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ゆとりのゲーム感想「カルドセプト エキスパンション」

【はじめに】


世界中であらゆるボードゲームやカードゲームが流行っているが、日本人の心を一際掴んで離さないのは「トレーディングカードゲーム」だろう。

有名なものでいうと、「ポケモンカード」や「遊戯王」なんかが挙げられる。

おそらく、10代〜30代の男性は何かしらのトレーディングカードゲームを一回は見たり、実際にプレイしたりしただろう。私もその一人である。

子供の時も友達と楽しく遊ぶツールとしてはかなり有能であったが、大人になって改めてプレイすると、そのゲームの奥深さや強いプレイヤーが提唱する戦い方に度肝を抜かれる。

そんなカードゲームがテレビゲームとしていつでも遊べたら、何と楽しいことか・・・!

今回紹介するのはそんなジャンキーなゲーマーにきっと満足してもらえる
「カルドセプト エキスパンション」だ。


PS1ソフト「カルドセプト エキスパンション」

「カルドセプト エキスパンション」は1997年にセガサターン用ソフトとして発売された「カルドセプト」に追加要素を盛り込み、プレイステーション用ソフトとして移植した作品である。

「カルドセプト」はシリーズとなっていて、最新作は3DSで遊ぶことが出来る。
私は名前は聞いたことあるが、どんなゲームかは分からない、ぐらいの前情報しか持っておらず、こんなにシリーズがあるなんて驚いた。

しかも、3DSが発売された時に任天堂のインタビューである「社長が訊く」にも取り上げられている作品である。私は今作品で初めて本シリーズに触れた身であるが、非常に面白い内容となっているので、以下にリンクを貼っておく。

インタビューの内容から分かる通り、かなりの「カルドセプト」ファンがいるらしい。
ムムム…これはゲーマーである私も見過ごすことができない。

実際にプレイしてクリアすることができたので、本作品をレビューさせて頂く。

【ゲーム内容】

本作品はルールが複雑でプレイしていない方からすると、分かりにくい点があると思うが、なるべく分かりやすく説明する。

本ゲームはカードゲームとボードゲームを融合した斬新なゲームだ。コナミから発売されている「遊戯王」を始め、多くのカードゲームが様々なゲームハードから生み出されているが、カードゲーム+ボードゲームというのは他に類を見ない。今でもオリジナリティー溢れるゲームと言える。

ざっくりとしたイメージだと
「遊戯王」+「モノポリー」
であると言えるだろう。

モンスターカード、アイテムカード、スペルカードの3種類から合計50枚になるようにデッキを作り、モノポリーのような盤上をスゴロクの要領で周っていく、こんな感じのゲームだ。

勝利条件はただ一つ。

「総魔力」を目標値まで一番最初に集めたプレイヤーが勝利となる。

「総魔力」というのは、モノポリーでいう「資産」のようなものと考えていい。

つまり、
「このステージで1番最初に10000Gを集めろ!」みたいな指令が最初に出るので、それに向かってそれぞれのプレイヤーがお金(総魔力)を集めていく

こういうルールである。

では、どのようにして魔力を集めるのか。

それは、盤上のマスにモンスターを配置して、そのマスを増やしていくことである。

盤上のマス目に止まると、プレイヤーは手札にモンスターカードがある場合、モンスターをそのマスに置くことができる。置くと、そのマスは自分の土地となり、総魔力がもらえる訳だ。沢山置けば置くほど、総魔力は増えていく。なので、マスに止まり次第、モンスターを配置しておくことが勝つための基本となる。

しかし、ただモンスターを配置しただけでは安心できない。他のプレイヤーが自分のモンスターがいるマスに止まると、その土地を掛けたバトルが始まるからだ。


バトル画面
左が攻撃側、右が防衛側

これがバトル画面。他のプレイヤーが支配している土地に止まった時に、手札にモンスターカードがいればバトルを仕掛けることができる。バトルを仕掛けて、もし勝つことができれば、その土地を奪うことが出来るのだ。

逆に相手に倒されてしまったり、お互いに生き残る(引き分け)になってしまった場合、止まったプレイヤーは相手プレイヤーに通行料として魔力をあげなければならない。

また、もう一つ増やす方法として、「周回」がある。全プレイヤーはまず同じスタート地点に集められて、ゲームがスタートする。次に各地にあるチェックポイントの通過を目指す。全てのチェックポイントを回り、もう一度最初のスタート地点に戻ると「周回ボーナス」を貰うことが出来て、総魔力を増やすことが出来る。なので、なるべく早く周回することもこのゲームでは重要な要素である。

