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轟轟戦隊ボウケンジャー妄想スペシャル 「はじめましてのクリスマス」その4

このSSは2006年12月12日に某mixiに投稿したものです。

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こちらからお読みください。「はじめましてのクリスマス」その1  https://note.com/manet26/n/n75d8107d69c4

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ところが、そうは行かなかった。

「なんですかっ」「その態度、女の子とは思えませんね」「勝手でしょうっ!」「えーと、あのな・・・」

コトあるごとに蒼太が茶々を入れ、さくらが怒る。5分とまともにミーティングが続かない。

Dr.牧野も困惑気味、Mr.ボイスはすっかり待ち受け画面状態でくるくる回っているだけだ。(ひょっとしたらすでにどこかに行ってしまっているのかもしれないな)と明石はこっそり考える。

そして、パーティーシフトの確認中に致命的な瞬間がやってきた。

「ということで、クエストシークエンスではサーチャーに最上、センターに西堀、おれはバックアップにまわるということでいいな。」
「ボウケンジャーの任務はプレシャスの確保ですからね。出番があるまで戦争屋さんはおとなしくしていてくださいね」
「ええ、トラップにひっかかる役はお任せします」
「そうなったらどうせ解除出来ないでしょうから踏み越えていってください」
「そうさせてもらいます」
「………(ぴく)」

「…アタックシークエンスの場合にはフロントに西堀とおれ。最上がバックアップ」
「3・M・Cですから戦力は分散させないほうが有効でしょう。もっともバックアップは期待できませんから2・M・Cと考えるべきでしょうか」
「弾幕張る位しか期待できない人がフロントとは不安ですね。いっそのことさくらさんにワンマンアーミ-をお願いするほうがいいかもしれませんよ、チーフ。その隙にふたりで退路確保しましょう」
「バックアップが勝手に逃げたら問答無用で撃ちます」
「………(ひくひく)」

たまりかねたように明石が叫んだ。「お前たち、いい加減にしろっ!」

二人が黙った。黙って明石の顔を見つめる。

「いいか二人とも、これだけは言っておく。おれ達は3人でボウケンジャーだ。どんな場合でもおれがお前たちを守る、絶対にだっ!」

明石の口調が変わっていた。苦しげに、絞り出すように。

ぽつりと蒼太が言った。
「ミッションとしてはプレシャス確保が優先です、チーフ」

己の感情を抑えるように明石が言葉を放つ。
「わかった、おれはお前たちを守る。お前たちがプレシャスを確保しろ」

ゆっくりと明石から目をそらし蒼太が言った。
「だとしたら、あんたはボウケンジャーのチーフにふさわしくないね」
「最上・・・」
「違いますか?Mr.ボイス」

「・・・・・・・・・、ああ。間違っていないよ、最上君」
「Mr.ボイス・・・」

「あーあ、やっぱり噂は本当だったのか」

「最上?」

「信頼できる仲間を失って、不滅の牙から牙が抜けちまったって噂がね、ずいぶんと流れているんです。サージェスなんていう民間の巨大組織に属したあたりから、うすうす感じてたんですが」

「最上」

「だれだってわが身はかわいいものですよ、そう、命がけの冒険、そのスリルを味わうのに慣れ、仲間を失ってそのリスクが怖くなった。不滅の牙、あなたも…そうなんでしょう?」

「最上。それは違う・・・」

「待ちなさい」
黙っていたさくらが眦を決して立ち上がる。

「はい?」
「上官に対してその口のきき方は看過できませんね」
「もう、上官のつもりはないのかも?」
「手のひらを返しますか、所詮は国際スパイですね。もとCIA捜査官、最上蒼太。あなた、やっぱりボウケンジャーにふさわしくありません。お辞めなさい」
「西堀、ちょっと待て」
「待ちません、チーフ。スパイという連中はいつもこうです。特務中隊では内調にも随分とお世話になりましたけど、本当に信頼できない。」

「くくっ、言いますね。さすが西堀のお嬢様、お辞めなさい、ですか。…戦略シミュレーションではあらゆる手段で勝ちにいく氷の女王。それともアイアンメイデンチェリーブラッサムってほうで呼ばれたいですか?」

「な、それっ、どうして・・・」

蒼太の口調が、態度ががらりと変わる。
「…フィールドからベッドまで実戦経験なんぞこれっぽっちも無いくせに偉そうな口を叩くんじゃねえ。それともこちらのデータ不足なのかな、ベッドのほうは内調に出向してた鳥羽さんにでもたーっぷり仕込まれてるのかい?」
(この辺、イメージは夜王っぽくお願いします)

「っ!!。チーフ、こんなヤツ守る必要ありませんっ!」
さくらが叫んで、蒼太につかみかかった。
蒼太が避けた。たたらを踏んでさくらが振り向きざまに回し蹴り。アクロバティックな動きでひょいと避けた蒼太がさくらの左足首をホールドしようとする。ホールドされかけた手を蹴ってさくらがバック転。そのまま、ラウンジの外に飛び出した。

「西堀…」明石が呼びかける。さくらと目が合った。
さくらの頬が紅く染まった。「失礼しますっ」

ゆっくりと手をはたいてから蒼太が言った「僕も失礼します」
++(あとすこし続きます)++

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