプレイに表示されて、“あなた”役である私たちは心の中でそれを読み、その役としてストーリーに入っていくという仕掛けだ。

3. OVER&OVER
そしてそのストーリーが『OVER&OVER』というタイトルであることが画面に表示され、この曲が始まった。
この曲は、リーダーがリリース時に語っていた通り、修行っぽさがある。バックの4人はひたすら同じフレーズを淡々と歌う。黙々と揺るぎなく。途中少し変化もあって、もちろんものすごく練習しているんだろうけど、ふと混乱しないのかと思ってしまう。そのストイックな職人ぽさと、しかし、もちろんそれぞれ歌手としての歌、声の色合いがあって、全部違うそれらがカチッとハマっているように感じさせる。
さらにその上で、彼にしては素朴なトーンで、でも抑えた熱さを滲ませて歌うリーダー。ディスプレイにはいろいろな道路の映像が映し出され、自分自身は走ることをしないけれど、様々な街を走る様子を疑似体験するような感覚をくれた。実直さ、真摯さが伝わる、シンプルだけどとても味わい深い曲だった。

4. マジックナンバー
ストーリー上の2人は、”あなた”が忘れてしまった過去について語っていく。”あなた”が好きだった音楽のスタイル、好きだったグループを思い出そうとしているところで始まったこの曲。
イントロ前に、ディスプレイ上に手拍子をするタイミングを表示する映像が表示され、会場へ手拍子を促す。ヤスくんの歌手としての引き出しの多さと深さを感じた!CDでもそう思ったけど、この人すごいなーと。動きのしなやかさ、多彩さも相まって、ステージが彼の色に塗り替えられていった。♪Oh baby イケるだろう! の一節、めっちゃセクシーでした (*´Д`*)
歌詩に散りばめられているゴスペラーズの曲名のところは、その曲の振り付けがちょっと入ったりして、このライブではかなりフィジカルな動きのある演奏。

5. インターバル
イントロで1パートずつ重ねられていくベーシックのコーラスパターンは、バックトラックとして流されて、その上でリードを歌っていくスタイルで再現された。歌われている歌詞の対象のメンバーは上手側のゲートから出てくる演出。想像以上に黒沢さんの部分は皆んなの歌が素敵で驚いたよ!酒井さんの♪カルダモンターメリックローリエ にはたまらなく萌えた。中低音域のリーダーも素敵。y
そしてキモはユニゾンになったところ。それぞれの歌なんだけど、一体感があって気持ちよくすっと届いてきた。その場で歌う5声とバックトラックで流れる5声。いつもの倍の声で包まれ感めっちゃあったし、倍音がしっかり響いてきて、膝上に抱えていた自分のバッグがびりびり震えたのを感じた。
生で聴いている、って実感をくれた。

6. VOXers
ストーリー上の男は、じつは“あなた”が忘れている好きだったグループのことを知っているようだ。彼らの歌を聴いていた、そう告げたところで始まった「VOXers」。歌いこなれている曲の揺るがない安心、安定感たるや。勢い、グルーヴ、会場の一体感。大サビのクラップに参加できることが気持ち良い。

ここでMCへ。
「僕らのことを思いだしてくれましたか?」と言う台詞は、冒頭ディスプレイに流れた「ずいぶん長い時間が流れてしまった」と言う文章に呼応していたと思う。長らくツアーができなかったこと、その間、忘れていたわけじゃないけど、ちょっと気持ちの距離を縮めるような問いかけ。
『アカペラ2』のリリースにまつわる話、18年前との大きな変化についてしばし話を。18年前とのアカペラを取り巻く環境と状況の違いと同時に、今のこの想像できなかった状況も考えずにはいられない。

7. 星屑の街
この日のこの曲は、ものすごい完成度だった!素晴らしかった。聞き飽きてないとは言えないこの曲、5人がそれぞれ遠慮なくぐいぐい歌う、その推進力がありながら、それぞれの力が均衡して高まって曲全体がどんどん魅力的に伝わっているように思えた。たくさん歌っている曲で時に出会う、こう言うびたっとハマった、心を掴む歌だった。
あと、イントロからAメロ、最後のベルトーンへの入りが、これまでより長く間を置いていたような。残響を確認してから次を歌う、って言う感じだったのかな。落ち着いたテンポ感ですごく好きでした。