このような攻防を繰り返して、土地を奪い合い、盤面を制することで、いかに魔力を早く増やせるかがこのゲームで勝利するカギとなるのだ。

ここまでが簡単なゲーム紹介。次項からは実際に盤面を見てもらい、ゲームの進め方について紹介する。

【ゲームの進め方】

ここではゲームの進め方について紹介する。

デッキを作り、ステージに入ると

プレイヤーの確認
総魔力の目標値
盤面の地形

これらを確認することが出来る。


フィールド画面

このゲームは最大で4人と戦うことができる。本作品のCOM戦では、最大で3人との戦いしかないが、対人戦では4人での壮絶な戦いが楽しめるだろう。

総魔力の目標値は主に8000〜10000ぐらいがスタンダード。COM戦だと12000Gが最高である。

盤面の地形は各ステージでバラバラで、一方通行なのもあれば、それぞれのチェックポイント毎にエリアが分かれているステージも存在する。

ゲームが始まると、プレイヤーが必ず最初に行動する。(対人戦だと自動的に順番が設定される)

手札を五枚貰う。手札を入れ替えるマリガンはできない。そして、毎ターンの最初には山札から一枚ドローできる。山札が無くなると、捨て札を山札に戻すことになっている。手札は最大で六枚しか持てず、六枚以上になったら、どれか一枚を捨てる必要がある。

盤上には様々なマスが存在し、サイコロの目に応じてプレイヤーは盤上を歩き、以下のいずれかのマスに止まる。

・属性マス
・砦(チェックポイント)
・城(スタート地点)
・カードショップ
・聖堂
・ほこら
・転送円

それぞれ紹介する。

・属性マス

モンスターを配置できるマス。見てもらうと分かる通り、赤・青・緑・黄・灰の五色に分かれている。これらは火属性・水属性・地属性・風属性・無属性のそれぞれに対応している。

この色と対応している属性のモンスターを配置すると、戦闘時に土地レベル×10の地形効果(=耐久力増加)が得られる。ただし、無属性の土地(灰色の土地)は、どの属性のクリーチャーを配置しても地形効果が得られない。また、戦闘を行う土地の隣に自分の領地があれば、その戦闘の自分のクリーチャーは隣の領地の数×10の支援効果(=攻撃力増加)が得られる。

ややこしい説明になってしまったが、とりあえず

火属性のモンスターは赤の土地!
水属性のモンスターは青の土地!
自分のモンスターが隣同士ならなおさらOK!

こんな感じの認識で構わない。

この地形効果はむっっちゃくちゃ大事でこのシステムを理解した立ち回りをするかしないかで勝ちやすくなるかが決まってくる。攻略を考えている人は覚えておこう。

また、自分が支配した土地はさらに土地レベルアップと地形変化ができる。

土地レベルアップは、魔力を支払うと、その土地の価値が上がり、通行料を多く取れる。また、レベルアップした分、地形効果がさらにもらえるので、守りたい土地はすぐにレベルアップしよう。

地形変化はその土地の色を魔力を消費すれば自由に変えられる。元々色がついている土地は300〜700g、灰色の土地は100〜500gを払うことで、自分の土地を好きな属性の土地に変化させることが出来るのだ。

これらもとても大事だ。自分の持っている魔力と相談しながら自分の土地を育ててみよう。

さらに、「連鎖」という概念もある。同じ属性マスをたくさん支配すると土地の価値も上昇する。地形効果はもらえないが、通行料がたくさん取れるので、連鎖も必ず狙っておこう。

・砦(チェックポイント)

先述した通り、チェックポイントである。周回ボーナスをもらうにはステージの全ての砦を周る必要がある。また、砦か城に止まると、全ての自分のマスに土地レベルアップや地形変化が施せる。(通常の属性マスでは止まったマスの近くの土地しかできない)

・城(スタート地点)

スタート地点である。全てのチェックポイントを周ったらここに戻ろう。

・カードショップ

魔力でカードを購入することが出来る。購入といってもその試合だけに使えるものであり、貰える訳では無い。買ったカードはそのまま手札に入る。

・聖堂

護符というものが買える。護符も火・水・地・風の四種類に分かれていてそれぞれ購入出来る。護符を購入し、対応した属性マスにモンスターを配置すると、護符の価値が上がる。さらに土地のレベルアップをするとさらに上がる。

まぁ、株みたいなものだ。あとでこれを使った戦い方についても説明する。

・ほこら

ランダムでイベントが起きる。メリットやデメリットもあり、対象も自分だけでなく、他のプレイヤーだったりする。

例えば、自分がほこらに止まり、
「対象のプレイヤーは300G得る」とでる。
やったぁ!と喜んでると他のプレイヤーに魔力が与えられることもある。怒っていい。

・転送円

これがあるステージは少ないが、このマスに止まると別の転送円があるエリアにワープする。ワープ先は砦や城も無い最悪の場所なので再度、転送円に止まって元のエリアに戻った方が良い。要するにここには止まるな。

