見出し画像

クッキー2020の脚本を書くにあたって考えていたこと

【はじめに】
この記事は先日投稿した東方ボイスドラマ『魔理沙とアリスのクッキーKiss2020』についての裏話です
https://www.nicovideo.jp/watch/sm38263080

さっさと本題を読みたい方は下の『発端』部分を飛ばしてください


【構想の発端】
まず建前から話します
僕は学生時代に魔理沙とアリスのクッキーKissという作品を所謂クッキー☆として随分楽しませてもらっていましたし
同時に「このセリフがよく分からない」「ここをこうすればいいのに」と思う点が色々ありました
それらを自分なりに修正して作品にしてみたらどんな風になるんだろうと思ったのが発端です

そして正直動画として再生数が伸びるボイスドラマを企画したかったんです
2019年に企画した新ハロウィン企画は中々の出来だと自負していたのに結果は全然振るわずショックでした
まあもちろんニコニコ自体の低迷とか他ジャンルの人気が1番の理由だと分かってたんですけど
やっぱり数字に敏感な僕は落ち込みました
だから「初代クッキー☆のリメイクだったら観てくれるかな」という発想に至った部分があります
そしてやるからには皆さんが期待してるような『ネタ要素』とかは度外視して真剣にクオリティの高いリメイクにしてやろうと最初から決めていました
まあこれはいつも企画してるときと一緒です
僕はいつでも真剣に東方Projectのボイスドラマを企画してます

あと一応補足なんですけど
別に僕は「あの脚本は酷い」とか「自分の書き直したやつの方が優れている」なんて1ミリも思ってませんから
というか僕は物事に『優劣』みたいな価値観が全然無いんで当たり前のことなんですけど
皆さんが僕の文章を読まれる際は往々にして誤解してしまうので一応書いときます
ただ『自分の好きなとこを残して』『自分の削りたいところを削った』というだけの話なんです
当たり前ですけど


【脚本を書くにあたって考えていたこと】
本題です
時系列順に上から追っていきます
大事なポイントは☆で囲ってます
本家の動画をチラチラと観ながら読むのが面白いと思います

-------------
冒頭霊夢
お掃除にアレンジ
お茶飲みのままでもよかったけど
全く同じ脚本ではないということを最初にアピールしたかった

マリアリが来たということが音声だけでは分かりづらいので一応セリフ追加
「きっと今日は休憩の日なんだよ」がシュールなので自然な会話に変更
「神社閉店の日」は印象的なので残す
改めて見返すとシュールなままでも味があって良かった?
「きゃっ」だけで仲いいわねって言われるのは若干急だからイチャつかせた

特急茶葉とか9番茶がよく分からないので変更
ついでに洋菓子と緑茶は合わないと思ったから紅茶に変更

名言はそのままに
ココアは~の部分をカットする裏切りで本家ファンにあえて物足りなさを与える

☆☆☆
魔理沙がお返しを忘れる流れが本家だと不自然に感じたので大胆に変更
例えば「私だって作ることはあるぜ」なのに誰も知らないのが少し違和感(見栄を張ってるだけだとしたら余計に変だし)
そして「この前作ってやったはずだぜ?」という勘違いはどうしても無理がある(忘れてたのに『作っただろ?』と思い込むことは無いんじゃないか)
しかもせっかくバレンタインあげたのにホワイトデーをスルーされるアリスが可哀想だから当日ギリギリセーフという設定に変更(気付いた?)
☆☆☆

魔理沙の去り際セリフは味があって面白いのでほとんどそのまま使用
霊夢が貰えないくだりも会話は面白いけど流れとしては必要無いからカット
アリスと霊夢の絡みは箸休めにちょうどいいから適当に残す

☆☆☆☆☆
萃香が居なくてもこの物語は成立する
登場シーンの会話もファンとしては「イカスミ焼き?」とか面白いのあるけど
総合して考えるとそんなに面白い要素でもないと思った
自分自身意外だったのは完成品を観たときに「このサケノミが!」とか無いのちょっと寂しいなと思ったこと(まあ入れようが無かった気もする)
☆☆☆☆☆

紅魔館門前
ここは美鈴が有象無象と駄弁ってることが伝わればいい
だから後で登場するお空が唐突にならないように顔見せ
ついでにパン屋の話をさせておく

「随分と大層」っていう言い回しがよく分からないから修正
空を飛ぶ魔理沙のセリフがあった方がボイスドラマとしては侵入感がある
「邪魔するぜー」は紅美鈴 ~EpisodeZERO~のオマージュ
(後のパン屋シーンで幽香が言う「勝手に入って何者かしら」も)
美鈴の叫び声はくいなさんのアドリブ

壁を壊すのは壁さんが可哀想
穏便に侵入してもらうようどん行さんにお願い

ここで魔理沙が図書館に入る理由はお菓子の作り方が載っている本を貰うため
それが分かり易いようにセリフを修正
(企画的な理由はパチェこあと合流させるためってだけだけどね)

現金なパチュリーのくだりは結構好きなのでそのまま使用
こういうやりとりを残さないと遊びが無い作品になっちゃう
ナイフが本に刺さるのは本さんが可哀想なのでカット

☆☆☆☆☆
小悪魔は居なくても成立するのでカット
ただしこの作品における小悪魔は賑やかにする役割やツッコミの補完など特徴的な働きをしているキャラのため
カットすることで作品としての雰囲気は結構変わってしまう
ただ常日頃から小悪魔絡みのギャグが軒並み寒いと思ってたので消した
(あと大妖精とか椛とかのセリフ無しキャラが出張る脚本書くの得意じゃない)
☆☆☆☆☆