8. 参宮橋
音を取っているときに、その音を聞いて!!! となった。あー。久しぶりだ。
リーダー作詞作曲のアカペラ曲の中でも、いろんな風景を想像させる寂しさ全開のこの曲。喉の奥にこみ上げるものがあった。
ずっと聞きたいと思っていた。聞けて本当にうれしかった。
でも…あの、自分が出会った頃の「参宮橋」にはもう会えないのだ、と思った。あの切実さ、不器用さ、焦り、そんなものを孕んだ歌。20代のリーダーが、彼らが歌ったあの「参宮橋」はもう聞くことができない。それを思い知った。失ったものを寂しく感じた。
でも、わたしたちは2021年を生きていかなければ。50歳になったリーダーのファルセットは素敵だったし、練られた歌、自由に歌いまわるような空気があった。大サビの1回目をオクターブ下で歌ってから、2回目にファルセットへ移るアレンジにぎゅっと心を掴まれる。そして、後ろで紡がれる不安定なコードのコーラスのニュアンスの色合いの美しさ。3人のニュアンスがとても合っていて、それを認識したことすらなかったと気づいた。23年経っても演奏を、歌を良くしていける、ということの凄さを見せてもらったと思う。心に残る歌。

9. ハーモニオン
北山陽一、27年目で初の作詞曲。もちろん作詞・作曲・編曲。
北山さんリードである故、別にベースボーカルが必要で、それを一曲通してヤスくんが担っている。特に高音部で儚げに聞こえる北山リードに、そして音を辿るように真摯に歌うヤスくんのベースボーカルに、祈るような気持ちを抱きながら息をのんで聞き入った。転調して半音上がったところからの北山リードはより切実というか、なにか祈るような願うような響きをする。少し危ういけど、それにドキドキさせられる。そして、北山リードに時に寄り添う黒沢サブリードがたまらなく良い。なんというかな、頼れる先輩感ぱねぇ。あと酒井さんの ♪そして が最&高としか言えなかった。
”ハーモニオン” という言葉を”簡単に”(←北山さんの説明が長くなりがちなことに、先にくぎを刺していると思われる言い方・笑)説明して、と質問が。曰く、ハーモニーとか歌の周りにあるものに名前を付けよう、と思って物質的なニュアンスで ”ハーモニオン” と名付けた、とのこと。
つまり、今日の客席はあなた、ハーモニオン、あなた、ハーモニオン、来たくて来たあなた、ハーモニオン、連れてこられたあなた、ハーモニオン…という風に、1つずつ空いた席にハーモニオンが満ちているんだよ、と。
(↑ここ、個人的にすごくおもしろかっんだけど、面白さがまったく伝わらなくて悲しい・笑)

10. 嘘と魔法
ここで舞台上手からルーパーくん登場。
この前のMCで話題になった、HBBも多様化して技術レベルも上がったね、と同時にルーパーを使うことで酒井HBBの上で酒井リードが可能になったわけで、「Recycle Love」以降の彼の曲の一つのフォーマットになったといえると思う。このステージ上でも、ちょっとデモとしてやってみて、と言われて、「星空の5人」の一節を一人でどんどん録音していく酒井さん。職人技をさらりと披露。
今回ステージではルーパーの真上から映すカメラがあり、なんていうかね…まぁ、マニアホイホイっすよ。サービスショットなんてもんじゃないですよ。酒井さんの手がアップで映るんだぞ、どういう顔してみてたらいいんだコノヤロー!これ考え付いた責任者出てこい。…感謝してもしきれないっす。
というわけで、曲とか歌の感想があまり思い出せなくて、ステージでも歌う酒井さんか後ろの手元(&ルーパー)を写すビジョンかどちらを見たらいいか悩んでしまう始末。結局手ばっかり見ちゃったかな。ダメなヲタクだ。
とはいえ、酒井さんの水性な、透明度の高い声が、この曲の無機質さと少しの虚しさと驚くほどの親和性を見せることに改めて気づく。一見優しげで、その実、きんと冷たく硬質な歌。それなのに、昔話を語るような穏やかなトーン。あと、最後の最後、北山ベース(ルーパー録音済)に酒井さんもユニゾンするところがエモい!と今日も思いました。こちらも舞台から目が離せずにいた一曲。
ちなみに、その場でルーパーに入れたのはこの曲のみ。その場録音パートは酒井さんのバスドラ、両手スナップ、北山さんのベース(ダブル)の3チャンネル。口笛パートとハイハットは予め入れてあったよう。