これらのマスに止まったり、戦闘を繰り返すことで、総魔力を溜める。溜まったらスタート地点である城に戻ろう。戻った時点でプレイヤーの勝ちだ。

めちゃくちゃ長い説明になってしまい申し訳ないが、やっていけばルールは分かるだろう。次にデッキを編集する上で必要なカードについての説明をしていこう。

【カード紹介】

ここでは、「カルドセプト」に登場するカードについて紹介させてもらう。
カードは
・モンスターカード
・アイテムカード
・スペルカード

以上三つに分かれている。

それぞれ説明していこう。

・モンスターカード

文字通り、モンスターを召喚するために必要なカード。さらにモンスターカードは5種類の属性に分かれている。

・無属性
・火属性
・地属性
・水属性
・風属性

これらも一つずつ紹介する。

・無属性

属性のない属性(哲学的だ)である。
ただ、個性が死んでいるわけではなく、

召喚する時のコストが低い
召喚する時の条件が無い

という素晴らしい採用理由がある。

モンスターを召喚する際には魔力を消費したり、特定のマスを支配しているという条件があったりするのだが、無属性のモンスターは召喚するのが簡単なモンスターである。ゲームが進むに連れて、魔力の消費量も激しくなっていくのだが、無属性は比較的安いコストで召喚できる。また、かなりピーキーな性能を持ったカードもあるので、一枚入れておくだけでも役に立つ、なんて奴も多い。


無属性モンスターである「デコイ」
通常攻撃を全て跳ね返すおぞましい性能を持つ

・火属性

火を扱う、火が由来の属性である。四つの属性の中でも攻撃に特化した種族とも言える。また、HPが高いモンスターも多く、戦闘では安定した功績を残してくれるだろう。その反面、コストが高かったり、無効化といった追加効果を持つモンスターは少なかったりする


火属性モンスターの「フェニックス」
通常、倒されたモンスターは捨て札に行くが、
フェニックスは手札に戻って再度利用出来る

・地属性

地属性、とあるがどちらかというと草属性の方が分かりやすいか。こちらはHPが高い種族となっていて、防衛向きな種族だ。その他にも追加効果も豊富で、戦闘だけでなく、土地の防衛や状態異常を得意とするモンスターも多い。しかし、配置する条件がかなり厳しいカードもある。特に風属性のマスへの条件が多い。


地属性モンスターの「ウッドフォーク」
モンスターをアイテムカードのように使う援護能力持ち

・水属性

名の通り、水をモチーフとしたモンスターが多い。こちらもかなり防御に特化した種族だ。追加効果も無効化や戦闘時にHPを増やす等、とにかく固い。拠点作りには持ってこいの種族である。ただ、攻撃力はダントツで低い。侵略にはあまり向かない種族だ。


水属性モンスターの「キングトータス」
でっかい亀である。HPが高いので倒されにくい
最初のデッキから使っていた私の相棒だ

・風属性

火属性と同じく攻撃に特化した種族であるが、「グレムリン」や「サンダービーク」に代表されるように多くの侵略向きの追加効果を持つ種族だ。攻撃力はそこまで高くないモンスターも多いのだが、状態異常の付与や先制、といった追加効果でこじ開けるストロングスタイルが特徴だろう。デメリットとして召喚するコストが高いのが特徴か。

風属性の「サンダービーク」
先制で動ける上に水属性モンスターを
麻痺にさせてしまう攻撃特化モンスター

以上これらがモンスターカードである。

もし、これから始める人は防御力の高い「水属性」か「地属性」を中心に組んだデッキがオススメだ。
このゲームは「いかに強いモンスターを育てるか」ではなく「いかに多くのお金を集めるか」なので、モンスターが倒れなければ、お金を増やす拠点となる。初心者は倒すことよりも生き残ることを重視した立ち回りを勧めたい。