「アレは私のポケットにはちょっと大き過ぎるからな」とか「私は子猫じゃないぜ」は好きなので残す
「本を"デカ"くすれば盗まれない?」は言葉に品が無いと常日頃思っていたので修正
1人で出来るって!以降のやりとりは全体的にテンポ悪くなるのでカット

キッチンのシーン
クレープマリエットとかいうこの作品以外で聞いたことないお菓子
「チョコで顔とか描いたりな」と言ってしまうと実際作ってるときの「何を書けばいいんだ?」に違和感が生まれるのでカット

咲夜が材料を確認することが分かり易いようにセリフを修正
オハイオ州構文は結構好きなので残した
レミリアの登場は材料が無いことを説明するために必要なシーンではあるけど
無くてもそこまで引っかからないのと如何せん材料で遊ぶのはちょっと嫌だからカット

☆☆☆☆☆
材料調達について
この作品が中弛みしていると云われる原因の1つは材料調達に時間がかかっていること
そして結局得られた物がピンと来ない材料だという点にあると思う
特に問題だと思うポイントを以下に3つ挙げる

・菓子工房のシーン
ここで成果が生まれないなら行く必要が無い
多分アリスと合流させるためのシーンとして入れたと思うんだけど
そもそも合流する必要が全然無い

・卵について
ミスティアに産ませた卵を使うのは気持ちが悪い(結局未遂だったけど)
永琳に貰った卵っていうのもピンと来ないし唐突
からしの霧もひどい

・幽香との戦闘について
お花畑を荒らすのは可哀想
魔理沙達がどれだけ謝ってもひまわりさんは帰ってこない

これらの問題点を一挙に解決すべく
幽香から素敵な食材を受け取るシナリオに大きく変更
元ネタは柚子桃さんのべーかりん
☆☆☆☆☆

「次は勝とうぜ」のくだりは本家の雰囲気を残したくてそのまま
ここでアリスが追い出される上にこの後紅魔館からも帰宅するんなら
マジで合流させる意味無かったんじゃないかな

調理開始
よく視聴者から酷評される調理パート
どう描写するのが程良いバランスか難しかったけど必要最小限にカット
「クッキーの天ぷら?」とか印象的なセリフはなるべく残す

「死相が見えた気が」のシーンは結構好きだから残す
ついでに場面転換を調理の時間経過に利用する

チョコが固まらないんじゃないかみたいなくだりは要らないと思った
視聴してる人がそんなところを気にするとは思えないからカット

魔理沙が苦戦してるセリフはりゆなさんチョイス
クッキー全部に絵を描くのは時間がかかるから場面転換を挟みたい
ついでにこの後衝突するお空に説得力を持たせたいから飛ばせといた

完成後のやりとりは全体的に要らない
あと本を投げないで欲しい
ただそれだけだと寂しいから最後のめーさくシーンに繋がるやりとりを入れといた

☆☆☆
お空との衝突シーンはシナリオ的に必要だけど
細かな点で違和感があるので以下2点を修正
・「そこをどけ」と言いながら衝突する魔理沙→ちゃんと余所見させる
・「どけ」「お前がどけ」みたいなやりとりは醜い→ちゃんとぶつかった方が謝る
(「知らなーい」は上手く残せたと思ってる)
☆☆☆

☆☆☆
クッキープレゼントシーン
みんなは勘合貿易のところ酷評してるけど僕は正直良いクライマックスだと思ってるよ
普通にお菓子渡すだけじゃなくてちゃんと波乱があって
それでいてみんな幸せな解決だし見た目的にも2人がハートを繋げてて盛り上がる
凄く良いシーンじゃん?
しかも良い雰囲気にしといてちゃっかり毒味させるって流れは王道のオチ
全然脚本変える必要無い
このラスト良いよホントみんな
色眼鏡無しに観てみ
☆☆☆

ちゃんとアリスにも食べてもらって美味しいと言わせる(出来れば魔理沙の手から食べさせたかったけど)
「させるなら霊夢にしろ」は無い方がオチとして勢いがあるからカット

ED
なんか僕の視聴者はキャストコメントが好きだからEDに入れた
連帯責任の文はこっそり動画説明文に忍ばせてる(気付いた?)

めーさく
ナイフを帽子に刺すのは嫌だから声で起こす
「どーして寝てるのかしら?」「ごめんなさいー」は会話になってない
それ以外は変える必要無いからそのまま
-------------


【投稿し終えての感想(脚本についてのみ)】
正直かなり満足してます
台本書いてるときは「これでテンポ良くなってるはずだけど本当に大丈夫かな」とか不安になったりもしましたが
結果イメージ通りに仕上がっていて自分の中ではバッチリです

動画のコメントでも「自然な流れになってる」とか「ここ残してくれて嬉しい」とかあってそういうのが凄く嬉しいです
僕の見せたかったこと伝わってる!って感じでテンション上がります
というか今まで僕の企画って大体コメントは批判がメインだったんで違和感ありますw


【最後に】
これにて脚本を書くにあたって考えていたことを終わります
自分はこういう話をするのが大好きなので読んでくれた方が居れば嬉しいです
また今回は脚本以外にほぼ触れませんでしたがそれ以外の部分で書いて欲しいことがあればリクエストください
自分の気持ちとかを周りに伝えるのは大好きなのでいくらでも書きたいです

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?