11. 雨あがり
ルーパーものもう一曲。ラテンのリズムと歌謡曲の香りがとてもいいね。サビはリーダーファルセットだけど、この曲の歌謡曲っぽさが、「アンジュナ」を思い出させる。平歌の中音域の抑えた黒沢リードがしみじみ良い。
メインリードは黒沢さんだけど、個人的にはこの曲はヤスくんを見続けてしまった。セニョリータという言葉が一番似合う男だと思う。中低音域で響く彼特有の声。とてもセクシーでした。

ここで喚起休憩15分。いろんなアカペラ曲のパート(主にバックトラック)がバラバラに聞こえたりして、これ結構マニア心くすぐるレア音源だと思った。ライヴDVDの特典とかにしてもらえませんか…金なら出すぜ…

衣装を着替えて後半戦。衣装はざらっとした生地の黒のセットアップで、シャツやインナーが少しずつデザイン違いでメンバーカラーのもの。北山さんのオレンジのネクタイがお似合いだと思った。黒でしゅっとして、酒井さん素敵でしたね…萌える。あというまでもなくリーダーのスタイル!!

12. Love me! Love me!
ぱっと会場を明るい空気に塗り替えるこの曲。声が出せないこのご時世だからこそ、この曲のお約束みたいな手拍子がなんと会場をひとつにしてくれることか。内臓が出そうな顔で奏でるリーダーベースも大好き。大サビのユニゾンも好き。楽しくてほっとする曲。

13. 讃歌
結構聴いている気もするけれど、ツアーでは割と久しぶりらしい。これまで、音源よりライブではちょっとテンポが速めだったけど、この日の演奏は丁寧に確かめるように歌われているように感じた。この曲ももう昔のようには聞こえないのだけど、進化した酒井さんの歌はもはやアップデートされた説得力を持っているように感じる。それでいて軽やかささえあって。最初に聞いたころ、手に届かない何かを求める歌だったように聞こえたこの曲は、通り過ぎてきた何かを認めて許す曲のように今、聞こえている。

14. Tiger Rag
「讃歌」から再度ストーリーへと戻って、このTiger Ragはかつてのアカペラライヴを思い出させる部分でさらっと歌われた。『アカペラ港』かな。皆、動きにキレあるなー。リーダーがぐっと腰を落として動いていて、腰痛の具合がよくなったのかな、と少しうれしくなりました。

15. I Want You
この曲は、5ヶ月連続リリース曲の中では1番回数歌われているからか、やっぱり安心して聴ける安定感。甘くて軽やか。年長組の歌い繋ぎは、『アカペラ2』では逆に新鮮に聴こえる。

16. 誰かのシャツ
この曲、好きなんです。好きなんだけど…この日の歌はなんかちょっと散漫な感じがした。リーダー、いいところで歌詞詰まっちゃったし。残念。
幕末の水戸藩士の辞世の句からインスパイアされた歌詞、っていうのは、とてもリーダーらしいですね。

17. 離れていても ~Wherever you are~
『アカペラ2』の中では、極クラシカルに聴こえる曲。正統派のアカペラ。黒沢さんの歌の力で引っ張ってるなぁ。大サビ前のハモリで盛り上がる部分、「Promise」を思い出す。このステージでのストーリーでは、小野さん演じる男性が“あなた”に向けて思いを伝える部分で、ストレートなラブソングでそのムードが伝わる感じがあった。