・アイテムカード

アイテムカードは戦闘の時に使うカードである。侵略、防衛のそれぞれに優位に働くカードが揃っていて、
攻撃力を+20
HPを+30
といったカードが多い。

他にも「巻物」といったアイテムもあり、相手の地形効果を無視して攻撃できるのもある。


アイテムカードの「ロングソード」
倒せない相手でも倒せるようにパワーアップしてくれる

・スペルカード

アイテムカードと違って、盤面を有利に進めるために使うカード。

ターンの始めに使うことが出来、
3ターンの間、サイコロの目を6〜8にする
相手の手札を破壊する

といった効果を持つカードである。


スペルカードの「フライ」
シンプルだがとても強いカードだ

以上の三種類のカードを組み合わせてデッキを作って戦わせるのだ。

【このゲームをプレイしての感想】

ここまでがこのゲームの概要というかルールというか説明である。

もうここまで読んでくれた人なら分かると思うが、

複雑で難しい

私も同じ感想を抱いた。

正確に言うならば、勝ち方を理解するのに時間がかかった。強いモンスターをデッキに入れてもコテンパンにやられ、属性を揃えても上手く魔力がたまらない。

「どうすれば勝てるのか」

と、バイトしてる時もご飯を食べている時も寝る直前まで考えていた。

ポジティブに捉えられる人は「それぐらいやり込めるゲームなのか〜」という感じだが、私は負けが込みすぎていて途中からイライラしっぱなしだった。

あと、長い!!

ものっっっっっっっっっっそい長い!!

どんぐらい掛かるかというと、1つの試合に1時間掛かる!!!

ファスト・スピーディー・クイックリーが大正義の今の世の中に真っ向勝負してんだこのゲーム!!!

そんぐらいやってたら途中で集中力も切れてしまう。ちょっとこの部分は私にとってマイナスだった。

あと、投了が出来なかったのがマジで意味わからん。

やって行くうちに「もうこれ逆転無理だ・・・」という状況も多々あった。しかし、この投了ができないおかげで、私は延々とその試合で雑なプレイを強いられることになったのだ。

「リセットすればいいじゃん!」となるが、それも私はためらった。なぜなら、カードを手に入れる手段が、試合で勝つか負けるかしないといけないからだ。このゲーム、カードを手に入れる手段が試合をこなす以外無い。したがって、カードを集めるには、嫌でも試合を続けた方が得があるシステムなのだ。

このゲーム、ボリューム自体はそこまで無いのだが、このカード集めに私は10時間ぐらいかかったと思う。それぐらい面倒なシステムが多かった。

少し不満を並べてしまったが、面白くて深いゲームが故に、「ここを直したら完璧なのに・・・!」とツッコミたくなってしまった。

ストーリーは王道的だった。主人公が道中のキャラクターとバトルを繰り返し、世界の平和を取り戻す!みたいな感じ。

まぁ、悪くもないし極めて良い訳でもない。

キャラクターは魅力的だった。数こそ少ないが、それぞれのキャラは立ってるし、そのキャラの性格なのか戦略も「そういうのやりそうな性格してるよな〜」って感じで面白かった。

音楽はそこそこだった。古代祐三というイースシリーズ等で有名な方が担当していたのだが、私にはそこまで響かなかった。

感想はこんな感じだ。

【私なりの立ち回り方】

それでは、オマケとして自分が見つけた立ち回り方、勝ち方を残そうと思う。

・ケルピーorオールドウィロウを使え!

ケルピーもしくはオールドウィロウを持っているそこのあなた!

君は相当ラッキーだ!

ケルピーとオールドウィロウはそれぞれ
「配置したマスを通り過ぎたプレイヤーは必ず戦闘しなければならない」という特殊能力がある。

どういうことか。

普段ならマスにぴったり止まらなければ発生しないバトルを問答無用でふっかけることができる。

つまり、「ケルピーかオールドウィロウを配置した土地を最大までレベルアップさせて必死でその土地を守れば永遠に搾取することが可能」

という訳なのだ。

もし持っていたら是非入れて欲しい。強さが分かるから。


「ケルピー」私はこれを使って無双してた


「オールドウィロウ」
ケルピーと一緒に入れてもいいし、使い分けても良し

・護符を買え!

「あ、これ護符ゲーじゃん」

何度もやって行くうちに私はこれに気づいた。COM戦ぐらいなら護符を買いまくってそれをひたすら大事に持っておけば総魔力は自動的に稼げる。

具体的なやり方を示すと、

土地にモンスターを置く。

その土地に対応した護符を買う

買った土地のレベルを上げまくる

護符の価値も上がるので総魔力が勝手に増えてる

他の土地も同じようにする

これを繰り返していくだけで、COM戦は基本負けない。護符を買いなさい。

【まとめ】

とても長い記事になってしまった。それ程奥が深いゲームなのでした。COM戦もそこそこ楽しかったが、対人ならもっと楽しいんだろうな〜という感想だったな(過去に大規模の大会とかもあったらしい)。といっても、運要素の強いシステムだったり、試合のテンポが悪すぎるといったストレスもハンパなかった。評価されてるのは理解できるが、私にはあまり合わなかったように感じた。
一応PS2版の「カルドセプト セカンド エキスパンション」も持っているので、また時間を置いたらやってみようと思う。システムが改良されているのを願うばかりだ。

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