18. 北極星
ストーリー『OVER&OVER』のエンディング曲にこの曲来たか!とグッと来てしまった選曲。すごく久しぶりじゃないか?なんか、エンディング曲らしさを感じる曲。ドラマでエンディング曲だったからかな。
この曲のK2コムビが大好きなんです。北山さん、上手くなったなぁとしみじみ思う。あと、北山リード中はやっぱりベースをヤスくんが。八面六臂のいろんな役割、派手な主役も裏方もあちこちやる、リベロっぽい彼の存在感をしみじみ感じたステージだった。

19. Loving Out Loud
ここからは灼熱の終盤戦。アルバムの中では最も攻めている曲、コンテンポラリーで本当にカッコいい。イントロの「We wanna say Yeah!」の酒井さんのイケボに死にそうになりました…ずるい。ズルすぎる。
HBBやいくつかのパートをバックトラックとして演奏していることで、アカペラ感は薄く感じたかな。その分、余裕があると言うかリードの持ち味がそれぞれすごく良く出ていたと思う。歌い継ぐ曲だけど、この曲も酒井リード最&高。抜けが良くて涼やかで色っぽくもあり。

20. いろは
久々のオリジナル版「いろは」。丁寧に歌われ、グルービーであるのに重厚ですらあるように感じた。『アカペラ』のオープニング曲だったこの曲、18年前の曲よ?なんというアバンギャルドさ。すごい。

21. UPPER CUTS 9502
「いろは」のあとに間髪を容れずこの曲!このライヴで1番ヒリヒリする部分だったかも。(久しぶりに酒井さんの売切っぷりが見られるかと期待してしまった。)
しかしこの曲を18年後にライヴで演って、あの完成度ってすごくないですか。こうやってどんどんいい歌歌ってきたのがゴスペラーズなんですよ、って大声で言いたい気分。ここでの八面六臂リベロは酒井さんかと。HBBと歌との行き来のシームレスさに今さら驚かされる。で、「Get me on」リードは文句なしにセクシーだと言う抜け目なさ。最後『FRENZY』とマッシュアップしたあとのHBBは、ターンテーブル2枚使いを思わせるジェスチャーで、2種類のビートパターンを交互に奏でる周到さまで。技ここに極まれり。
『アカペラ2』が多重録音だったりルーパー使ってバックトラックにしたりといろんなバックアップを使っている曲が多いから、この曲のガチアカペラ、歌う瞬間5人だけのアカペラの凄さをぎゅっと詰め込んだ感を、とても強く感じた。圧巻。

最後の部分、リーダーおなじみの浪曲テイストコール&レスポンスのメロディーへ。もちろん客席は Oh Yeh!と声をあげることはできない。で、リーダーの呼びかけに対してはサムズアップで答える、というやり取り。
「インターバル」で歌われたそれぞれのメンバーの特徴に同意するか、という質問をされ答える。(例えば「カレー好きな人!」みたいに)それが北山さんの特徴になると同意できないだけじゃなくて「ちょっと何言ってるかわからないです」的なことになって来るのはお約束なのかな。
「今日初めてゴスペラーズのコンサートに来た人」「歌が好きな人」「音楽が好きな人」「今日楽しんでくれた人」…そんな問いかけにサムズアップで返す客席。声は出せなくてもできるコミュニケーションがある、彼らがただ歌を聞かせて終わらせないKUFU・工夫があって、その気持ちがありがたいなぁとしみじみ思った。

ここで5人からメッセージ。細かいことは覚えていないけど、一つずつ空いた席に人形を置いてリモートで動かして立ち上がったり客席から声掛けしたりしたら面白い、って妄想した酒井さんの発想力に笑い、こういう状況下でもへこたれないし、これからも歌う旅は続けていくよ、という気持ちを率直に伝えてくれたリーダーの言葉をしみじみとかみしめた。

22. ひとり
新型コロナの影響がなかったなら、この曲をセットリストに入れたかなぁとちょっとだけ思う。事実上本編最後の曲、代表曲中の代表曲をしっかりたっぷり歌ったその覚悟みたいなものを感じた。どっしりと揺るがない歌でした。めっちゃハモってた。

23. 深呼吸
ステージ下手へ5人がはけていく途中、立ち止まって最後に歌われたエンドロール的な1曲。この曲、ちょっと泣きそうになったな…1枚目のアルバムからのこの曲。27年目のこの歌は、アルバムで聴ける歌より良い意味で生々しく、今を生きる呼吸が満ちていた。こういう時世だから、あえての「深呼吸」だったのかな。
この曲、リーダーがすごくいいんだよ。Bメロ、♪大きく~ と遅れて中低音域で入ってくるところが好きすぎる。リーダーのCメロのラインは全部テンションを作る微妙な音を辿っている。中音域から最後はファルセットまで。それを追いかけずにはいられない。苦しみに苦しんだという1stアルバムのレコーディング。微妙な音程を歌うリーダーのパートは、そのまま彼の当時の覚悟を表しているように思えてならない。歌いやすくはないパート、それを自分が歌う、ということの責任感と自負が感じられるのだ。
作詞もした2021年の北山陽一作品から、1995年の北山陽一作品を振り返る時間でもあった。3分以上の曲は作れない、歌詞は書けないと言っていた彼のごく初期の曲を聴いたときに、なんかすごく感動した。いい曲だなぁ。大好きな曲です。このライヴで聴けて良かった。本当に。

18年ぶりのアカペラライヴ、実は18年前最後にみたライヴはあまり良い感想を持っていなくて(アカペラ港)、ずっと好きだったアカペラライヴの最後の印象が少しネガティブだったから、もうアカペラツアーを観ることはできないのかもなって思っていた。自分が観たいと思えるかわからなかったし。
でも、18年分の経験と練習と機材のの進歩と世のアカペラの趨勢の変化は、彼らにすごく良いフィードバックをくれたんだと思う。肩の力は抜けた、でも、今できることを惜しみなく織り込んだアカペラライヴを観ることができた。純粋にその時間がいとおしく、しみじみとうれしかった。
もどかしいことはあるけれど、コロナ禍のこのタイミングでアカペラアルバム→ツアーを考えていたのすら、そういうめぐり合わせだったのかと思ってしまう。忘れていたが、ゴスペラーズはとても運がいいのだ。しんどい中でも何かは必ず得て前へ進む人たちなんだなぁと思った。

まずは、このツアーが千秋楽まで無事に終えられますよう。
自分はもう生で観て聴くことはできないけれど、心から願っています。

8月にはWOWOWで放送があるとのこと。それを楽しみに生きていこう。
そして、頼むからパッケージ化してください…お願いします…
もっとヲタク的なことを言えば、「嘘と魔法」はマルチアングルで、ステージや歌う5人を普通に映す映像と、酒井手元映像のみを切り替えられてどっちもがっつり見たいです…お願いです!!
これ、叶ったらすごいぞ☆

アラフィフなゴスペラーズの歌は、18年前より素敵だよ。かっこいいよ。
18年前の自分に伝えたいです。
そして、かっこいい5人に、その歌に、あの場を実現してくれた関係者スタッフの皆様に感謝しかありません。ありがとうございました。

ゴスペラーズ坂2021 ”アカペラ” #あなたの街にハーモニーを
@日本青年館 2021.6.5.(土)
1. INFINITY
2. 風が聴こえる
3. OVER&OVER
4. マジックナンバー
5. インターバル
6. VOXers
7. 星屑の街
8. 参宮橋
9. ハーモニオン
10. 嘘と魔法
11. 雨あがり
12. Love me! Love me!
13. 讃歌
14. Tiger Rag
15. I Want You
16. 誰かのシャツ
17. 離れていても ~Wherever you are~
18. 北極星
19. Loving Out Loud
20. いろは
21. UPPER CUTS 9502
22. ひとり
23. 深呼吸


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